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いいねでレベルアップ!〜異世界冒険記〜  作者: 傘音 ツヅル
いいねでレベルアップ!〜異世界冒険記〜
80/112

(80)#望まぬ再会①

「変わった建物ばっかりだな」

「大声で恥ずかしいだろ」


 歴史的建造物みたいな街並みに興奮するセーラに、俺は周りを気にしながら注意した。


「別にいいだろ。久しぶりにフリーダム以外の国に来たんだから」


 ブーという顔でセーラが言い返す。


 開催地であるサントルに、俺達は調査とレベル上げの為に来ていた。


 ちなみにここは国境にあるヤーニという街だ。


「痴話喧嘩はやめろ。恥ずかしい」

「痴話喧嘩なんかしてないっつうの」


 付き添いで来ていたロベルトさんにからかわれ、セーラが顔を真っ赤にして言い返す。


「すみません。うるさくて」


 俺は取材で同行していた藤さんに謝った。


「面白いのが撮れて助かります」


 笑顔で答える藤さんが、隣にいるディレクターが持つカメラを指差して言った。


「皆さん、領主様への挨拶をしに行きましょうか」


 入国などいろいろな手続きを終えてマークさんが戻ってきた。


「ほらセーラ、ロベルトさんも行きますよ」


 犬猿みたいにいがみ合っている2人をなだめ、俺達は領主の館へと歩き出した。



「ようこそ凡田殿。リードと申します。あなたのことは国王から聞いております」


 館に着くと、サンタクロースみたいな髭と体格をした初老の男性が、力強い握手で出迎えてくれた。


「国王がですか?」


 国王が俺を知っていることに、はてなマークが頭に浮かぶ。


「フリーダム王やビルダーランド王は、世代が近いのもあり、よく会合をチャット?通話なるものでしているそうでして」


 領主様は俺の疑問を察知し、面倒がることなく丁寧に答えてくれた。


「そうだったんですね」

「王も会いたがっておりましたのでお時間があれば」

「そんな大層な人間じゃありませんけど」

「相変わらずだな」


 聞き覚えのある声に振り向いた俺は、思わず固まってしまった。


「水上」


 名前を呼び、俺はゴクリと唾を飲んだ。


「お互いおっさんになったな」


 水上はボサボサの頭をかきながら近づいてきた。


「昔から固いというか、暗いというか」

「何だお前。ムカつくな」


 隣で聞いていたセーラが水上を睨んで言った。


「おーこわ。何だ凡田、彼女連れかよ」


 水上はセーラを軽くかわし、ヘラヘラしながら話し続けた。


「お前も変わらないな」


 興奮したセーラを見て逆に落ち着いた俺は、冷静な口調で答えた。


「皆さん、食事の準備が出来たようなので」


 ピリついた空気を感じたリードさんが会話に入ってきた。


「俺はパスで」


 領主様の申し出を断り、水上はダルそうな足取りで外へ出て行った。

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