第三十話 ゴシップガールズ
『おはよう、みんな。アンノウンよ。昨日は盛りだくさんだったわね。ところで、わたしの記事にたくさんのコメントが来たわ。
“SとMが姉妹になった”は誰のリーク?
“SとC・Wのキス”は誰のリーク?
答えはSとC・Wのキスに嫉妬した誰かさんのリークよ。まさか、あんなにわたしの記事を嫌っていた彼女がネタを送ってくれるなんて(嫌味付きだったけど……)! 感激よ。みんなはその“誰かさん”が誰か知りたいのよね。でもそれはできないわ。わたしがこの記事を書き始めたころにみんなに約束したからね。
なにがあってもリークをした人を晒すことはない、って。このわたし、アンノウンに二言はないわ。
この話はここまでにして。今日は新一年生歓迎パーティーね。Mは人間界にいたから準備してないけど、イェーニット学園の女王Hは張り切ってるみたい。
当然よね。Hにとってパーティーは自分のものなんだから。新入生なんてどうでも良くて新しい子分を見つけて自分が女王だと認められれば完ぺき。あー、やだやだ。承認欲求の強いHにはわたしから一言あげる。
入学式でのこと、いつかお返しするわ。あなたが裏切り者によくやる復讐をわたしからあなたに。
じゃあねみんな。背後に気を付けて。誰かがあなたを撮ってるかもよ。刃物を持ったHかもしれないけど。~フィクションタイム~』
「ねえ見た? 朝のアンノウンのフィクションタイム! 最近いつにも増して毒舌よね」
「やっぱり? わたしも思ってた。でもハーティンを恨み過ぎじゃない?」
チーナティーとマーメイの声がバスルームからする。
「あんたたち! ハサミはまだ?」
ハーティン・ムーンは勢いよくバスルームのドアを開けて怒鳴る。
楽しそうに話していた二人はバツが悪そうにハーティンにハサミを渡す。
「さぼらないで。わたしが主催したからには歴史に残る新入生歓迎パーティーにしないといけないんだから。チーナティー、赤ワインはダメよ! 床が汚れるでしょ?」
ミアウ・ウァルティーニは朝起きて支度をする。
ミアウと一緒のベッドで寝ていたシュウウィジディーはまだ起きない。
昨夜、ミアウのベッドでシュウウィジディーはミアウの元カレのシック・ウァニュとキスをしていたのだ。
ミアウは忘れようと努力しているが、いまだに忘れられない。
ミアウは少しずつ腹が立ってきた。ヒールを履き、コツコツと部屋の中のバスルームに向かう。桶を取り、満杯になるまで冷たい水を注ぐ。
そしてベッドに戻り、シュウウィジディーの天使のような寝顔にすべてかけた。
「うっ、ゴホッゴホッ! きゃあ! ん、ゴホッ……冷たいっ、ミアウ様!」
シュウウィジディーは起きて目の前のミアウに鋭いまなざしを向ける。
「ごめんなさい。手が滑っちゃって」
すまし顔でミアウが言う。すぐにミアウは部屋を出て行った。
「え? なんなんですか??」
一人残されたシュウウィジディーは上半身をびしょ濡れにされ、情報が追いついていなかった。
次回 朝のシャワーはカップルで




