第二十七話 『死闘の終焉 さらば貴明……最後の一撃……』
「よっしゃぁぁぁぁっ!」
奴が吹き飛んで行った先を見ながら、俺と卓也は両腕を突き上げ喜んだ。
「お疲れさん! つらかったな!!」
卓也は俺の傍に来るとそう言って俺に握手を求めてくる、今回ばかりはこいつの言うことに同意する。めちゃくちゃ疲れた。
「それにしてもな、今回はちょっと納得できんことがあるよな」
卓也の言葉に俺は頷いた。そう、なぜ俺達ばかりこんな目に合うのか、なぜ奴はあっていないのか。
俺と卓也はこっちにゆっくりと、何かに気が付いたかのように様子をうかがいながら歩いてきている貴明を睨んだ。
「す、すみませんでした!!」
すると貴明は俺たちの傍まで走ってくると勢いよく土下座した。スライディング土下座という奴だ。
「なにぃ? 聞こえんなぁぁ!?」
卓也は貴明を見ながら低い声で言う、軽い威圧を感じる。こいつが悪キャラなら貴明の頭を踏みつけながら言っていそうな雰囲気で。
いや、つ~か多分こいつは主人公をボコったある漫画のキャラをイメージして言っているはずだ……。
「俺ばかりダメージを受けないで申し訳ありませんでした!!」
貴明はそう言うとさらに深く頭を下げた。
「まぁ、この場合はあいつの勝手な判断やしな。もうこの辺でええやろ、その代わり何かあったら今度は……」
「はい、もちろんです私目、喜んでお二人の盾になりましょう」
貴明はそう言ってさらに頭を下げる、まるで時代劇みたいだな。
「っ! 三人ともじゃれ合っている暇じゃない、来るよっ!!あいつはまだ死んでないよ!!」
リサは声を荒げる、その声にハッとした俺たちは後ろを振り返った。すると、体をぼろぼろにしながら、ごるでぃながこちらに突っ込んできていた。
「あれでまだ動くのか!!」
俺と卓也は武器を構え、貴明は立ち上がると拳を握った。するとだ、一番前にいたからなのか分からないが、ごるでぃなは貴明に腕を伸ばすと奴を羽交い絞めにした。
「何ぃっ!!」
「ただのブタかと思ったら、私を怒らせて注意を引くなんてお利口さんみたいねぇ、許さないわ……私の魔力はもうすぐ尽きるけど、その前にあんたを道連れにしてあげる、私の残りの全魔力でね!」
ごるでぃなはそう言うと、貴明を強く締めて後ろに飛び、距離を取った。すると奴の体に今までとは違う桁違いの魔力が溜り、輝いた。
「まさかあれ、魂の灯!?」
リサは声を上げる。魂の灯? 聞いたこと……いやある……確か……
「MP、SPがともに0の状態で倒されると、HPのみ全快で復活し次の攻撃でHPをすべて消費してエネミーに全体攻撃する技だったか?」
「そのMPとかが何かわからないけど、だいたいあってる良く知ってるねター君」
「灯滅せんとして光を増すって事か……いや、そんなカッコいいもんじゃないな、鼬の最後っ屁やな」
卓也の言葉に俺は思わず吹き出すが、まぁ間違いじゃないな……。
「! 不味い、ごるでぃなの魔力が破裂する……二人とも、早くしないと貴明さんが!?」
リサはそう言い魔導書を開くと貴明に近寄ろうとした、しかし、俺はリサを引っ張った。
「残念ながら、貴明はここでリタイヤだ……俺たちの代わりに……」
俺はそう言って鼻をすする。卓也も同様に目頭を指で押さえていた。
「え? 二人ともどうしたの……?」
「おい! お前ら! 俺を見捨てる気か!!助けろよ!!」
貴明はじたばたしながら俺達に向かって声を上げる。しかし俺たちは一歩後ろに下がった。
「何を言っている。お前がそいつの最後っ屁なんかで死なないとお前ならなんとかできると俺たちは信じているさ」
「嘘つけぇ! この焦がし饅頭!!俺が抱きつかれてないから、俺も同じ目に会えって思ってるんだろうがぁッ!!」
「うっわ、残念やなぁ~ショックやわ。俺達もその技を食らっているのに、お前に同じ目に会えなんか思うわけないやん」
貴明の悲しい声が木霊する。それに対し、俺は目を伏せ、貴明の姿を見ないようにし、卓也は胸に両手を当て貴明の言葉に傷ついたような仕草を取った。実に白々しい
「ちょっと、二人ともふざけている場合じゃないよ……」
リサの言葉にも俺たちは返答しない、その時だ、貴明の魔力が急に高まった。
「だぁぁぁ分かったよ! 俺が何とかしたらいいんだろ!?覚えとけよ、死んだら化けて出てやる!!」
貴明はそう言ってごるでぃなの方を向いた。そして炎を纏った。
「だったら、あの技試してやる……行くぞ糞ブタが、てめぇが死ぬ前にチャーシューにしてやる!!」
貴明はそう言うと、ごるでぃなを抱きしめた。するとごるでぃなから、変な声が漏れた。実に、耳に良くない。乙女が抱きつかれた時みたいな声出しやがって。
「良い力よ、ほら一緒に熱く燃え上がりましょぉ~」
ごるでぃなも貴明の背中に腕を回すとさらに強く締めあげた。
「良いだろう……だがな、俺に触れると火傷じゃ済まねぇぞ!!ファイヤァァァァァァァッ!!」
貴明が咆哮を上げる、すると貴明の体が赤く染まった。なんていう魔力だ、ヤバい、あいつ何考えているんだ。
「ぐぅ、すごい……熱さね、良いわよそれに耐えてあげる‼!」
ごるでぃなもさらに魔力を高めた、これってかなりヤバいんじゃないか。
「二人とも伏せて! 爆発したらまずい事になる。貴明さん何かする気よ!!」
リサの言葉に俺たちは頷くと体に魔力を灯し、防御の姿勢を取った。
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
そして貴明は咆哮のように技を叫ぶと、奴の体が真っ白になると同時にごるでぃなの体から煙と炎が吹きあがると、勢いよく爆発した!!
