第三十二話 『今こそ因縁を絶ち切るとき、振るえ稲妻の剣を』
「よっし、作戦通り!!」
俺は、そう言うと左手を握り、ガッツポーズをとった。
「急な作戦やったのに、上手くいったな……」
貴明を支え、こちらに歩いて来ながら卓也が言う。
「大丈夫なんか? 貴明」
「ああ、なんとかな、だがかなりのダメージがあったみたいでな、あの量じゃ足りんかったわ……」
「自爆だもの、むしろ霊薬でここまで回復できたのが凄いよ……無茶する可能性があるからはい、あなたには二本渡しておくわ」
「あ、ああ。ありがとう……じゃあ、早速その半分を」
貴明はそう言うと、リサに空になった瓶を渡す、そしてリサから二本の霊薬の瓶と収納魔法に使う紙を受け取った。
そして、その内の一本を飲み始めた。すると、まだ残っていた火傷や傷が淡い光に包まれ回復し始めた。
「ふぅ、これで何とかなる……かな」
貴明はそう言うと霊薬を紙内に収納した。
「それにしてもよく思いついたな、二人で別々に三つずつ魔力を溜めて、どちらかに渡して六象光輪斬を撃つ。なんて……」
「ああ、俺もこのやり方で時間のかかる六象光輪斬の溜を短縮できるとは思わんかったな」
貴明の言葉に俺はゆっくりと頷く、さすがはリサというべきか、おそらく彼女はオークエの世界で三本の指に入るほど魔法の扱い方に長けている。
だからこそ、こう言う本来とは違う使い方というのが思いついたのだろう。
「六象光輪斬は溜が必要な技なんよな、溜めるほど威力を増すんやが、裏を返せば時間が短いと威力が出んのよ」
「なるほど、武久の様子見てるとチャージが短縮もできんっぽいしな、リサの作戦ならかく乱しながら溜められるし、武久がやったみたいに、完成した奴をワザとに不発したように見せかけて、死角におる方にパスして死角側が撃つって言う戦い方もできるからな」
「そうね、本当は、アロタロスが監視している可能性も考慮してター君が使ったあれをこのタイミングで見せたくは無かったんだけど、予想以上にヴィケーノの反応が良かったみたいで、さすがは魔導人形というべき存在……ま、それよりも私は貴明さんの自爆に驚いたわよ、あれをごるでぃなに使うつもりだったんでしょ?」
リサはそう言って貴明を見る。ジト目というやつで
「まぁね、ただごるでぃなにやった時は勝手がわからんかったし、さっきはバリアに防がれたのもあるが、俺自身、日和ってしまって中途半端になってしまったんよ……だから次は決める! 再現度完璧の技を!」
「いや、決めるな」
卓也はそう言うと、貴明の後頭部を軽く叩く、貴明のイテっと言う小さな声が聞こえ、頭を擦るが、卓也は構わず口を開いた。
「てか、ごるでぃなにした時は見よう見まねの冗談やと思ってたんやが、まさかマジで撃つとはな。お前、絶対、完全再現するなよ、人間のお前があれしたらタダのバラバラ死体になるだけやからな」
「バ、バラバラ?」
卓也の言葉に俺とリサは形容し難い表情をしながら貴明を見る。こいつなんて恐ろしい技を……。
「どんな技か見たかったら後で見せちゃる」
「いえ、遠慮するわ、そんな人がバラバラになる技なんて……」
リサはそう言うと、げんなりとした表情を見せた。まぁ、主人公がバラバラになる技を出すってことは特撮物の技なんやろうな……しかも、昭和の……。
「さてと、話は抜きにしてヴィケーノと同一化していた人を助けましょうか」
リサはそう言って微笑むと、ヴィケーノの吹っ飛んだほうを見た。
モクモクと立つ砂埃、薄っすらとだが仰向けに倒れる人影が見えた。あれが同一化していた人か。
俺はリサに頷くと彼女も頷き返す、そして彼女は仰向けに倒れる人物に駆け寄ろうとした、その時!
「!?止まれリサ! そいつはヴィケーノだ!」
俺が叫ぶと同時に、仰向けに倒れていた影はゆっくりと起き上がる。
あの野郎まだ生きているのか! 俺達は武器を構える。するとだ、砂埃を裂きながらヴィケーノと思われる、骨組みだけのロボットが、赤い瞳と腹の中央にある虚無のエネルギーと思われる禍々しい緑の光を放ちながらリサに迫った。
「ワタシハ、マダ、オワッテハいない!」
ヴィケーノが叫ぶと、中央の虚無のエネルギーがその声に反応するように荒々しく輝いた!?
すると、骨組みだけのやつの体に皮膚が生成され始めた!
そして、修復された右腕に虚無のエネルギーを灯すとリサを殴りつけようとしているのが、右腕を大きく後ろに下げた!
