第三十九話 『英霊の刃を手にフォーシールを追いかけろ』
「どこやここ?」
マントの男の光により、どこかに移動した俺達、目がなれておらず、まだ周囲が白いが、卓也の声が聞こえてきた。良かった。どうやら、分断はされてないみたいだ……。
「そうね、ここはどこなんだろう……彼は英霊がどうの言っていたけど」
「それよりも俺はあの男の話した内容の方が気になるな、ただの遊女が虚無のエネルギーを集めさせていたんだろ? かなりヤバい奴だぞ」
目が慣れず、周囲を警戒する俺達に対し、貴明の声が響く、てかお前は余裕だな……。
「まぁ、確かに貴明さんの言う通りよ、デモンやカイゼルは確かに娼婦だか遊女に貢いでいたとは言ってたけど……まさか、虚無のエネルギーの欠片を貢いでいたなんて……」
「色々考えることはできるが、とりあえずは目的をどうにかせなあかんやろ? 黒幕の事を考えるのは後にするぞ」
俺はそう言って、正面を見た。すると、ゆっくりと視界が貼れ、目が慣れ、俺達が今いる場所の全容が少しずつ見えてきた。
「なんじゃここ?」
「何処や?」
「外だよね?」
「英霊たちの力……成程、そう言う事ね……」
俺、卓也、リサは森? 林の中に囲まれ、傍には手入れはされている物の少しさびれたお堂のような場所がある広場の様子を見ながら周囲を見渡した。
しかし、貴明だけはここがどこなのかマントの男が言った意味が分かっているかのように笑みを浮かべていたのか。
「ここはどこ……森」
「せやな……でも、森や林の中じゃないな……山の中腹部みたいやな……」
「おいおい、学校から弾かれたんか? てか、何処の山の中や? 場所によったら結構ヤバいぞ……」
「そうね、私のテレポートじゃ元の場所に戻れない……というより、使えるかもわからない……困ったわね……」
「いや、大丈夫や。そんなに離れてない……」
周囲を見渡しながら慌てる俺とリサに対し、貴明は特に慌てることなく、広場を歩きながら言った。
「え? ここがどこか分かるんけ?」
俺の言葉に貴明は足を止めるとゆっくり頷いた。
「学校の横の山や、もっとも、元の場所に戻れるかは分からないけどな……距離にして一キロも離れていない……このまま行けるが……どうする?」
貴明はそう言って、左を……東側を睨んだ、なるほど……そっちに学校があるのか……。
「貴明さんよく分かったわね? ここに来たことあるの?」
「あるもないも、一応この辺に住んでるし、ここは家の墓がある山なんよ……」
「あ~、そういや言いよったな。昔、そうなれば……このまま学校に向かうか……ん? リサどうした……?」
俺は背後を眺めているリサの方を見て尋ねた。
「ごめん、あの岩なに? なんか異様な力を感じる……」
リサの言葉につられ、俺達はリサの見る方を……俺達の背後にある、岩を見た。ん? なんかあれ……
「光ってへんか?」
俺が言葉を発そうとした瞬間、卓也が口を開いた。そう、煌々と光を放っているわけではないが薄らぼんやりと光っていた。
「あれ……なに?」
「ただの石碑……なんやけど、なんやあれ? 心霊現象か?」
「確かにお墓が近くにあるって言ってたけど……違うよ、禍々しさは特にない。なんか不思議な感じがする……」
「無視をして……とは無理そうやな、どうするター君?」
「ター君言うな! しゃーない行って見よか……」
俺は卓也に向かって叫ぶと、ゆっくりと佇む石碑に向かって足を進めた、足を進めるたびに光は強さを増す。
しかし、学校内や町中を歩いていたときに何となく感じていた圧迫感のような物は無かった。
「本当に不思議な力よ……虚無のエネルギーが充満しているこの町の中であそこだけ違う雰囲気よ……」
リサがそう言うと俺達は石碑まで後、数メートルいや、数センチの方まで来た時、石碑はまばゆい光を上げた!
「うおっ!」
「な、なんや!!」
「この光、石碑じゃないよ! ター君から光ってる!!」
「ほんまや! お前、突然の怒りに目覚めた黄金の戦士に変身するんやないやろなぁ!!」
リサの言葉に俺は周囲を見ると、彼女の言う通り石碑ではなく、俺が輝いていた。いや違う、俺じゃない……。
「刀や……これが輝いてるんや……」
俺はそう言いながら光り輝く刀を引き抜いた。すると、折れたはずの刀の刃先が生成されより強く、朝日のように光り輝いた!
