第二十六話 『ごるでぃなとの死闘 己を鼓舞して立ち上がれ!』
「があっ……ぐっ」
「あら、嬉しさのあまり気を失ったのかしら? まぁ良いわ」
ごるでぃなはそう言うと、力を緩め俺を床に下ろした。殺してくれ……まずい震えが止まらない、なんて奴だ……肉体のダメージはないのに精神的なダメージがヤバい……。
「さて、あなたはもっと楽しませてもらうわよ。なにせ私イケメンは大好物なんだから……」
「ひぃっ!」
思わず奇妙な声が出る、ヤバい。体が震えて力が出ない……立ち上がれない……奴の腕が迫る……まずい、このままだと何をされるか分からない、頼む。キスだけは……俺の初めてだけは……。
「カイゼル・ビィィィムッ!!」
すると貴明の叫び声と共に、熱線が二つ飛んでくるとごるでぃなの腕に命中、炎上した。
「ちぃっ、あの子ブタか……!」
ごるでぃなはそう言うと貴明の方をぎろっと睨み付けた。
「武久、そいつは俺が抑えるから落ち着けるか、リサに回復させてもらえ!」
貴明はそう言うと、体中に魔力を集めた。するとごるでぃな目がけて、稲妻が落ちた。
「ふ、お前、一人でどうにかなる敵じゃないぞ」
そこには卓也が、剣を構えて立っていた。良かったなんとか戦えるみたいだな。
「リサ! 武久を回復させてやってくれ!」
卓也はそう言うと剣を構え、貴明の隣に立った。
「卓也、休んでてええんやで、俺はまだまだいけるぞ」
貴明は隣に立つ卓也に向かって、言う、しかしその口調は強く、明らかに怒っていた。あいつなら、卓也が無事だったことに喜ぶはずなのに……なぜだ……。
「いやいや、お前噴火一歩手前やん。噴火してこの後ばてられても困るからな……」
「そうは言うが、俺はあいつが許せない、お前達を傷つけたこともそうだが、何より。不細工なブタの癖に俺の事を不細工子豚呼ばわりしやがったこの糞野郎が許せねぇっ!」
「え! そこなの⁉ター君と卓也がやられたよりそっちの怒りの方が強いわけ!?」
リサは目を見開いて声を荒げる。まぁそう思うだろうな、だが俺と卓也は納得してしまっている。あいつはそう言う奴……ではないが。照れ屋なんだよ。
「だと思った……まぁそれなら俺もムカついてるわ、鏡見たことないあいつの自信過剰な態度にな」
卓也はそう言うと、二本目の剣に稲妻を纏わせると二刀流になった。
「またか、またお前達は私の事を不細工というのか! もう許さん。全身の骨を砕いてやる!!」
「ああやってみろよ、鏡も見れねぇような自意識過剰の大ブタになんか負けてたまるかっ!!」
貴明はそう言って体に炎を纏わせると一気に走り出した、それを見たごるでぃな、卓也も同時に走り出した。そして
「カイゼル・ナックル!!」
「ダブルサンダー・ブレード!!」
「うがぁぁぁぁっ!!」
貴明は炎の拳を突き出し、卓也は二本の剣を振り下ろす、そしてごるでぃなは右腕を突き出した。中央でぶつかり合い勢いよく爆発した。
そして部屋の中央で三人は互いに攻撃を繰り出し、殴り合い、切り合いを始めた。
「い、今の内に……回復を……」
俺は震える身体を庇いながらゆっくりと立ち上がり、リサに近寄った。
「ター君、大丈夫!?てゆーか、卓也さんもだったけど、二人の震えがすごい、何かされたの⁉」
