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【世界の英雄 賢者リサと青年ター君の冒険記】  作者: 罰t星人
第2部 ~異世界の賢者と共に俺達の世界を守り抜け~
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第三十話 『ヴィケーノの隠し玉 機械纏う戦姫』

「いててて……」


 燃え上がるロボットの残骸を見ていると右手を抑えた貴明が俺達に近寄ってくる、俺達も貴明に近寄る、右手からは血がしたたり落ちていた。


「なんて無茶なことをするのよ……」


 リサはそう言うと貴明の腕を掴み、右腕を持ち上げた。大きく抉れ、ぐちゃぐちゃになっている右手がそこにはあった。


「攻撃に全部炎を回したかと思ったけど、多少は防御に回せていたみたいね、おかげで貫通まではいってないわよ」


 リサの言葉に俺はほっと胸をなでおろす、卓也も安心したような表情をしていた。するとリサは道具袋を漁り、回復の霊薬……とはまた違った、円錐状の小瓶を取り出すと、栓を開け液体を貴明の右掌にぶっかけた。


「あ、ぐおぉっ!」


「回復の霊薬よりも何十倍も力がある薬よ、ウォーシールとアロタロスが残っている以上急速に再生してもらわないといけないからね、荒療治させてもらったわ。ヴィケーノも多分生きているしね」


 リサはそう言うと小瓶に栓をし、道具袋に入れながら燃え上がる炎を睨む、俺達も武器を構えながら、炎の先を睨んだ。貴明もだ。


「お前大丈夫か?」


「ああ、問題ない。めっちゃ沁みたがあっという間に治った」


 貴明はそう言って右手を俺に見せる。血が固まり皮膚にこびりついたような跡はあるが、傷は完璧に再生されていた。


「来るよ!!」


 貴明の右手をまじまじと見ているとリサの声が響く、すると、炎の中から尻尾のような物が卓也目掛けて飛び出した!!


「ッ!!」


 卓也は剣を振り上げた! だが、それは背骨のように硬いパーツ一つ一つが連なってできており、切り裂けず、上空に弾くだけであった。


「ちぃ、これも防ぐか……忌々しいねぇ……だけど、これはどう躱す!!」


 突然、ヴィケーノの声が背後から聞こえ、俺達は後ろを振りむく。するとそこには右腕を巨大な腕で包んだヴィケーノが緑色の光と共に現れていた。


「瞬間移動かよ!」


 俺達は武器を構えながら後ろを振り向く、その時! ヴィケーノは閃光迸る右腕を卓也に突き出した!!


「なめるなよ!!」


 卓也が叫ぶと、両手に握る剣に稲妻が走り、振り向きざまに振った左の剣はヴィケーノの腕を切りつけた!!


 重厚感のある金属音が周囲に響き、ヴィケーノの右腕からは血かオイルか分からないが、赤い液体が飛び散ると、すかさず右に握る剣を振り下ろしヴィケーノの右腕を肘から切り飛ばした!!


「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!」


「まだ終わらん! ダブルサンダー・ブレード!!」


 そして右腕を抑え、断末魔を上げるヴィケーノ目がけて、二本の剣を振り下ろしヴィケーノの体を切りつけた!!


 右腕を切りつけられたとき以上の断末魔を上げながらヴィケーノは後ろに大きく弾かれた!!


「あれを耐えるか……」


 しかし、ヴィケーノは地面に膝をつくことなく、姿勢を整えながら卓也を睨み付けていた。


「こんなはずではない……私の方が優秀なんだ、たまたま稲妻の結晶と同調しただけの貴様に負けるわけにはいかない……」


 肩で息をしながらもヴィケーノは言う。今までとは違う怨念に満ちた表情でだ。


「どうやらお前よりもデモンと関係しているみたいだな……といってもこいつの苦労話を聞いてやれるほどこっちも時間はない……このまま押し切るぞ!!」


「押し切る? できれば使いたくはなかったが、これを使うしかないわね!!」


 俺の言葉にヴィケーノは睨みながら返事をすると左手で懐から禍々しい光を放つ液体の張った小瓶を取り出した!


「それは虚無のエネルギー!?」


「ええ、魔王様に渡された鉱石から成分を抽出したエキスよ、私が優秀であることを証明するためなら、これでも使ってやる!!」


「だめぇ!!」


 ヴィケーノはリサの静止も聞かず、小瓶のふたをこじ開けると、口元に運び中に入った液体を一気に飲み干した!


「リサ!!」


 不味いと思った俺はヴィケーノに近寄ろうとしていたリサの腕を掴むと俺側にひく、するとだ、ヴィケーノの身体から虚無のエネルギーが一気に放出され周囲を衝撃波が襲った!!


「グおッ!!」



 俺達はその衝撃波にバランスを崩すが、すぐに持ち直し、ヴィケーノを睨んだ、すると俺達がバラバラにしたアーミー・ドールや奴のロボット、卓也が切り裂いた尻尾状の武器などの残骸がヴィケーノの周りを取り囲んだ!!


 そしてそれは姿を変え、ヴィケーノと合体、巨大な機械の腕や足を持ち、背中からは円形状の機械が張り付けられた姿に、少女がロボットアニメのパーツを取り付けた様な見た目に変形した!