「きゃあっ!」
「ぬおっ!」
「うわっ!」
その爆発は魔力を高め、防御の態勢をとっている俺達を吹き飛ばすほどの爆風を生み、俺たちはそのまま床や壁に背中をぶつけた!
「いてて、リサ大丈夫か⁉」
俺は、壁にぶつけた背中をさすりながら立ち上がると、リサが吹き飛ばされた方向を見た。すると、立ち上がるリサが見えた。
そして、彼女は俺の方を見ると、軽く手を上げながら、微笑んでいた。良かった大丈夫みたいやな。
「お姫様ばかりじゃなくて、俺の事も心配してくれやター君」
俺の隣にいた卓也は、悪態をつきながら立ち上がりながら言う、こいつはまた……。
「ター君言うな!」
俺はニヤニヤしている卓也に詰め寄ろうとしたその時、リサが俺の袖をつかんだ
「じゃれ合わないの! それに私は……」
リサは顔を赤らめて言う、え、いやそのマジで? なんだこの気持ちは……
「おいこらいちゃつくな、まずは状況確認!」
卓也の声が聞こえ、俺たちはハッとし周囲を見渡した、すると先ほど貴明とごるでぃながいた方向から黒煙が立ち込めていた。
「あれが、貴明さんがやった物か、ごるでぃなの魂の灯によるものなのか分からないけどあの爆発の中心にいたんだから、いくら炎魔法が使える貴晴さんでもヤバいかも……」
リサの言葉に俺たちは、唾をのむ。すると、黒煙が晴れ、貴明の姿が見える……貴明はガッツポーズなのか分からないが右腕を天高く掲げ、どっしりとその場に佇んでいた。
まるで、最初からそこにあった銅像のように、その表情はすべてにおいて満足したような、顔をしていた。
「巨星……乙か………」
その様子を見ながら、卓也は呟いた。いや、字が違うだろ……。まぁ俺もそんな事を思いながら、両手を合わせ
「友よ、安らかに眠ってくれ……」
と、つぶやいた。
「いやいや、勝手に殺すな生きとるわ!」
そうしていると、貴明が俺達の方に肩を揺らしながら大股でこちらに向かって歩いてきた。
「おー、お前無事やんけ」
「おかげさまでな!」
俺の言葉に貴明は、少し声を這って答えるも、その後軽く笑った。良かったいうほど怒ってないし、体も無事みたいやな。
「ところで、今の技ってお前……」
卓也はそんな貴明を見ながら目を細めて言う。この感じから見て、やはりあの技もあいつの好きな何かから真似をした技なんだろうな……・
「なんや? なんか文句あるんか、お前が無視するからああいう技撃っただけやろ……」
卓也の様子を見ながら、貴明は怒りを隠すような笑みを浮かべて言う、あ。やっぱりちょっと切れているな。
「とっさとは言えよく思いついたわね……自分の魔力で魂の灯による自爆を防いだのでしょ?」
リサはそう言いながら貴明に近寄り、奴の所々にある火傷を治し始めた。
「ああ、うん。まぁそうやね。よく思いつたと思うわ……で? あいつと合体していた人はどこにおるんや……?」
卓也は周囲を見渡しながら言う、こいつのこの感じからして、本当の技は違う物やったんやろか……まぁいい。
「あ、あの黒煙の向こうで気を失っとるで、あんなんに寄生されるとは可哀想な人やで……」
貴明は、晴れ始めた黒煙の向こうを指しながら言う、するとそこには長髪の女性がうつぶせに倒れていた。それを見たリサは、彼女に駆け寄り、リターンの魔法をかけた。
「これでええな、よしじゃあ次に行こうか」
俺はこちらに歩てくるリサを見ながら言った。リサもそれを見るとゆっくりと頷いた。
第二十七話 『死闘の終焉 さらば貴明……最後の一撃……』を読んでくださりありがとうございます。
面白いと少しでも感じて頂けたなら、評価、感想、広告下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!
よろしくお願いします!




