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第十七話 同じ獣人を喰らっても

獣人の肉を喰らい、身体の進化を実感した俺は、

この力をどう活かすかを考えながら拠点に戻った。

効率よく強くなるためにはどうすればいいのか…

その答えを確かめるため、俺は再び獣人狩りに挑むことにした。

拠点に戻ると、少しの安堵感があった。


俺が作ったとはいえ、このシェルターは俺にとっての唯一の拠り所だ。

そして、ここで休息を取りながら、俺は考えていた。


「強くなるために…一番効率のいい方法はなんだ?」


今までの経験から、俺は食べた獲物の能力を取り込めることがわかっている。

ならば、同じ獣人を何匹も狩れば、安全に強くなっていけるんじゃないか?


森にはまだ他の獣人がいる。

もし、同じ種の個体を喰らうことで、確実に身体強化できるなら、

俺はそれを繰り返せばいい。


「……やるしかないな」


俺は休む間もなく、再び森へと向かった。

今回の目的は単純だ。


新たな獣人を仕留め、その肉を喰らう。

それだけだ。


森の中を慎重に進みながら、俺は鼻を利かせた。

獣人特有の獣臭を探る。


すると、ほどなくして、

一匹の獣人が木の根元で何かを食っているのが見えた。


「いたな……」


隠れながら、獣人の動きを観察する。


前回の戦いを思い出しながら、俺は手にした血抜き槍を構えた。


奇襲が成功すれば、前回のように簡単に仕留められるはず。

俺は静かに息を整え、狙いを定める。


「……今だ」


瞬間、俺は地面を蹴り、獣人の背後へと躍り出た。


獣人が気づいたときには、すでに遅い。


「——喰らえ!」


槍が突き刺さる。


グサッ!


血抜き槍が獣人の脇腹に深く突き刺さった。

獣人は一瞬、何が起こったのかわからなかったようだが、

すぐに苦しげな声を上げた。


「グ、ガァァ……!」


俺は迷わず、もう一本の槍を膝裏へ突き刺す。


ズブリッ!


動きを封じた。

あとは血を抜くだけだ。


獣人は次第に出血によって力を失い、その場に崩れ落ちた。


「……終わったな」


今回は前回よりもスムーズだった。

俺は獣人の死体を手際よく解体し、

拠点へと持ち帰る。


「さぁ…喰らうぞ」


俺は静かに肉を口へと運んだ。


噛むと、獣の血の味が広がる。


飲み込んだ瞬間、全身にエネルギーが巡る感覚があった。

しかし——


「……ん?」


違和感があった。

熱が身体を駆け巡る感覚はあるが、

前回ほどの劇的な変化は感じない。


「……もう少し喰えば変わるのか?」


そう思いながら、俺はさらに肉を口へ運んだ。


だが——


「……あれ?」


結局、肉を食い終わっても、前回のような感覚は得られなかった。

身体は回復している。

疲労も取れて、力がみなぎる。


でも、それだけだ。


「……まさか」


俺はハッとした。


「俺より弱い獲物を喰っても、強化はされない……?」


今まで、俺はより強い生物を食うたびに、

劇的に身体が進化してきた。


だけど、今回喰った獣人は、前回の個体と大差ない。


つまり——


「俺はもう、このレベルの獣人では強くなれないってことか…」


確かに、今の俺はすでに人間離れした身体能力を手に入れている。

五感は研ぎ澄まされ、獣のような動きができるようになった。


「……ということは、次に狩るべきは」


俺は、もっと強い獲物を探さなければならない。


「この世界の頂点に立つには…喰らう相手を選ばなきゃならないってことだな」


俺は槍を握りしめ、森の奥へと視線を向けた。


次に喰らうべきは、

今の俺よりも強い獲物だ。

アレンは同じ獣人を喰らうも、以前のような進化は得られなかった。

身体が回復するだけで、さらなる強化にはつながらない。

より強い獲物を求め、アレンは新たな狩りへと向かう——

次回、新たな脅威との遭遇。

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