第一話 Mの帰還
『久しぶり、イェーニット学園みんな。アンノウンよ。すごいびっくりなニュースがあるの。わたしにメールを送ってきた‘匿名番号143’によれば、王宮から出ていくミアウ・ウァルティーニを目撃したらしいの。それって一年半前、急に学校を出て行ったあのミアウ? いきなり戻ってきたんだ。信じられない? 自分の目で確かめて。匿名番号143は写真も付けてくれたから。ありがと』
ミアウ・ウァルティーニは転移陣で魔界に着く。転移酔いで吐きそうになる前に薬を飲む。バックに薬を戻すと扉の前に人がいることに気が付いた。
「ウァルティーニ様、どうぞこちらに」
「えぇ、ありがとう」
王宮の使用人が裏口からミアウを外へ出す。王宮はミアウのいるべき場所ではない。人に見られる前に早くウァルティーニ国に戻るべきだ。
「階段を降りたところに紫の馬車をウァルティーニ様が手配されています。トランクは寮に送っておきますね。もうすぐ新学期ですから」
「あぁ、いや、トランクは自宅に送って。住所は……」
「分かります。どうぞ、早く馬車へ」
「ちょっと待って、このバックだけは自分で持って帰るわ」
凄く急かす使用人の手からミアウは一番小さいトランクを取る。
「では、もう……」
「えぇ」
ミアウは長い階段を下りる。馬車に乗り、扉を閉めて、『カノジョ』の家の住所をトレーに置いてある紙に書く。少しすると紙が消える。馬車の魔法は変わっていなかった。馬車が進んだところで外の景色を見てみる。
誰かがこの馬車に『魔法の目』人間界で言うカメラを向けている。
「迷惑な人」
『やっほー、みんな。さっき届いたメールによればⅯことミアウは自分の家に行く前に寄り道してるみたい。行先は『元』親友のハーティン家。ミアウのことはみんな知ってる、でしょ? さーて、前までは親友と2トップだったミアウはクイーンの座を奪うの? それとも仲直り? わたしが好きな展開は来るのかな♪ ハーティンはここ一年でⅯに対する気持ちが変わったみたいだからそう簡単にクイーンを譲るとは考えられないよね……。わたしは何でも知ってるよ。女の子の秘密って暴くものでしょ? ごめんね♡ ~fiction time~』
次回 第二話 仲直り