(51)#vs魔族軍団①
「ここが採掘場か」
俺はロックさんに教えてもらった鉱山の採掘場にトールと一緒に来ていた。
「それにしてもそのアプリとやらは便利ですね」
トールは初めて見る地図アプリに興味津々の様子だ。
「ロックさんからもらった書類もデータにして入れてあるぞ」
アプリで画像登録し、データ文書にしたものを俺は自慢げにトールに見せた。
「ホントに便利ですね」
「だろ」
別に俺が作ったわけではないが、何だか嬉しくなった。
「ていうか俺について来てよかったのか?」
俺はスマホで魔法原石や魔族の反応をアプリで見ながらトールに訊いた。
「マークさんはビルダーランドの方々と会談で城にいますし、護衛団の兵士だけでも問題ないと思います」
トールは準備体操のような動きで体をほぐしながら返事をした。
「ならいいけど。じゃあ行くか」
「はい行きましょう」
「なんかガスくさいというか蒸し蒸しするな」
採掘場に入ると、中は薬品のような臭いが充満していた。
「確かに。鉱山はこんなものなんですかね」
フリーダムは木々など自然豊かだが、鉱山はほとんどないのでトールも初めてのようだった。
「いや、鉱山にしても臭いがきついな」
俺はスマホで採掘場の地図を確認した。
「かなり大きな魔力反応があるな」
バットハンターの戦った後、安木さんにお願いして魔力を持つ生物反応を確認出来るようアプリをアップデートしてもらっていた。
「そんなことも出来るんですか?」
トールはまた興味津々な顔で訊いてきた。
「ああ」
「精密なコントロールや認知能力の高さが必要とされる上級魔法と同じことをそんな小さな物が出来るんですね」
トールは感心しつつ、複雑な表情をしている。
「大きな反応があるとこに行ってみるか」
「やっぱりその反応が魔族なんですか?」
「恐らくな。過去の2体を分析したデータで反応を検出する精度を上げたらしいから」
安木さんから届いたメールの内容をほぼそのまま話した。
「少し緊張します」
確かにトールの表情は固くなっている。
「トールは魔族と戦ったことはないのか?」
「ええ。魔族との戦闘が許可されているのは各支部の団長やベロニカさんのような親衛隊の騎士だけですから」
「そうなんだ。まあ、俺もいるし。2人なら大丈夫だろう。最悪の場合は即退却だ」




