第三十一話 『貴明!決死の特効!! リサの秘策』
「貴明ぃ!!」
「貴明さん!!」
俺達は、拘束されている貴明を救おうと、一歩前に出た、その時!
「来るなぁ、大丈夫だ!!俺は自分で何とかする、それにな、今隙を作ってやる!!ファイヤァァァァァァッ!!」
貴明は俺達に向かって叫ぶと、体中に炎を纏わせた。
「さっきはうまくいかなかったが、本物の爆発を見せてやる!!」
貴明が叫ぶと、炎が赤からオレンジ、そして金色に輝き始めた! そして、声を上げ、体を大きく振り回し、奴は左手の拘束から逃れた!!
「この感じ、さっきごるでぃなに使った技に似ている……纏う炎の勢いは全然違うけど……」
様子を見ていたリサは呟くように言う、やっぱりそうか、どこか似たような気はしていたが……
「やめろバカ! 死ぬ気か⁉」
すると、その様子を見ていた卓也が叫ぶ。やはり、卓也も貴明が撃とうとした技の正体を知っているようだ……。
「え? なんやお前らの会話から未再現の技だとは思っとったが、そんなにやばい技なんか?」
俺は狼狽える卓也に尋ねる。この狼狽えよう尋常じゃない……俺の隣にいるリサも不安げな顔で卓也を見つめていた。
「自爆技なんやあれは、使った本人もそのリスクゆえに後年まで封印した技なんや……」
卓也の言葉に俺とリサは目を見開き貴明を見た、自爆ってお前。しかも、使用者が封印したってヤバないか⁉
「貴明さんストップ! その技は危険すぎるよ!!」
リサが声を荒げたその時、何かが爆発するような音が響いた。それは炎を纏った貴明が、自分に狙いを定める右腕を、蹴り破壊した音だった。
「うおぉぉぉらあっ! 一回しかできんからちゃんと止め刺せよお前ら!!」
貴明は俺帯に向かって叫ぶように言うと、自分に狙いを定める円形状の武器を蹴り上げ、殴り飛ばし破壊した!!
そして、気合を入れる様に、声を荒げた! すると、あいつの体から荒々しく燃え上がる炎が、貴明の体に沿う様にまとわり始めた。
「威力を落としたわけじゃない……まずい、みんな伏せて!!」
リサが叫んだ瞬間、貴明は炎を纏ったまま、ヴィケーノを睨むと、突撃した!! てか飛んでないか? あいつ……
「喰らえ! カイゼル・ダイナマイトォォォォォォォォッ!!」
貴明は叫ぶとそのまま燃え上りながらヴィケーノに突撃! その瞬間、勢いよく爆発した!?
「うおぉっ!」
「キャアッ!」
「あんのバカ!!」
耳を塞ぎたくなる、いや、耳を塞いでいたとしても鼓膜を突き破るのではないかと思わせる轟音、目を開けられないほどの輝き、そして爆風だけで皮膚が焼けるのではないかと思えるほどの熱気が周囲を襲い、俺達はその爆風により体を大きく後ろに弾かれた!!
「ぐぅぅ、なんて奴だ自分のダメージを顧みずに自爆技を仕掛けるなんて……」
なんて奴だ、光のせいで視認はできないがこれだけの威力を受けてまだ生きているなんて、なんて頑丈な奴なんだ……
光が消え、徐々に目が慣れると、周囲には黒煙が立ち込めていた、そして、影になってよく見えないが、ヴィケーノが膝をついている事だけはハッキリと分かる。
俺達は武器を取り、ヴィケーノに突撃しようとした、その時!!
「があっ!!」
爆発に巻き込まれ、上空に弾かれていたのか、貴明が俺達より背後に落下した。
道着のような鎧やアンダースーツは焼けこげ、破損し、体全身は真っ赤に焼け、爛れている状態でだ。すると、俺達は急いで駆け寄ろうとするが、貴明が俺達に向かって、親指を立てるサムズアップをした。
無事だ、気にするなと言っているようだ……だが、あの状態かなり不味いと思うが……
「ぼさっとするな! こいつが作った隙を無駄にするな! あいつはまだ動けるぞ!!」
躊躇する俺に卓也の声が響き、俺は卓也の方を見る、すると奴は剣を構え黒煙の向こうにいるであろうヴィケーノに突撃した!!
「私達も急ごう! マグマで入浴できるカイゼルと同一してるから、火傷が原因でやられることはないと思う。それに気になるならさっさとヴィケーノ倒して安全圏で回復して上げたほうが良い!!」
リサも力強い口調と目で俺に向かって言うと、卓也に続いた。俺もそれに返事をすると、一気に刀を構えて走り出した!!
「ぐぅぅぅ……私を……舐めるなぁぁぁ!!」
俺達が接近しているのを感じたのかヴィケーノの声が響き、奴は黒煙から飛び出してきた!!
