表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいねでレベルアップ!〜異世界冒険記〜  作者: 傘音 ツヅル
いいねでレベルアップ!〜異世界冒険記〜
107/111

(107)#跡目問題③

「休養中に申し訳ありませんでした」


 俺達を家まで送り届けた安木さんが、玄関前で軽く頭を下げ謝罪した。


「気にしないでください。僕の問題ですから」


 俺は安木さんが気にしないように笑顔で言う。


「では、私は失礼します」


 気のせいか、安木さんはちょっと恥ずかしそうに車に乗って帰って行った。


「そういう天然の女たらしな所は父さんそっくりね」


 いつの間にか隣に立っていた母さんがボソっと呟いた。


「何を言っているんだよ」


 からかわれた俺は、ムキになって言い返してしまう。


「お父さんゆずりだったわけね」


 そう言いセーラが冷たい視線を向ける。


「いやいや、セーラまで何言ってるんだよ」

「セーラちゃん、女たらしは放っておいて入りましょ」

「はいお母さん」


 女2人が結束を固め家に入って行き、俺はポツンと玄関前に取り残された。



「それで、あんたどうするわけ?」


 全員分のお茶をテーブルに置き、母さんが座りながら俺に訊く。


「どうするって、突然継げって言われてもな。ていうか説明してくれよ」


 俺はお茶を啜りながら、母さんに詳しい説明を求めた。


「私はこっちの世界の人間じゃないのよ」


 母さんは結構な事実を何でもないことのように言った。


「異世界人ってこと?どうやって来たの?」


 スミスさんとの会話で察しはついていたが、いざ母さんから説明されると、動揺して頭が処理出来ずにいた。


「跡継ぎのことで家出した私は、ダンジョンに迷い混んでしまって。中にあった次元の狭間っていうのに吸い込まれてしまったのよ」


 俺とは逆で母さんは淡々と説明していく。


「それでこっちの世界に来た私は、いろんな人に助けられて、何だかんだあって政府の監視下に置かれることになったのよ」


 突拍子もない出来事を青春の思い出を語るように母さんは話し、ふぅと息をつきながらお茶を飲んだ。


「それで戸籍をもらった私は、児童施設に住むことになって、高校に通うことになって、それであとはこの前話した通りよ」


 面倒くさくなった母さんは、途中を端折って説明を終わらせた。


「ってことは、俺は異世界人とのハーフなの?」

「そういうことになるわね」

「マジか」


 俺は突然明かされた事実に頭を抱えてしまう。


「じゃあ、異世界とのゲートが繋がったのって」

「私が来たのがキッカケになるわね」

「マジかー」


 異世界で冒険することになった原因が母親だったとわかり、混乱と驚きで机にうつ伏せになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