第二十四話 『登れ、そして進め! 次なる敵はごるでぃな!!』
「あ、リサ、次の相手はどんな奴や?」
卓也が上がろうとした瞬間、俺は背後にいるリサに尋ねた。リサは考えるしぐさを取るとしばらく唸る。そして
「ごめん、分からない……でも、出てくるんだったら、ごるでぃなって奴だと思う」
聞いたことのない奴の名前が出たな……。
「俺たちがあってない奴か……しかしリサ、その根拠は?」
「えっと、ウォーシールは魔王を除けばリーダーのはず、だから最後の可能性が高い。そうなれば残り二人、でもヴィケーノはさっき貴明さんが殴ったおかげですぐには出てこない、用意周到な奴だから準備をするはず……」
卓也の問いにリサは強く答えた。
「なるほど……それでどんな魔物なんか分かるか?」
「えっと、超攻撃型の魔物よ、魔法は使えないけどそれに見合った攻撃力はあると思う。女性のオークよ」
「女のオークっ!?」
俺の質問に答えてくれたリサの言葉を遮る様に俺たちは目を見開いて同時に声を上げた。
「オークって……ブタやんけ……それで力強いとか俺パスしたいんやけど……」
卓也は顔を引きつらせながら言うと、ゆっくりと梯子から手を放し距離を置いた。気持ちは分からんでもない……。
「あかんで、お前が矢面に立たなあかん、一人だけいい思いしやがって」
「はぁ! 勝手に決めんなよ! イヤやし」
貴明は命令するような口調で卓也に向かって言う。それに対して卓也も目をひん剥くようにして荒々しく返答した。
「いやいや、この前彼女と温泉旅行したんやろ? 同盟組んだ時の条約の第一条に抵触した上に二項にも触れたから極刑やけど、大目に見ちゃる俺の盾になれ」
「はあぁぁぁ? イヤやし!てかそんな同盟組んだ覚えない!!」
「いいやしました。武久がイチャイチャしとる時に組みましたぁ~」
「そんな記憶………」
「ほぉぉら、止まった、あるやんけ。こころあたりある間やぞ今のは!!」
「うるさいわっ!!」
「あーもう、その辺にしろ、二人とも、さっさとそのごるでぃなとか言う奴のところ行くぞ」
「そうや、お前がさっさといかんと行けんやろ、はよ行けや」
俺は二人に向かって声を荒げる。すると貴明も俺に同調するように言うと顎で上に登る様なジェスチャーをした。
それを見た卓也は納得いってないと言わんばかりの表情をするが深いため息をつくとゆっくりと梯子を握り、登り始めた。
「じゃ、次はあいつが逃げんように俺が行く。ター君とリサはそのあとついてこい」
「ター君言うな!」
俺の返答に貴明はニヤつくと、卓也の後を追って梯子を登った。
「ったく、よしじゃあ、俺達も行くぞ」
「ええ!」
俺の言葉にリサは頷き俺、リサの順番で梯子を登り始めた。
登り始めた俺たちはどこから敵が来てもいいように、卓也は上、リサは下、貴明は左、俺は右と分担を決めて警戒しながら長い梯子を上がっていた……そして。
「おっ、ようやく終わりが見えたぞ!」
卓也の声に俺達も上を見る、視線の先には天井があったが何かのドアのような物があった。例えるなら屋根裏に上がるためのドアのような物がそこにあった。
「あのドアを入ったらいけるんか……よっしゃ卓也急げ! 俺の両腕はもう限界よ!!」
貴明の声が響く、こいつはまたふざけたことを……確かに俺も腕がしんどいが言い方が腹立つ。
「……おい、こいつ蹴り落として構わんか?」
「許可しよう」
卓也はマジで殺してしまいそうな冷たい表情をしながら貴明を見つつ俺に言う、おそらく俺も同じ様な表情をしながら、卓也の言葉に同意した。
「うそ、まってやだ。ごめん! ふざけ過ぎました!! だから早く登ってください!!」
「わかりゃぁええんよ……よっしゃさっさと行くぞ!」
卓也はそう言って梯子を登り始めると、天井にあるドアの取っ手のようになっている窪みを掴む。
「くそ、この体勢からは開けにくい……ぶっ壊すか!!」
卓也はそう言いうと剣を構える、そして稲妻のこもった剣でドアを突き上げ、破壊した。
「よっしゃ、上がるぞ!」
俺の言葉に三人は返事を返すと、俺達は飛び込むようにして卓也があけた大穴に飛び込んだ。
「さてと、此処からだね……」
侵入すると真っ先にリサが正面を見ながら口を開く、リサの視線を追うとそこには黒や赤で彩られたおどろおどろしい扉があった。
「まさに、ボス部屋の入り口……やな……」
貴明の言葉に俺と卓也は頷いた。
「よっしゃ、卓也。ドア開けろ!」
貴明はそう言うと卓也は嫌そうな顔で奴を見た。
「なんで、なんで俺が先行せなあかんねん。お前でもええやん」
卓也はそう言って貴明に言う。また同じ話を繰り返すつもりかこいつら。くどいな……
「俺が開ける! それなら文句ないやろ……」
俺はため息をつくと扉に近寄る、そしてドアを開けようと力を入れたその時!
