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いいねでレベルアップ!〜異世界冒険記〜  作者: 傘音 ツヅル
いいねでレベルアップ!〜異世界冒険記〜
106/111

(106)#跡目問題②

「ちょっとダン。これってどういう状況?」


 高級ホテルのスイートルームに通され戸惑うセーラが、袖を引っ張りながら小声で俺に訊く。


「俺もさっぱりだよ」


 母さんは家出してから絶縁しているとしか話してくれなかったし、親戚の誰とも会ったことがなかったので、母さんの実家については何も知らないのだ。


「安木さん、これってどういう状況ですか?」


 右隣りをチラッと見たが、とても母さんには訊けそうになかったので、スミスさんの少し後ろに立っていた安木さんに訊いた。


「私が説明しましょう」


 安木さんを手で制し、スミスさんが話しだした。


「弾様に当主になって頂きたく参りました」

「当主?」


 自分に無縁な言葉が出てきたので、馬鹿みたいな顔で訊き返しまう。


「はい。跡継ぎの方がおらず、現当主の孫であられる弾様に跡を継いで頂きたいのです」

「どういうこと?兄さんは?」


 我慢出来ず母さんが会話に入ってきた。

 

「アーク様は持病が悪化され亡くなられました」

「兄さんが・・・・・・」


 母さんはショックを隠せず言葉に詰まる。


「そういうわけで」

「何がそういうわけよ」


 淡々と話しを進めるスミスさんに、母さんは怒りをむき出して怒鳴った。


「あんな家潰してしまいなさい。この子を巻き込まないで」


 興奮した母さんは、早口でまくし立てる。


「そういうわけにはいきません」


 スミスさんは母さんの剣幕に動じず、冷静に言い返す。


「モルガン家は貴族の名門。決して絶やしてはならないのです」

「勝手言わないで」


 母さんも少し冷静になってきたが、まだ語気は強めだった。


「勝手なのはお嬢様です。本来なら、病弱なお兄様に変わり、あなたが後継者となるべきだったのに」


 スミスさんは言葉は淡々としていたが、顔は少し興奮しているように見えた。


「それは」


 母さんもお兄さんに申し訳なかったのか、顔が曇ってしまう。


「だけど何でいまさら。分家にも優秀なのはいるんだから、養子を取ればいいでしょ」

「それはアーク様も仰っていたのですが、ジーク様が直系をどうしてもと」

「クソ親父」


 会話の流れから、ジークさんというのが俺の祖父らしいことはわかった。


「あのー、アークさんは結婚されなかったんですか?」


 ちょっと気になったので、俺は会話の合間を見つけて訊いた。


「結婚されたのですが、奥方様とは子宝に恵まれず、ジーク様が離縁させてしまわれたのです」

「ほんと最低だな、あのクソ親父」


 そう言って、母さんは思いっきり舌打ちをした。

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