第一話:ここはどこだ?
生きるために喰らう!スキルもチートもなし!異世界サバイバル開始!
目が覚めると、俺は森の中にいた。
目の前には青々と生い茂る木々。
どこまでも続く深い森。
空を見上げると、木漏れ日が降り注いでいた。
――いや、ちょっと待て。俺、なんで森にいるんだ?
さっきまで普通に暮らしていたはずなのに……
思い出そうとしても、どうしてここにいるのか分からない。
頭を振って周囲を見渡す。
人工物は見当たらず、遠くから鳥の鳴く声が聞こえるだけだった。
嫌な予感がする。
まさか……異世界転生とかいうやつか?
漫画や小説の世界ならそういう展開はよくある。
だが、現実として考えると、そんなバカな話が……
そう思いかけた瞬間――
ギャアアアアアアッ!!!
森の奥から、獣の叫び声が響き渡った。
「!?」
背筋が凍りつく。
あれは……動物の鳴き声とは明らかに違う。
もっと……獰猛で、捕食者のものだった。
恐る恐る音の方向を確認する。
木々の間から見えたのは――
全身を黒い毛で覆われた巨大な猿のような化け物。
鋭い牙をむき出しにし、何かを探すように地面を嗅ぎ回っていた。
俺の呼吸が止まる。
……いや、ちょっと待て。
なんだよ、あれ。
デカすぎるだろ。
普通の猿の比じゃない。
……いや、違う。
あれはもう猿ですらない。
モンスターだ。
足が震える。
全身が一気に冷たくなり、心臓がドクドクとうるさく鳴る。
「……やべぇ、これマジで異世界かもしれない……」
そんな呟きを漏らしながら、俺はそっと後ずさった。
だが、枯れ枝を踏んでしまった瞬間――
バキッ……
モンスターの動きがピタリと止まる。
そして――ゆっくりと俺の方を向いた。
「……っ!!」
目が合った。
まずい。
まずいまずいまずい!!
逃げなきゃ、でも足が動かねぇ!!!
一瞬でも動いたら襲いかかってくる、そう直感的に悟った。
俺は必死に息を殺し、その場で固まる。
モンスターは鋭い眼光でこちらを睨んでいたが――
しばらくすると、鼻を鳴らして興味をなくしたのか、森の奥へと去っていった。
その瞬間、膝から崩れ落ちる。
全身が汗でぐっしょりだ。
……俺、今のやつに殺されてたかもしれない。
現実味がなさすぎて、震えが止まらなかった。
だが、異世界転生が本当だとしたら――
この世界は、俺にとって想像以上に過酷な場所なのかもしれない。
「……まずは落ち着こう。」
考えろ、アレン。
まずやるべきことは――生きることだ。
1. 安全な場所を探す
2. 食料と水を確保する
3. 武器を手に入れる
モンスターがいる以上、迂闊に動くのは危険だ。
だが、このまま何もしなければ飢え死にする。
とりあえず、動き出すしかない。
俺は震える足を無理やり動かし、森の中を慎重に進み始めた。
まずはサバイバルだ。食料と水を確保しなければ……だが、それすら簡単にはいかない。