第1話 新しい世界へ
ゆっくり書いていこうと思います
俺の名前は佐藤 正。高校卒業後に就職した部品の製造会社で働いている。
今日も仕事が終わり家に帰って晩御飯の準備をしようとしたら冷蔵庫の中が空っぽだったので急遽近くのスーパーへ買い出しに来ている。
日の落ちた夜の空の中一人で歩いているといろいろ考え事をしてしまう。入って数年たった会社の年収は同級生と比べ低く自分と何が違うのか、何を間違えたのか。
転職をすれば状況が変わるだろうか?そんな度胸もないくせに転職サイトのチェックを毎日している自分に嫌気がさしてくる。
横を通り過ぎていく人たちは楽しそうに笑っている。俺もこんなくたびれた生活じゃなく毎日楽しくいきたい。だけど楽しい生活ってなんだ?
お金に余裕のある生活?それじゃあむなしいだけだ。それじゃあ友人がたくさんいる生活?そんなことはない大切な友人とは人数じゃない。では妻がいて子供もいる生活か?いや独身遺族という言葉があるくらいだ一人でだって楽しい生活はおくれる。
人によって楽しいの基準は違うが一つだけ言えることがあるそれは日常の中で笑える瞬間それは紛れもなく楽しい時間であり全員が共感できるものである。
「ありがとーございましたー。」
買い物を終え家へと帰る中でふと思う。最近笑ったことなかったな。
毎日流れ作業をしているうちに人生まで流れ作業のようになってしまっていた。会話もない生活それは人との距離を遠ざけ人生を色褪せさせていく。
ほんとどうしようもない人生だな。
プーーーーーーー!!
どこかでクラクションが聞こえる。音は遠いので気にする音はないかと思ったら次の瞬間ドッカン!と大きな音を立てたので思わずそちらを向くと自分に向かって飛んでくる車体が目の前いっぱいに広がった。
抵抗する暇もなくそのまま車に押しつぶされ俺は死んだ。
~~~~~~
ん?
ハッと起き上がると俺は真っ白な空間の真ん中に寝転がっていた。ここは天国だろうか?地獄ってことはなさそうだが何とも言えない空間だ。
「おぬしどこから来たんじゃ?」
「うわっ!!」
突然後ろから声をかけられたのでびっくりして声が出てしまった。慌てて後ろを振り向くと老人が立っていた。
「びっくりさせてしまったか、すまんかったな。でどこから来たんじゃ?」
「・・・○○町のあたりからです?っていうかここどこです?明日も仕事があるんで早く家に帰って飯食って寝ないといけないですけど。」
「そうか地球から来てしまったか。言いにくいんじゃが坊はもう元の世界には帰れんのじゃ。死んでしまっているからな。」
死んでってあの時見た光景は夢か何かの間違いじゃなかったのか。だったら俺はあの瞬間本当に車につぶされてしまったんだな。
「それでじゃ、ここはわしの神域でな本来なら天国地獄に行くのじゃがここに来たのも何かの縁じゃ異世界に転生させてやろう。異世界じゃぞ異世界、地球人それも日本人は特に好きなんじゃろ?」
いやまあ好きですけどそれは設定であって本来自分が行くことになると話は別なんですけど。
「どんな生き方を送りたいんじゃ?それに沿って特殊な力をつけてやろう。」
どんな生き方って・・・仙人のような釣りをして自由気ままに過ごす生活はうらやましいなと思ったことはあるな。
「わかった、それでは魔素を食える体に仙術それから釣りに補正をかけてやろう。魔素とはな異世界特有の物質で空気に含まれる酸素のようなものと思ってくれたらええ。魔法を使うために必要な要素の一つでのあるのじゃ。まあその辺はあっちで覚えるといい。」
魔素=霞みたいなもんか。霞を食って生きるって食費が浮いていいよな。
「使い方はなんとなくわかるようにしておいてやるから自由に使うとええ。それじゃあ転生させるぞ。」
「その前に!転生先はどこになるんでしょうか。」
「おお忘れて負った。坊が釣りをできるように海沿いの町に領を持っている子爵家の子供に転生させるつもりじゃ。」
海かそれはいいぞ。新鮮な海の幸最高だよな~もうそれだけで満足ですよ。
「ありがとうございます。転生先では頑張って生きていこうと思います。」
「うむ、ちらっと前世を見させてもらったが暗い顔をしていてはいかんぞもっと世界は楽しいことに満ち溢れておる笑顔でいなさい。じゃあま~たの~。」