(17)#ダンジョン探索(フリーパーク)③
「よし、そろそろ行くか」
弁当を食べ終えた俺は、片付けて探索を再開した。
「この前手に入れた剣を使ってみるか」
俺はストックで武器を交換した。
「火と水の魔法石をここにはめ込んで」
魔法石とは魔法原石を加工してアイテム化したもののことをいう。
装備し直した剣に各属性の力を宿した魔法石を俺ははめ込んだ。
装備セットの剣に比べて大きくて扱いに体力を使うが、かなり攻撃力は上がったし、アイテムで効果を付与出来るようになっていた。
「自撮り君、次の戦闘では剣が目立つように撮ってくれ」
「カシコマリマシタ」
ビシっと敬礼をして自撮り君は返事をした。
「じゃあ、午後も頑張って行こう」
自撮り君しかいない空間に寂しさを感じつつ、俺は自分で自分のテンションを上げようと元気よく声を出した。
「おっ、トールじゃないか」
少し歩いた先に見知った顔を見つけたので声を掛けた。
「ダンさん。今日も探索ですか?」
「ああ。トールは見廻りかい?」
「ええ。ちょっと採掘職人たちが気になることを報告してきたので」
トールはフリーパーク在住の騎士団の副団長だ。
「何があったの?」
「魔法原石の濃度がいつもの倍以上あるそうなんです」
「倍以上って。ここのダンジョンでありえるのか?」
「普通はないです」
魔法原石はダンジョンにいるモンスターが放つ魔力をクリスタルが吸収し出来るもので、濃度はモンスターが強ければ強い程高くなる。
「なので、探索は慎重にして下さい」
「わかった。気をつけるよ」
俺は気を引き締めて探索を再開した。