「うおっ」
「まぶしっ!」
俺達は思わず、その光から逃げるように目を瞑った! どのくらい瞑っていたのかは分からないが、目に感じる光、熱が徐々に消え失せて良き俺達はゆっくりと目を開けた……。
「場所が移動している……? ここはどこだ……」
先に目を開けた卓也は周囲を見渡す、俺は目を擦り数回瞬きをすると卓也同様周囲を見た。
「さっきまでいた山とは違う、森の中……やな……貴明!?ここはどこか分かるか!」
「いや、分からん……俺が知っとる場所じゃない……もしかしたら中に戻ってきたんじゃないか?」
貴明はそう言いながら周囲を見渡す、すると、俺達の視界の先の茂みがガサガサと揺れ始めた。
「! 何かくる!?」
俺はそう言って構える、するとだ、茂みを突き破る様にして数体のゴブリンがこちらに飛びかかってきた!!
「どうやら、中に戻ってきたみたいやなぁ!!」
卓也は叫ぶと剣を引き抜きゴブリンを切りつけた、対する俺も刀を勢いよく真上から振り下ろした!
その時! 刀の刃がまばゆい光を放つとそこから斬撃が一気に飛び出し卓也が切り裂いた以外のゴブリンをすべて斬り飛ばすと、そのゴブリンはチリのようになり消滅した!?
「軽く振ったのに……なんて力なんだ……」
俺は刀を見ながらつぶやいた、すると傍にいたリサが俺の右腕をグイッと引っ張り、刀をまじまじと見つめた。
「これ……ター君が今まで持っていた刀じゃないよ? なんて言ったらいいのかな、無数の魂みたいなものが刀に纏わっていて物凄い力になっているよ……たぶん、石碑の力だと思うんだけど、貴明さん、あの石碑はなに?」
「あのマントの男が言ってたやろ? 英霊の力を借りろってあそこは、千年以上も昔にここで戦った兵士たちの歴史と弔いを込めて建てられた石碑なんよ」
「なるほど……まさに、言葉の通りだったってわけね、魔王たちからこの町を救ってくれって言う事か…」
「ほ~ん、なるほど……あんまりピンとこんけど……まぁ、力を貸してくれるならありがたいな……」
「てか、その刀、さっきまで使いよったのと見た目違う事ないか? 折れた刃から生成されたにしては見た目が全然違うぞ?」
卓也の言葉に俺は、刀を良く見渡す。確かに言われたら柄の色とか鍔の形が微妙に違う気が……。
「確かに違う……あれ? てかこれどこかで見たことがある気がする……どこやっけ?」
「ちょっと見せてみ? 柄巻きが黒やったんが白になってるな……その下の鮫皮も青から黒……鍔は円形だったのが花片か……んで波紋が……あれ? これムラマサちゃうか? オークエの隠し武器……」
刀を見ながら貴明は呟くように言うと、俺に刀を渡してきた。
「ああ! それやそれ、どこかで見たことあると思ったらそれか……」
俺は貴明から刀を受け取るとそう言って納刀した。
「それにしてもなんでター君に力を貸すんや? 貸すなら俺やろ、いつ頃この辺に来たかは知らんが、少なくとも、慶応の頃から先祖代々この町におる一族なんやで? 分家やから、たぶんうちは俺が末代やろうけど」
「しゃあない諦めろター君が主人公なんやからしゃーない、てか諦めるの早すぎるわ、貴明さんは痩せたら彼女出来ます!」
「おまえら、ター君、ター君言うな、てかメタいねんお前ら!」
「はいはい、じゃれつくのはあと、フォーシールを追うわよ。この下から禍々しい魔力を感じるから、多分そこに魔王がいるはずよ……」
リサの言葉に俺達は話を止め、彼女を見た。
「最深部ってことか? まぁ、ラストバトルにしはちょうどいい場所よな……」
貴明はそう言うと、カイゼルの力を纏ったペンライト型の魔道具を取り出すとそれを起動し魔力を纏った。
「せやな……まぁ、ただとりあえずは……」
卓也も呟くように言うとデモンの魔力を纏うサングラスを顔に掛けデモンの力を纏った。
「目の前の雑魚共を……」
「蹴散らしますか……」
そして俺は刀を改めて抜き、リサも土姫を引き抜いた。そして俺達は一直線に並び立つと俺達は互いの武器を握り締め、正面から上がってくる魔物の群れを睨むとそのまま一気に走り出した!
「こぉれでもくらえぇ! カイゼル・パァァァンチィツ!!」
貴明は勢いよく拳を突き出し、炎の拳を放つと、魔物群れに勢いよく飛んでいき魔物どもに命中、勢いよく爆発し吹き飛ばした!!
「ナイス、このまま駆け抜けるよ!!」
リサの言葉に俺達は力強く返事をすると貴明が吹き飛ばしたおかげで、大きくひらけた魔物の群れの間を俺達は一気に走りだした!
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