(23)#王都に来ました
「《ゲート》」
複数人用のワープ魔法をトールが唱えると、輝く門の形をした入口が現れた。
トールは魔法の実力が騎士団で一番らしい。
「剣も魔法も出来てイケメンだし、トールずるいよな」
「イケメンて何ですか?」
俺の僻みは異世界の言葉の壁に虚しく散った。
「いや、何でもない。行こうか」
「はい。団長、行きますよ」
「ああ、悪い。これを忘れそうになってな。ハハハ」
そう言って笑うロベルト団長の手には綺麗な装飾が施されたバッチがあった。
「それがないと城のバリアを解除出来ないじゃないですか」
トールが呆れた顔でツッコミをいれる。
「そんときは門番に開けさせればいいだろ」
ロベルト団長はトールのツッコミを全く気にしてない感じで笑い飛ばした。
「勘弁してくださいよ。それで城の守備隊長から文句言われるの僕なんですから」
毎回振り回されるトールが可哀想な気もしたが、つい笑ってしまった。
「よし、行くぞ」
「ハァ〜。もういいですよ」
マイペースなロベルト団長に続いて俺達はゲートを通ると、石造りの橋の上に出た。
「おお。ホグ○ーツみたいだな」
目の前には中世ヨーロッパの雰囲気を感じさせる堅固な城がそびえ立っている。
「団長、早く解除してください」
「わかったわかった。うるさいなお前は」
トールに急かされ、ロベルト団長がバッチを城門にある穴にはめ込んだ。
ロベルト団長を先頭にバリアが解除された城門を通ると、素人にもわかる威圧感を放つ女騎士が立っていた。
「ベロニカ、久しぶりだな」
ロベルト団長は物怖じせずベロニカさんに声を掛けた。
「久しいな。正直、会いたくなかったが」
「あ?何か言ったか?」
「いや、別に」
俺とトールはハッキリ聞こえたが、目を見合わせて聞こえないていないフリをした。




