表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

第4話 商業ギルド

 「おはようございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」


 ギルドに入り正面にあった受付に顔を出すとこちらが声をかける前に受付嬢が声をかけてきた。


 「うちの息子の顔を見せに来ただけさ。ギルマスは部屋にいるか?」


 「はい、今の時間ですと書類整理をしているかと思います。ご案内いたしましょうか?」


 「いやいいよ、顔を出すだけだからよ。大した話もするつもりもないしな。」


 受付嬢との会話を終えると二階に上がる階段に向けて歩き出す。偉い人は高いところが好きと聞くがやっぱりこういう世界でも同じようだ。


 足並みそろえて階段をがっていると突然施設内に怒声が響き渡った。


 「なんでこんなに安いんだ!!前の町ならこの5倍の値段で買い取ってくれたぞ!ここの商業ギルドは詐欺師の集まりか。」


 何事かと思ったら少し太ったいかにも商人ですといった風貌のおじさんが受付で怒鳴っていたのだ。


 「そう言われましてもここは港が併設されている町ですので何か特別なものでない限り買取は一通り安くなってしまうのです。今回持ってきていただいた麦に野菜各種は船で大量に出入りしていますので価格がかなり下がっています。」


 「そんなの嘘だ!ここまで運ぶのに何日かかったと思っている!町を一つ移動しただけでこんなに価値下がるなんてふつう思わないだろ。相場の7割でいいから買い取ってくれないか。」


 「申し訳ありません、うちのギルドでは先ほど申し上げた金額以上はお支払いできかねます。」


 仕入れを失敗したというよりは売りに行く場所を間違えちゃったんだな。ここ以外の町に売りに行けば傷は浅く場所によっては黒字になったはずだ。あちゃ~とおでこに手を当てて見守っていると施設の隅からよくない声が聞こえた。


 「プッ。」


 「あ~~~~~!!!!!てめえら俺を馬鹿にして楽しいか!!大赤字の商人の姿がそんなに面白いか!!許さねえ覚悟しやがれ!」


 懐からナイフを取り出すと失笑を漏らした男性に向かって走りだした。男性は驚き逃げようと動くが足がもつれその場に転んでしまった。


 そんな隙を逃すわけはなく商人は背を向けて倒れる男性に馬乗りになるとナイフを振り上げ一気に振り下ろした。


 俺は目の前で起きる殺害の瞬間を見ていられず目をつぶってしまった。男性の悲鳴が上がるかと思っていたが何も起きる気配がないので目を開け先ほどの場所を見てみると振り下ろしたナイフを素手でつかみとめている大柄な女性が間に立っていた。


2メートルを超えているだろう長身に真っ赤な長髪、薄着から見える肉体はよく鍛えられておりまるで獅子のようなオーラを体全体からだしていた。


 カッケー!知らない人だけど姉御と呼ばせてもらおう。


 「商人のくせにギルドで武器抜いてんじゃねーよ!」


 女性は言葉を発するのと同時に商人を蹴り飛ばしナイフを折り捨てるとそのままこちらへ向かって歩いてきた。


 「よーダルタン。そのちっさいのが息子か?」


 「そうだぜレーレン。ニュクスだ、かわいいだろ?」


 「親ばかだな。部屋に行くぞついてこい。」


 あのーあの人たちそのままでいいんですかね?憲兵呼んだり取り押さえたりって・・・


 「大丈夫ですよニュクス様、先ほどの蹴りで完全にのびてますから。受付の方がそのうち運ぶと思います。」


 そのうちって今じゃないんですね。まあそれでいいならいいんですけど。っていうかこの人がギルマスかよ!!


~~~~~~~~~~~~~


 「で、本当に顔を見せに来ただけか?」


 部屋の中央にあるテーブルを囲み座る中ギルドマスターであるレーレンが肘をついて父さんに語り掛ける。


 「おう、ほかには何もないな。」


 「かーまじかよ。うちに顔を出すんなら儲け話の一つぐらいおいてけよ。なあ坊主?」


 七歳のガキに儲け話しろとか正気じゃないっすね姉御。これが初めての外出じゃなければ何か案を出せたかもしれないけど何があって何がないか全くわかんないから今回は力になれそうにないな。海が近いんだから手っ取り早く干物とか作ればいいんじゃないかな?それぐらいすでにあるか。


 「ちょっとわかんない・・です。」


 「坊主、今何か考えてただろ。言いたいことがあるなら素直に吐いちまえよ。」


 「えーっと・・・干物とかどうですか?」


 「干物ってなんだ?紐の仲間か?」


 「簡単に言えば海産物を干したものなんですけど、普通に食べるのとはまた違った良さが出るし保存も多少利くからいいかなと思ったんですけど・・・。」


 「なんだ儲け話あるじゃねえか。必要なもんを言え、数に用意してやる。うまくいったら名前で呼んでやるよ坊主。」


 干物ないのかこの世界。確かに食卓で一度も見かけることはなかったけどてっきり新鮮な魚のほうが好まれてるだけだと思ってた。


 「どんな魚でもいいですよ、大きくても小さくても問題はないです。貝とかでも行けます。それから水と塩、干すために必要な目の細かい網と紐が欲しいです。」


 「よっしゃ!ちょっと待ってろすぐに持ってくる。」


 そう言ってレーレンさんは部屋を飛び出しどこかへ行ってしまった。


 「なあニュクス、お前どこでそんな知識つけてきたんだ?」


 「黙秘で。」


 「家に帰ったらOHANASIしようか。」


 「助けてギブソン。」


 「領兵はダルタン様の指示が絶対ですので。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