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私のおウチ様がチートすぎる!!  作者: トール


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51.リッチモンドの両親






リッチモンドさんはオルゲンの話を聞き、暫く黙っていた。

気持ちの整理がつかないのかもしれない。


私がオルゲンの話しで気になっていたのは、リッチモンドさんのお母さんの事だ。


「オルゲン、お母様が地に縛られているってどういう事なの?」

「うむ……。そこは我にもよく分からぬ。母上は今も地に縛られているし、父上は母上を守る為に一緒に眠っている」

「リッチモンドさんとオルゲンのご両親はご存命なのね」

「生きてはいるが、死んでいるのと変わらぬぞ?」


はい?


「リッチモンドが国を作り、村は無くなったが、母上は地に縛られたまま眠りにつき、それを追って父上も眠りについた。目覚める気配も無いから、死んだも同じであろう?」

「いや、同じじゃないでしょ? というか、眠りって何? ドラゴンって冬眠みたいに長い眠りについたりするもんなの?」

「そんな事はせん」

「じゃあ何でご両親は眠りについたわけ?」

「だから言ったではないか。地に縛られ身動き出来ぬからだろう」

「地に縛られて身動き出来ないから眠りにつくの?」


オルゲンの言っている事がいまいち分からない。


リッチモンドさんはさっきから何かを考えており、私の手を握ったまま動かないし……。


戸惑っているんだろうな……。


「母上が何故地に縛られているのかはよく分からぬし、何故眠りについたのかも分からぬ。無論、母上を開放する為に父上と色々試したが、無駄だった」


オルゲンは本当に分からないようで、困ったように眉を八の字にして饅頭を口に放り込んだ。

「うまい!」と言って次々口へ放り込むオルゲンに、そういえばお腹を空かしていたんだと思い出す。


「オルゲン、村に帰ったらうどん作ってあげるからね」

「そうだ! “うどん”!! 早く帰るのだっ リッチモンド、我は早くカナデの村に行って、“うどん”を食したいのだ」

「こらこら、まだオルゲンがロッソに力を吸い取られている問題も解決してないでしょうが」

「これを食べたら元気になったから、大丈夫なのだぞ!」


それは家召喚の力で、ここにある食べ物を食べたら魔力が回復するからだ。


だけど、根本的な事は解決していない。

もし仮に、オルゲンの力がロッソに吸い取られているとしたら、今もロッソは魔力を吸い取り続けてるわけでしょ。

それって、オルゲンがここの食べ物を食べてたら、ロッソは永遠に魔力が減らないって事で……。


「全っ然、大丈夫じゃない!! どうにかしないと、ロッソが何をするか分からないよ」

「そんな事を言われても……っぐ、ごっほ! ゴホッ」


突然オルゲンが咳き込んだ。

手に持っているのは栗饅頭だ。きっと口の中の水分が栗饅頭に奪われたのだろう。


「ゴホッ な、何だこれは!? 急に、我の口の中の水分が無くなったぞ!? ゴホッ」

「栗饅頭はそういう食べ物なんだよ。お茶を飲みながら食べなよ」

「そういう事は早く言え!」


というどうでも良いやり取りをオルゲンとしていた時だ。リッチモンドさんが立ち上がり、オルゲンをじっと見下ろしているではないか。


「り、リッチモンド……? ハッ もしかして、この食べ物が欲しいのか!?」


食べかけの栗饅頭をリッチモンドさんに掲げるが、絶対違うと思う。


「リッチモンドさん……?」


いつもと様子が違うリッチモンドさんに恐る恐る声を掛けると、「カナデ」と呼ばれ、「はい!」とつい声をはって返事をしてしまった。


「カナデはわしのつがいだ」

「え?」


手を引っ張られて気付けばリッチモンドさんの腕の中におり、何が起きたのか分からず、ぼぅっとリッチモンドさんの顔を見上げていた。


「わしの時は、丁寧な言葉を遣うが、邪竜……オルゲンの時は……仲が良さげだ」

「へ?」

「うぬ? 確かにカナデは我にタメ口を使う。リッチモンドの言う通り、もっと我を敬え!」

「リッチモンドさんはそんな事言ってないでしょ!?」


オルゲンの言葉にツッコむと、リッチモンドさんの腕の力が少しだけ強くなる。


「オルゲン。カナデはわしのつがいだと言っただろう。馴れ馴れしくするでない」

「!? り、リッチモンドに怒られた……」

「え!? リッチモンドさんが怒る!?」


あの誰にでも優しいリッチモンドさんが?


「カナデ、いくらわしでも、つがいにちょっかいを出されると怒るぞ?」


怒りが持続しないのか、私の驚きに眉を八の字にするリッチモンドさんが可愛い。


「カナデにちょっかい!? 出すわけなかろう! カナデの顔を見て言え!」

「ちょっと!! どういう事!? もう、うどん作らないからね!!」

「何だと!?」


私達のそんなやり取りに、バカバカしくなったのか、いつのまにかリッチモンドさんは苦笑いしており、オルゲンと敵対していた事が嘘のように、二人の間の空気が緩んでいたのだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




『ここは……外……? 何故……、中に入れない───……結界か? このオレが……結界ごときに拒まれるだと……っ あの小娘の仕業か……っ』




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― 新着の感想 ―
[良い点] 安定のオルゲン笑 天然おバカで大好きです( ´罒`*)✧ [気になる点] 怪しげな術でお母さんは縛られてるんだよね、でも死んでなくて良かった。 [一言] 再開待ってました!大変だと思うけど…
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