(13)#タッチ決済出来ました
「ふぅ。美味かった」
セーラが満足そうに腹を叩きながら言った。
「じゃあ帰るか」
俺は立ち上がり、ダリアがいるカウンターまで歩いた。
「会計お願いします」
「あいよ。異世界の飯は口にあったかい?」
「ええ。とても美味しかったです」
「そりゃよかった」
「支払いはこれで大丈夫ですか?」
俺は決済アプリを見せながら訊いた。
「ああ大丈夫だよ。ここにそれを置いておくれ」
ダリアが指差したものはタッチ決済の機械で点滅しながら光っていた。
「へぇ。これがキカイってやつか」
セーラは初めて見るらしく、目を丸くしていた。
「私も使うのは初めてだよ」
「そうなんですか?」
「国のお偉いさんと異世界人の集団が来てね。置いていったんだよ」
いいねのポイントが紙幣代わりとアプリの案内にはあったものの、半信半疑だったので使えて安心した。
「はい。確かに」
キュリンと爽やかな音が鳴り、ダリアが会計が済んだのを確認した。
「ごちそうさまでした」
「ありがとうね。またおいでよ」
「ええ。また来ます」
ダリアの気持ちのいい笑顔に見送られ、俺たちは店を出た。
「アタシの分まで良かったのかい?」
店を出て訊いてきたセーラは、らしくない感じで申し訳ない顔をしていた。
「ああ。いろいろ世話になったからな」
「じゃあ遠慮なく。ごちそうさん」
「よし、帰るか」
満腹になり程よく眠くなってきたので、俺は足早に宿へ戻った。