(9)#猫耳女
「1名様ご宿泊でーす」
猫耳女は元気よく言いながら、中年の男主人がいるカウンターへ俺を突き出した。
「いらっしゃい兄ちゃん。こいつに捕まったか」
某ゲームのト○ネ○みたいな体格の主人がガハハと笑いながら言ってきた。
「はい。有無を言わさずに」
ため息混じりに俺は返事をした。
「何だよ。困ってそうだったから連れて来てやったのに」
猫耳女は不服そうに口を尖らせた顔をしている。
「セーラ。兄ちゃんを部屋へ案内してくれ」
主人は猫耳女の名前を呼んでカギを渡した。
「ほーい。客室は2階だよ」
セーラは両腕を首の後ろに組んで歩き出した。
俺は黙って後ろについていった。
「そういえば。あんた、名前なんていうの?」
「凡田弾です」
「ええと、面倒くさいからダンでいいよな」
「別にいいけど」
異世界はこんなものかと思ったので、オッケーした。
「ここがダンの部屋だよ。飯は食べるなら、近くに美味い店があるから案内するけど」
「ああ、頼むよ。ちょっと休んでからでいいかな?」
「わかった。じゃあ、三十分後でいいかい?」
「ああ。それでいいよ」
「了解」
「ふぅ」
セーラが部屋を出て行って、俺はベッドへ横たわり一息ついた。
「マジで疲れたな」
まだ疑問は多かったがやっと落ち着ける場所に来たことで俺は一気に疲れが出てしまい、ちょっと横になるだけのつもりがみるみる眠りに落ちていってしまった。