貴明の放った技は不発ではなかった、バリアで防いだのであろうが、ヴィケーノの体はボロボロだった。
巨大な装甲の大部分が弾けているだけではない、生身の肉体の部分の装甲まで弾け、奴が機械人形であることを告げる様に、冷たい金属製の骨組みがのぞいた。
「こんな状態でも私は動ける!!死ねぇぇぇぇ、D-197!!」
ヴィケーノが声を荒げると、火花が散っていた巨大なロボットの腕を外した! そして緑色に輝く右腕を卓也に向かって突き出した!!
「リサ、ター君分かっているな!?」
「ええ、もちろん!!」
「ター君言うな!!」
卓也の言葉に俺達は互いに返事をすると俺は刀に、リサは右腕に魔力を集めた!!
「ぬぅ、それだけは……やらせない!!」
俺達を見たヴィケーノは卓也への攻撃を止めると、俺達の方を向いた。そして、体全体で俺達の方を向くと、腰のビーム砲に光が集まった。
「流石にそこは冷静か!!」
卓也は叫ぶと、稲妻の迸る剣を勢いよく振り下ろす! それを見たヴィケーノは後ろに下がり、卓也との距離を取った!!
「ええい、忌々しい。ならばこれで……どうだぁぁぁぁぁっ!!」
ヴィケーノが叫ぶと比較的破損が少ない足のパーツが勢いよく開くと、そこからミサイルが放たれた!!そしてそれは、卓也に……ではなく、俺たち目がけて飛んできた。
「グあっ!」
「きゃあ!」
そしてそのミサイルは、俺達の足元に着弾、爆発し俺達はバランスを大きく崩した。幸い魔力の溜めは分散しなかったが、距離を離されてしまった。
「ター君! 行けるよね!!」
「もちろんだ!!」
リサの言葉に俺は頷き、そのまま一気に走り出す。魔力を貯めながらリサとつかず離れずの距離を保ちながら。
「ぐぅぅ、だが、まだまだ!!」
ヴィケーノは再び足からミサイルを放つが、それは卓也の放った雷撃で撃墜された!!
「忌々しいね、ああ忌々しい……これで死ねぇぇぇぇぇっ!!」
巨大な腕で無ければ、両手で髪を掻きむしりながら発狂しているであろう声を発するヴィケーノ、体全身から虚無のエネルギーが放たれた!!
「屍を動かせるほどの力があるのは知っていたけれど、ここまでできるなんて、めちゃくちゃよ!!」
「俺が何とかする! 貴明だって自爆技を使ったんだ……俺も負けるわけにはいかん……くらえ、エクレール・ボルテッカー!!」
卓也は聞いたこともない技の名前を叫ぶと、体中を青白い光が包んだ! すると奴の背中が光り輝いた。まさかあれって!?
「ソニック・ダッシュ!!」
卓也は稲妻を纏ったままで、超光速で動くデモンの隠し技、ソニック・ダッシュを使うと、その場から消えた。すると、次々と放たれる虚無のエネルギーの閃光が消滅していった!
おそらく、俺達が視認できない速度で動く卓也が虚無のエネルギーを切っているのだ。
「ター君! 行けるよね!?」
「ああ!」
リサの言葉に俺は頷く、俺達は既にヴィケーノの傍まで来ていたのだ、そして俺は刀を、リサは右腕を突き出そうとした! だが
「やらせるかぁぁぁぁ!!」
ヴィケーノは叫び、右足を蹴り上げた! 床が勢いよく飛びリサが吹き飛ぶ、その時! リサが右腕の魔力を俺の刀に向かって放り投げた!!
「いや、やらせてもらう! 六象光輪!!」
俺は光り輝く刀を大きく振り上げた! 俺の動きを見たヴィケーノの人の形をした右半身の目がギョッとしたものになる。だが、奴はボロボロの左腕を俺に突き出してきた!!
「しまった!!」
俺はそれを後ろに飛んで躱すが、その時、せっかく溜めた六象の輝きの魔力をあさっての方向に打ち出してしまった!?
「はっはっは、焦ったようだね……でもこれで止めだよ!!」
ヴィケーノは高笑いをし、虚無のエネルギーを纏わせて右腕を俺に向かって振り下ろそうとしている……罠に引っかかってくれたな……。
俺は心で笑みを浮かべる。するとヴィケーノの背後からリサが飛び出た!!よし、俺は左に飛び、距離を取った。
「なにぃ!?」
「これが私の作戦よ! 喰らいなさい! 六象光輪破!!」
リサが叫び、彼女は右腕を突き出した、だが、ヴィケーノの体がうっすらと輝く、バリアか!?不味い! 俺はそう思い、ヴィケーノを切りつけようと構えた、その時!!
「ぐっ!」
突然、ヴィケーノの体を爆風が襲い、奴はバランスを崩す、それどころかリサが撃ちやすい位置に身体がよろけた!
俺はその爆風が飛んできた方を見る、するとそこには壁に手を突き、左手には回復の霊薬の瓶を持った貴明が立っていた。あのやろぉ、粋な真似を……。
「くそがぁぁぁぁっ!」
そしてリサが突き出した右腕から放たれた六つの魔力に飲まれながら、ヴィケーノの体は大きく吹っ飛んだ!!
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