第十七話 入学式 後半
「シュリーユの手紙、箱に戻してなかったわ! どうしよ!」
「もう投げなさい! 貸して、あの子ね。フンッ!」
ハーティンがミアウの手から手紙を取り、暗い中、ブロンド目指して思いっきり投げる。
「いたっ!」
頭に命中したようだ。倒れる音がしたので気絶したようだ。
「ちょっと! ハーティン! それは……うっ」
照明が急に付き、ミアウは目を抑える。先生たちは年が多く、長く目をこするものがいる。
「なんだ! この手紙!」「わたしの名前がある!」「全員分あるのか!?」
「皆さん、落ち着いて下さい! 今は入学式の途中です! 席に座ってください!」
一年は目を開けて手紙を読み始めているものが多い。シュリーユはまだ起きていない。
新入生代表のシュウウィジ・ディーは先生たちに代わり、早くも一年に指示を出している。
優秀な子だ。だがハーティンにとってはすごく邪魔な子だ。
「なに、あの子。ミアウ、行くわよ」
「えぇっ、ハーティン? ステージに立つつもり? 先生たちもいるのよ?」
ハーティンはミアウの忠告を無視して階段を下りていく。そしてステージへ向かう。
ミアウは急いで追いかけようとしたが、ハーティンは指示を出していたシュウウィジ・ディーからマイクを取った。手遅れだ。
「ごきげんよう、新一年生諸君。わたしは、二年のハーティン・ムーンです。
この中には外部進学、内部進学の子達がいると思います。どちらの方も知っているゴシップライターにわたしはいじめられました。えぇ、アンノウンです。彼女はエンペラーマガジンなどに乗っている情報だけでなく、皮肉も書いてわたしたちを懲らしめています。
わたしが配ったその手紙には全部で五枚の紙が入っています。それらはすべてアンノウンからわたし、ハーティンへの個人メールです。彼女がどれだけ残酷か、あなた達には知ってもらいたいんです。
そして、アンノウンの正体を知っている者がいればわたしの所に来てください! あと、シュリーユは……」
「ムーン! 何してる!」
流石に目が戻ったのか、教頭がステージに上ってきた。シュウウィジ・ディーはすごく焦っている。自分のマイクを取った人が教頭に抑えられたら誰でもそうなるだろう。
「離してっ! アンノウンはアバズレ女よ! 注意してるだけじゃない! もー! 離して!」
そのままハーティンはステージ影にある部屋に連れられた。もうすぐで見つかりそうだったマーメイがこっそり講堂を出ていった。
ミアウは講堂で無様に倒れているシュリーユを横目にこっそり階段を下りた。
その時、ミアウの、講堂全体にミニターの通知音が来た。ミアウは自分のミニターの音が大きいのかと驚いたが、どうやら違うらしい。みんなしてミニターを見ている。
『やっほー、みんな。イェーニット学園の入学式は最悪だったね。新一年生たちは、ほら吹きハーティンに近づかないようにね。全部を嘘で固めて本当のことは隠すから。
ちなみにわたしはハーティンに個人メールを送ったことはないよ。送られたことは何度もあるけど。みんな送ってくれるからハーティンのメールはあんまり開かないようにしてるの。
それより、Ⅿはどこかな? Ⅿも広場にいないみたいよ。登校してたのにね。一年生たちのすぐそばにいるのかも。
みんな、アンノウン、わたしの元に帰って来て。~フィクションタイム~』
次回 お説教は校長室で