リサはそう言うと、倒れそうになっている俺の体を抱きしめてくれる。あぁ、やわらけぇ……。
「ただ抱き締められただけなのに、二人のダメージがおかしすぎる……ただの状態異常じゃない、でも何とかしないと……」
リサはそう言うと、俺に魔法をかける。状態異常回復の魔法だ。
「くっ、私が本調子じゃないにしろ効果が薄い。卓也さんよりもダメージが深刻だわ」
リサはそう言いながらさらに俺に掛ける魔法を強くする。暖かい光に身体を包まれる、でもなんでだ、まだ俺の震えが止まらない……。
「くっ、カイゼルビーム!!」
そう思っていると貴明の叫ぶ声が聞こえた。視線をそっちに向けると貴明の瞳から熱線が飛び出し、ごるでぃなの肩に命中し、奴は後ろに下がった。
「あの短時間の攻防で二人の身体、ボロボロだ……。」
リサの言う通り数分だけの殴り合いなのに、貴明と卓也は打撲痕と思われるものが皮膚の間から見られ、ごるでぃなも貴明と卓也の攻撃を受けたようなダメージを受けていた。
「くっ、なぜ回復しないんだ……」
俺は声を震わせながら言う。二人では結構厳しい相手なのか……くっ、俺の体が動き際すれば……。
「卓也ぁっ!」
そう思っていると、貴明の声が響く、するとまたもや卓也がごるでぃなに組み付かれていた。不味い、あれをされる!!
「な、なめるなよ……二度も同じ手は食わん!!」
「あら、強がっちゃって、可愛い! いいわよ。もっと強く抱きしめてあげるから!!」
ごるでぃなはそう言うと、自身の左手を右手でつかんだ。
「二度も、お前みたいなデカ物に絞められてたまるかぁぁっ!!」
卓也が声を荒げると奴の体を魔力が覆う、巨大な稲妻の魔力だ。
「くっ、熱いこのままだと私が焼けちゃう!!」
ごるでぃなの驚いたような声が聞こえ、奴は卓也から腕を放していた。
「喰らえっ! ツイン・ギャラクシーライトニング!!」
卓也はそう叫び、腕を放され空いた隙間から剣を真下から腕を開くようにして勢いよく振るった。
卓也の剣から、三日月状の稲妻が二つ飛び出し、それがごるでぃなの体に命中し、奴の体は大きく吹っ飛んだ。
「ナイス。くらえ、カイゼル・キック!!」
そして貴明は仰向けに倒れているごるでぃなの腹に向かって左足を突き出した。貴明の突き出した左足は見事、ごるでぃなの腹に命中。奴は物凄い音にならない声を口から漏らした。
「ぐぅ、よくもやってくれたな……」
ごるでぃなは腹を抑えながら立ち上がると、口から流れる血を手で拭った。あ、このパターンはまずい……。リサを見るとリサもそれを感じたのか動き出そうとしていた。
「よくもこの美しい私に怪我を負わせてくれたな! 貴様ら二人は絶対に許す物か!!」
ごるでぃなは声を荒げた、すると奴の魔力が高まっていった。そして二人目掛けて弾丸のように突撃した!
「なめるなよ! そんな突撃、ぶっ壊してやる。行くぞ卓也! ダブルカイゼル・パンチ!!」
貴明はそう言うと体中に集めていた炎を両手に集めると一気に突き出した。貴明の突き出した炎は、ごるでぃなの体に命中し燃え上った!
一瞬奴の体が動きを止めるが、それでも二人に突撃することを辞めず、走りだした。
「俺に任せろ、ライトニング・ボルテッカー!!」
聞いたことのない技の名前を卓也が叫ぶと奴の体を青白い光が包む。そして、二本の剣を一気に突き出した!
