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リッチガール ~fiction time~  作者: 華小雪
シーズン1 M
12/36

第十一話 シック

「エリック、一つ部屋を貸してもらえないかい?」


 シックはエリックの隣に座る。そのことに怒ったのか、エリックはシックの肩に手を回して耳を引っ張る。シックは耐えようとしたが痛すぎる。


「うううぅぅぅぅぅ」と喚きながら彼の太ももを叩くことしかできない。シックは話し合いに来たというのに。

 廊下を歩く音が聞こえ、エリックは回した手を左手の資料に戻す。シックは耳を抑えてソファーから立ち、目の前の机に腰を下ろす。


「二人して何しているんですか? お風呂は空きました」


 足音の正体はバスルームに行ったウィルジウスだった。エリックはシックの様子を伺う。彼はウィルジウスをソファーに座るよう言っている。


「おい、ウィルジウスを変にするんじゃないぞ。早くバスルームへ行け」

「やだなあ、心外だ。私はスペル合わせゲームをしようとしただけだよ。お前も早くウィルジウスの部屋を作ってくれ。毎日腰が痛くてしんどい。それか私がミアウの部屋に行ったほうがいいか? ちょうどあの部屋はダブルベットだから……」


 シックは挙げられた手に気付いて口を止める。エリックはシックを睨んでから手の主に声をかける。


「どうしたんだ? ウィルジウス。困ったことでもあるのか?」

「ぼく……邪魔ですか? これからはベディーにお願いしたほうがいいですか?」


 シックとエリックは顔を合わせた。


「「あいつだけはダメだ!」」




 ミアウは自室付きのバスルームから出る。口からはため息も出てきた。


「やっぱり。人間界の方が良いシャンプーじゃない。あー、戻りたーい」


 勢いよくシルクのベッドにダイブする。髪を乾かさないで寝るのはいつぶりだろう。そんなことを思いながら眠りについた、すぐ後。ミアウの机付きタイプライターが動き出した。



 シック・ウァニュはシングルベッドから起き上がる。

 ベッドの半分以上をウィルジウスが攻めていた。


 ため息と共にカーテンを開けると朝日が見える。そして壊れた壁掛け時計を横目にクローゼットからいつもの黒スーツを取る。自室のバスルームに行き、そこで着替え、時計置き場から一つの時計を取り、付ける。ネクタイ置き場からもタイを取り、締める。


 ウィルジウスを起こそうとベッドに近づいた時、ドアがノックされた。シックは急いでウィルジウスに顔まで布団を掛け、髪を整えてドアを開く。


「なーんだ。エリックか。朝食、誘いにきたのか?」

「バカ言うな」


 エリックは否定しながらベッドに視線をやる。


「ウィルジウスの部屋を作ったよ。だが、荷物が遅れていてね。いつまでかかるか分からないらしい。まだここで寝かしてあげないか? 嫌なら私の部屋に移動させるが」

「ここでいい」


 シックは気持ちよさそうに寝ているウィルジウスの髪を撫でた。

次回 リッチな女の子の入学準備♡

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