「くっ!」
リサは足を止め、土姫に魔力を流すと、ヴィケーノを切り裂こうと構えた! その時!
「介錯は……俺がする! 俺の勤めだ!」
突然、ヴィケーノとリサの間に卓也が……いや違う!?金色の髭を蓄えたスキンヘッドの男が、卓也と合体しているデモン・タイロンが立っていた。
「! そうだ、貴様だ! 貴様が」
ヴィケーノはデモンを見ると、声を荒げた!
「貴様さえいなければ! 貴様は私達を裏切った! だから、優秀な私が!」
「……何度も言ったはずだ、俺達は生まれてはいけない存在だと……だから!」
デモンはそう言い、勢いよく稲妻が迸る剣を高く掲げた!
「サンダー・ブレェェェドッ!!」
そして、卓也とデモンの叫ぶ声が二重に聞こえた瞬間、剣は勢いよく、ヴィケーノに向かって振り降ろされた!
デモンの振り下ろした剣は、ヴィケーノの体を真っ二つに、中央の虚無のエネルギーを放つパーツごと切り裂いた!
「あぁ、実に忌々しいね……」
火花を体全身から散らしながらデモンを恨めしい目で見つめながらつぶやくように良い、爆散した!
「安心しな、俺もそのうち地獄に堕ちるさ……」
デモンが静かに言うと、剣を鞘に収めた。その瞬間、卓也に戻ったのだ。
「卓……いやデモンやな……お疲れさん」
俺は卓也に近寄ると、卓也の肩を叩く。しかしこれは卓也への労いではない、こいつの中にいるデモン・タイロンへの労いだ。
「ん? ああ、いや。急にデモンが変わってくれ言うたから。とっさに変わったわ。なんか、彼なりに思うことがあったみたいやぞ。まぁ、今は休んでるが……」
卓也はそう言うと、サングラスを、デモンの魔力を内包した物を見つめながら言った。
「なるほど……あ~、コウマルートやっとけばよかった、めっちゃどんな因縁があったか気になるわ……今すぐ、オークエやりたいわ」
「じゃあ、ネタバレにならん範囲で話しちゃろか? リサがヴィケーノと合体していた人の介抱しよる間に」
貴明の言葉に俺と卓也はゆっくりと頷く。
「まず、魔導人形からな。魔導人形って言うのはざっくり言うとコウマのデータを基にして作った、サイボーグやアンドロイドの事や、そもそもコウマ自体がオークエの世界に転移してきてしまった異世界人なんよ」
「そんなキャラもおるんや、なんか最近って感じやな」
「あ、だからお前コウマルートからしたんやな、確かコウマは元の世界で組織に改造されたサイボーグやったやろ」
「あ~、なるほどね、だから貴明さんの癖にぶっささったわけや」
俺と卓也は腕組みしながらうなずく。
「そうなんよ! その設定が良くてな、世界を救ったのに大切な人を救えず、気がついたら異世界に来てしまったんや。右も左も分からん異世界で、奇怪な化け物としてあつかわれ……」
「わかった、わかった、話長なるからとりあえず本筋話してくれや」
「あ、そうやったな、リサも回復終わったみたいやから、コウマルートから読み解ける魔導人形ついて説明するぞ?」
貴明はそう言って、視線をリサが歩いて行った方に向ける、俺も卓也もその視線を追った。
するとヴィケーノと同化していた人の介抱が終わったのかこちらに向けてゆっくりと歩い来るリサが見えた。
俺と卓也は貴明に視線を戻すと、さっきの問いに答えるようにゆっくりと頷いた。
「コウマには目的があってな、それを達成するために魔法の研究をしてたんや、その成果をパクったやつがおったんや、んで、そいつが兵器に転用したんが魔導人形や、A~Zまでの種類がおって1~200まで個体があったらしいぞ。もっともコウマによって破壊されたらしいが。だが、生き残りがおったり、その技術が流出したりして良くも悪くもオークエの世界は発展したって感じやね」
「と、言う事はデモンもその中の生き残りって事?」
俺達の傍まで来た。リサがその会話に入り、貴明に尋ねた。
「それは俺もようわからんけど、コウマルートでは今でも生き残りが数体おるってなってるから可能性はあるよね、特にいくつかのシリーズは雷魔法含む古の魔法を魔核にした奴もおったらしいからな、さてとリサも来たことやし、俺も回復したから次に行こうか……」
「あ、そうやな。これで残りは魔王と……」
「ウォーシール……か」
卓也の言葉に俺達は拳を握りしめる。まさにリベンジマッチやな……。
「じゃあ頼むリサ、ウォーシールのいる場所を教えてくれ」
俺はリサに向かって言うと、彼女は力強く頷いた。
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