卓也の剣先から卓也の体を覆っていたのと同じ光の稲妻が飛び出し、それはごるでぃなの体に命中すると一気に奴を後方に弾き飛ばした。
「今のは新技か……」
「とっさに考えた技だ。だが、今のでもあんまりダメージないな……」
卓也はそう言って剣を構える、すると吹き飛ばされたごるでぃながゆっくりと立ち上がっていた。確かに卓也の言う通り、殆どダメージを受けている様子はなかった。
「ぐぅ、よくもやってくれたね……許さない……叩き潰す!!」
マジかよ、ごるでぃなが怒りの咆哮を上げた瞬間、奴の魔力がさらに上がった。まさかこいつ、怒りをトリガーに強くなるタイプかよ。
「どうしよう、このままあいつを怒らせ続けたら二人じゃな勝てない……何かいい方法は……」
リサは回復魔法を掛けながら、思案顔で戦闘の様子を見た。そうしていると、リサが何かを思いついた様な顔をし、魔導書を開いた。
「これで試すしかない、お願い回復して。ブレイブ・ハート!!」
リサはそう言うと、魔力を込めた。体の底から力が湧いてくる……。
「こ、これはいったい……」
俺は立ち上がりながらリサに向かって言う。リサも立ち上がり、魔導書を閉じた。
「ブレイブ・ハート、本来は自分を鼓舞させて一瞬の力を引き出す、勇気を引き出す魔法なの。眉唾すぎて今まで使ってこなかったけどこういう、精神的にやられたときに使える魔法みたいだね」
「これなら何とかなる。よし、リサ二人を助けに行くぞ」
「ええ!」
俺の言葉にリサは頷くと、二人の様子を見た、するとごるでぃなが卓也に右腕を伸ばそうとしていた。
「まずい、また卓也を絞める気だ! リサ!!」
「ええ分かっている……テレポート!!」
俺の言葉に頷いたリサは魔導書を開くと、テレポートを唱えた! すると卓也がリサの近くにやってきた。
「やっべ、助かったぜ。もう一回抱き締められるなんてこりごりやからな……」
卓也はそう言うと、額に流れる汗をぬぐった。
「武久、もういけるんやな」
卓也の言葉に俺はゆっくり頷くと、刀を抜きごるでぃなを睨んだ。
「いい? これ以上彼女を怒らせるわけにはいかない。私達が大技決めるから、その間の時間を稼いで」
リサの言葉に卓也は頷くと、戦闘している貴明の方に向かって体に稲妻を纏い走っていった。
「よし、リサ行くぞ……体は大丈夫だな?」
「ター君こそ、一気に決めるよ!!」
リサの言葉に俺は軽く笑うと俺たちは横並びに立った。そしてお互いに魔力を貯めた。狙うは一瞬、俺とリサの六象光輪斬を叩き込む!
「ター君私は行けるよ!!」
リサの言葉に俺は頷く、そしてお互いに技を撃つ体勢を取った。
「卓也ぁっ!!」
そんな俺達に気が付いたのか貴明は声を上げ、卓也の名を叫ぶ、それを受けた卓也は強く頷き武器を構え、二人は少し距離を取った。
「これで終わりだ! 汚ブタちゃん!!」
「くっ! 貴様これ以上私を怒らせるな!!」
ナイス貴明、貴明のお陰で注意があいつに向いた、今だリサ!!俺は刀を大きく振り回し魔力を刃先に集める。そして
「六象光輪斬!!」
「魔力の元となる精霊たちよ、今一つとなりて眼前の邪悪を払え……超必殺魔法、六象光輪波!!」
俺は刀を振り下ろし、リサは右腕を大きく突き出し、六つに輝く魔法を放った! そして卓也と貴明も俺たちの攻撃を後押しするように構えた。
「よし! 喰らえっ! カイゼル・インフェルノォッ!!」
「双雷明王斬!!」
貴明は左腕を大きく突き出し金色に燃え上がる炎を放ち、卓也は溢れ出るほどの巨大な稲妻を纏った剣を振り下ろした!
そして、俺達の今出せる最大の必殺技はごるでぃなに命中、奴は貴明に注視するあまり、こちらに警戒できず、正面から俺たちの一撃を受け、大きく吹き飛んだ!!
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