(7)#目的
「デハ、ワタクシハコレデ失礼シマス」
「ああ、ご苦労様」
自撮り君は一礼すると、一瞬で消えた。
「疲れてきたな。そろそろ街に行くか」
突然の異世界にドタバタしていて忘れていたが、飯や寝床を何とかしなければいけないことを思い出した。
「ええと、スマホに地図とかあるのかな?」
元の世界のようにスマホで地図が見れるか探したら、親切にプリセットされているものの中に地図アプリがあった。
「よしよし、ここから近くの街までセットしてと」
街まで歩こうとした俺はふと疑問が浮かんで足を止めた。
「GPSが使えるってことはこの世界にも衛星があるってことだよな」
もう一度アプリを見てみる。
地図を拡大すると、俺がいた世界とうり二つの地球が表示された。
「しっかり世界把握出来てるじゃん、これなら俺たち《ニート》が冒険する意味ってあるのか?」
考えても仕方ないので、俺は担当の安木さんにメールを送ってみた。
問い合わせてすぐにスマホはピコンと通知音を鳴らした。
『国の調査と異世界との国交はしておりますが、市民目線の冒険記録が必要と判断し、あなたや他の冒険者が選抜されました』
「要するに俺たちはルポライター代わりで異世界に放り込まれたわけか」
とりあえずの目的がわかった俺は、街へ向けて歩きだした。