「うわッ!!」
俺は手についたぬめり気のある感触に驚き思わず離れてしまった。
「どした!」
そんな俺の様子を見た、卓也と貴明が近寄って来るもちろんリサも。
「ああ、すまん。なんか液体みたいな気持ち悪い物に触って……ってくっさっ!!」
俺はそう言いながら、右手についた何かを払う。すると鼻を覆いたくなるような刺激臭が漂ってきた。
「なんぞこれくっさ!」
俺の周りにいる卓也、貴明も香ってきたのか、鼻を抑えた。
「もぅやだ、俺あのドアに触りたくない……」
俺はそう言うと、水魔法を唱え手についたぬめり気のある汚れを取った。
「しゃあない。今度は俺がぶっこわそ。武久の手についた汚れが液体なら炎使ったら蒸発するやろ」
貴明はそう言って扉の前に立つ、すると奴の左足が燃え上がった。
「行くぞ……カイゼル・キック!!」
貴明は、そのまま左足を前方に突き出す、所謂、前蹴りを放った! 貴明の放った蹴りは見事、扉の中心をぶち抜くと炎を上げながらぶっ壊れた。
「ま、ザっとこんなもんやな。ほら行くぞ」
貴明は俺たちの方を見ながらニヤリと笑う、そして、俺達は貴明のこじ開けたドアを通り、ごるでぃなのいる先に向かって歩いて行った。
「うっわ、なんだ、此処物凄く歩きにくいな……」
卓也は歩きながらつぶやく、それもそのはずだ。先ほどまで鉄製の床だったのが突然扉をくぐった瞬間、ブヨブヨとしたゴムのような質感の床に変わったからだ。
「こんなところで襲われたら戦いにくいぞ……」
貴明がため息をつきながら言った、その時だ。正面から何か奇妙な物体が俺達の方に向かって飛んできた。
「っ! なんだあれは⁉」
俺は刀を構えると、その飛んできた物体を切り飛ばした。俺に真っ二つに切られた物体はそのままの状態で床に落ちた。
「……これ骨やで……なんでこんなもんが、飛んできたんや?」
卓也はその物体を見ながら、正面を見て呟いた。
「ただの骨が何でや? もしかしてごるでぃなの仕業か?」
「……分からないわ。でもター君周囲を見て、この辺。食べこぼしとか多くない?」
リサの言葉に俺は周囲を見渡す。確かにリサの言う通りだ、肉だけじゃない、麺類や米、パンなどの食べこぼしが辺りに散らばっていた。
「それだけじゃないぞ、あれ見ろ、スナック菓子の袋や。全くゴミはちゃんとすてぇや」
貴明の視線の先を見ると、この世界で手に入れたと思われる菓子の袋が大量に落ちていた。なんて奴なんだ、ごるでぃなっていう魔物は……。
「まぁいい、さっさとぶっ飛ばすぞ。奴がどんな性格であっても倒すことには関係ない」
貴明の言葉に俺たちは頷くと、再び歩き出した。特に魔物が現れるようなこともなく俺たちは歩きにくい床に足を取られながら、食べ残しがバラまかれる通路を進んでいった。
すると、何かクチャクチャという物音と、巨大な何かの影が前方に見えた。
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