(79)#作戦会議④
「まず1人目の女性は、剣道心さん。年齢26歳、元警察官。小、中、高、大学、社会人、全てで全国大会に出場。高校3年からは個人で負けなしの全国1位だったみたいですが、2年前に一身上の都合で退職してからは表舞台には姿を現してないですね」
経歴が漫画みたいに凄いな。
周りを見ると、異世界の武道だからか凄さがあまり伝わっていないようだ。
「次に後藤渚さん」
全員が黙って続きを待っているのを察した藤さんは、次の女性の説明を始めた。
「年齢は25歳。スポーツや武道は未経験ですね。職業はドラマの脚本家をされています。新進気鋭の作家としてヒット作が続いていましたが、2年前から休業状態だったみたいです」
すごい才能の持ち主なんだろうけど、よく異世界でやってこれたなと俺は思った。
「よくそんなお嬢さんが生きてこれたな」
心を読んだかのように同じタイミングでロベルトさんが藤さんに言った。
「最初はボロボロだったみたいですけど、人を惹きつける文章が派遣された中でダントツにいいねを稼いだみたいです。かなりのレベルアップと特典のスキルを利用して今では凄腕冒険者として活躍しているみたいです」
やはり才能を持った人は、環境が変わっても道を切り開くのだなと思った。
「では続けますね。佐藤明さん。今回のメンバーで最年長の40歳。実業家として複数の会社を経営していましたが、2年前に全ての経営を社員に任せて退職しています。それからはほぼ海外を渡り歩く生活で日本にはいなかったみたいです。」
無職かもしれないが、1人だけ悠々自適の生活って感じだな。
「説明は以上です。凡田さん合わせて計7名が各種目の合計で競い合います」
「2つ目は男女でも差は無さそうだが、他の2つは男が優勢にならないか?」
藤さんが説明を終えると、ベロニカさんが手を挙げ質問した。
「単純に言えばそうですが、派遣された方々は独自のシステムで能力をアップしているので、やり方によっては女性にも瞬殺される可能はあります」
藤さんはいつものアイドルスマイルではなく、キャリアウーマンという感じのビシッと決まった口調で説明してくれた。
「じゃあ、開催地に行ってガンガンいいねを稼いで強くなるしかないわね」
藤さんの説明を聞いたセーラが、そう言いながら俺の背中をバシバシと叩いた。
「痛いって」
俺のリアクションを見たみんなの笑いに会議室は包まれた。




