第5話 干物の作り方
でていったレーレンの姉御を待つこと30分ぐらいようやく戻ってきたようで廊下から重い足取りが聞こえてきた。
バン!!
「適当にそろえてきたぞ!さあ、さっそく見せてくれ。」
「見せるのはいいんですけど何を持ってきてくれたか説明をお願いでいますか?」
「そうだったな、こっちに来てくれ。」
そう言って持ってきた木箱の前まで移動する。中には魚や貝がきれいに並べられていた。
「今回持ってきたのは3種類の魚に2種類の貝だ。こいつらはこの港でよく水揚げされているものを選ばせてもらった。まず魚の説明をさせてもらう、左からアージン・メダイ・ボッケでアージンは生食が旨くメダイは煮つけボッケは肉団子にするのがおすすめの食べ方だ。貝はアサリとホタテテ、二つとも網焼きがうまいな。」
鯵に金目鯛にホッケか地球と変わらない姿だけどデカいな。あんまり大きいと大味になるって聞いたけど油ものってるしうまそうだ。貝のほうはあさりにホタテ、こちらも大きい。アサリなんて大アサリよりも大きく大人の手のひらほどの大きさだ。絶対うまいよな~網焼きやりてぇな。酒蒸しも外せないよな・・・
ゴツ!!
「いった!!」
「自分の世界にこもるな。」
また父さんに殴られてしまった。あんまり殴ると頭が変な形になってしまう。顔をパンパンとたたき喝を入れる。
「すみません。それじゃあさっそく作ってみましょう。大まかな作り方は一緒なので調節はそちらでお願いします。まずは魚のほうからやっていきましょう。」
鱗をはがし開いた後内臓を捨て体内をよく洗う。この時血合い部分をしっかりと洗うのがポイントだ。残ってしまうとそこが悪くなったり臭みの原因になってしまう。
その後は水に3~4%ほどの塩を溶かし1時間ほどつけておく。その間に貝のほうもやってしまおうか。
アサリはむき身にして塩水に30分ほどつけたらそのまま干すだけ。ホタテはヒモと貝柱に分けそれ以外は悪くなってしまうので使わない。こちらも塩水につけ洗ったら干すだけだ。
貝を処理している間に魚のほうも良さそうなので塩水から取り出し洗った後すべてを網に素せていく。
「こんなところですね。干す期間はお任せしますが目安としては魚のほうが日向で5~7時間、日陰で7~12時間。貝のほうはヒモが1~2日で貝柱は1~2週間ほどで完成しますが貝柱はソフトもおいしいので2種類の硬さで売るといいかもしれませんね。あとは必ず風通しの良い湿度が高くないところで干してください。」
「食べ方と保存期間は?」
「魚は焼くだけで凍らせば1月は持ちます。貝のほうは水分量が少ないのでもう少し持つとは思いますが魚と同じ期間ぐらいで食べるのをお勧めします。どちらも水分が抜けうまみが増しているので癖になると思いますよ。出来たら僕も食べたいので教えてくださいね。」
「ったりまえだ!製作者が食べなくてどうする。出来たらすぐに知らせるよ。ダルタンいい子を産んだな。」
父さんの肩をバシバシとたたき大きく笑う姉御。
「ほんとどこでこんな知識を身に着けてきたんだか・・・出来たら俺にも教えろよ。」
「もちろんだよ。これが商品化できればうちの特産品になるんだあんたもその場には必要だ。」
笑顔で手を握り合う二人、成功するといいな。
「ニュクス様私もぜひ読んでいただけたらと。」
「うん、ギブソンだけ仲間外れにすることはないよ。ちゃんと呼ぶから一緒に食べよう。」
姉御に別れを告げ次なる目的地の冒険者ギルドへと向かう。