「我が名はN-250魔導人形、Nシリーズの一体。そして最強……裏切り者のデモン・タイロン……D-197を破壊する……」


「魔導人形だって!?」


 ヴィケーノが機械的な音声で言葉を発した瞬間、リサと貴明は目を丸くして驚く。


「な、なんぞそれ?」


「またオークエの設定か……てか、ター君も知らん設定があるんやな」


「その設定って言うのが分からないけど、コウマの能力をもとにして作ったロボット兵士の事よ、コウマが五十代の時に滅ぼしたって言ってたけど……生き残りがいたのね……と言う事は、デモンも……だからデモンは雷魔法が……」


 俺達に説明していたリサは突然ブツブツとつぶやき始めた。


「コウマの章でしか出てこん設定やからな、そっちやってないター君が知らんのも無理はないけどな……」


「ほ~ん、通りで俺も知らんわけか……てか、貴様ら、人の事をター君言うな!!」


「何をごちゃごちゃ話している!!私に壊される前のお祈りかぁぁぁぁぁ!!」


 ヴィケーノが叫ぶと奴の背中から炎が噴射され、俺たちに突っ込んでくると岩のように巨大になった右腕を振り下ろしてきた!!


「なめるな!!」


 卓也は叫ぶと剣を構えその腹でヴィケーノの拳を受け止めた、しかしそれを予見していたのかヴィケーノはすかさず、左腕を卓也目掛けて振り下ろした!!その時!


「させるかぁぁぁぁぁっ!!」


 貴明が飛び出すと、炎を纏う身体でヴィケーノの左拳を受け止めた!!


「ぐぅぅ、忌々しい!!」


「いまだ二人とも!」


「攻撃しろ!!」


 ヴィケーノの両腕を受け止め、抑えながら貴明と卓也は俺達に向かって叫んだ。俺とリサは互いに頷くと、俺は刀をリサは鞭を納め左手に魔導書を構えると一気に走り出した。


 そして、俺は刀に、リサは右手に六つの魔力を集め始めた!!


「喰らえ! 六象!!」


「光輪!!」


 そして、ヴィケーノ目がけて、六象光輪斬を放とうと俺は刀を振り下ろし、リサは右手を突き出した! だが!!


「ぐぅぅ舐めるなぁぁぁぁぁっ!!」


 ヴィケーノが叫ぶと、奴の纏っている機械の部分の装甲が一気に開く、そしてそこから無数の虚無のエネルギーと同じ色の光がミサイルのように飛び出した!!


「うぐああぁっ!」


「きゃあっ!」


「うおぉっ!」


「ドゥアッ」


 俺達はその光に飲み込まれ、勢いよく後ろに弾かれ、卓也と貴明は床に背中を俺とリサは壁に背中を殴打する、そのせいで俺とリサが溜めていた六象光輪斬の魔力が飛散してしまった。


「そう簡単にはうまくいかんってわけね……」


 貴明はそう言って、立ち上がると、口元から流れる血を右腕で拭った。


「お前たちに前衛任せて、隙伺うにしてもさっきみたいなことされた意味ないな……しゃあない全員で、ぶつかってありったけの大技叩き込むしかないな……」


「それしかないな、行くぞ……」


 卓也は立ち上がりながらその場に転がる二本の剣を手に取った。


「ちょっと待って、私に作戦がある……」


 手を見ていたリサはそう言うと、俺達を集めて作戦を話しだした。その時!


「策を弄する時間は与えないよ!!くらえ!!」


 ヴィケーノが叫ぶと奴の背中の円形状の機械が変形、上部が外れるとさらに、銃口のようになった


「おい……めっちゃ嫌な予感がするんだが……!」


「ミートゥ……」


 卓也と貴明がそう言う、俺も同意見だ……そう思い俺達は防御の態勢をとる、すると、その銃口から虚無のエネルギーが放たれた!!!


「やっぱりか!」


「うおぉう」


 俺達はそれぞれに飛び上がり、その光を躱す、光は大きく床に命中し抉りとった。あんな小さいのにさっきのビーム並みの威力あるじゃねぇか……!


「うまく避けれたとしても……!!」


 ヴィケーノはそう言うと上空にいる俺、というより卓也に向かって両腕を突き出す、すると手が揺れ出し、炎のような閃光が迸った。まさか!?


「させるか!!そっちが飛ばすならこっちもだ! カイゼル・パァァァンチィツ!!」


 貴明は叫ぶと両腕に炎を纏わせると勢いよく突き出した! するとヴィケーノの拳が予想通り飛び出した!!


 そして、貴明の炎の拳とヴィケーノの拳は宙でぶつかり合うと勢いよく爆発した!


「やった……ない!!」


 俺がそう言うと爆炎の中から破壊されてない、若干焦げた拳が飛び出す、そして左手が貴明を掴んだ。


「あんたの慎重な猪突猛進さ面倒だから先に潰すわ!!」


 ヴィケーノが言うと、右手と奴の背中の円形状の武器が分裂し、貴明の前に現れると、右手は掌を開き、円形状の武器は銃口を貴明に向けた。すると、緑色の光が集まり始めた。不味い!?

第三十話 『ヴィケーノの隠し玉 機械纏う戦姫』を読んでくださりありがとうございます。

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