第二十三話 『仲間との再会 全員集合!!』
「私の武器を、そんな風にしてくれて、本当に忌々しいわね。D-105……」
ヴィケーノはそう言うと、メガネのフレームを指で押し上げた、その声から物凄い怒りを感じる。つーか、さっきからデモン、卓也の事をD-105って言ってるが 知り合いか?
「今から、探しに行こうと思っていたのに、来てくれて助かるわ……」
リサはそう言い、魔導書を開きながら鞭を抜いた。
「そうね、本当なら私の計画をめちゃくちゃにしたあんた達を今すぐにでも消してあげたいけど、私にも用事があるの。だから言い相手を連れてきたわ……アリグムには劣るけど、いい人形になれる逸材よ……」
ヴィケーノがそう言うと突然、今いる部屋の天井が弾け飛び、そこから一人の男が現れた。
「貴明!?」
卓也は思わず叫ぶ、そう、そこにいたのはカイゼルの力が強く出ているのか体が青く、オレンジの髪を逆立てた貴明が現れた。
見て分かる。裸の上半身の胸の中央に怪しく光る宝玉、そしてそこから体全身に広がる赤い文様に、背中から生える翼。目から流れる赤い涙のような跡。完全に虚無のエネルギーを埋められている状態だと分かった。
「彼に何をしたの!!」
リサは声を荒げ、鞭を勢いよく地面にたたきつけて叫んだ。すると貴明が一瞬ビクッとなると、少しにやけていた。 ん、なんでや?
「この坊やはウォーシールから逃げたのにもかかわらず、私を探して倒そうとしてきたの。だから捕まえて、その武器よりも強力な虚無のエネルギーの結晶を埋めてあげたのよ、ここにね……」
ヴィケーノはそう言うと貴明に近寄り、奴の頬から顎を滑らすように振れると、胸の中心部の宝玉を撫でまわした。
「っ! なんてすごいエネルギーなの……」
「そして私は、これをコントロールできるの、彼は暴走もしない、私の言う事を聞く完璧な奴隷になったの……これが何を意味しているか分かるわよね?」
ヴィケーノはそう言い、口角を上げると、貴明の頬を撫でた。すると一瞬だけだが貴明の眉間がピクリと動いた。
「さぁ、貴明……目の前にいる虫けらを灰にしなさい……」
ヴィケーノは貴明の耳元でそう言うと貴明はゆっくり頷くと体に炎を集めた。不味い、くる!
「気を付けて……あのパワーで突っ込んでこられたら、どうなるか分からない……」
リサの言葉に俺も卓也もうなずくと俺は刀を抜き、卓也も先程解いたばかりのデモンの力を身に纏い、剣を抜いた。
「さぁ、仲間たちで今度こそ殺し合いなさい!!」
ヴィケーノはそう言って高笑いをすると、貴明が動き出そうと大きく構えたその時だ!
「カイゼル・ナックル!!」
「ぎゃうッ!!」
貴明の瞳が力強く、光り輝くと奴はヴィケーノの方を向くと、燃え上る拳を、ヴィケーノに向けて突き出した!
貴明の拳は、ヴィケーノの顔の中央に命中、奇妙な声を出しながらヴィケーノは椅子から落下し、地面に倒れた。
「バ、バカな……どうして……コントロールできていないの⁉」
ヴィケーノは立ち上がりながら、貴明を睨み付けた。
「へっ、そんな事俺が知るか!」
貴明は口角を上げながらそう言うと、俺達の前に立つ、そして、気を溜めるように声を荒げる、すると奴の体の周りを炎が渦を書くように包み、貴明が気合の声を上げた瞬間炎が弾けた。
すると、奴の姿が変化した。翼は消え失せ、黒いアンダースーツに深紅の鎧に銀色の籠手を身につけていた。そして胸元の虚無のエネルギーは光を失い、貴明の胸元から外れた。
「お前大丈夫なんけ?」
俺は貴明を見ながら言った。すると貴明は笑顔で親指を立てた。
「大丈夫だ、問題ない」
「いや、そのセリフ不吉すぎるやろ……まぁ良い、行くぞ!」
卓也の言葉に俺たちは頷くと、一列に並び、互いに武器を構えヴィケーノを睨んだ。
「くっ、想定外よ……でもね、日柴鬼貴明……私の顔に傷つけた貴様だけは絶対に許さない!!」
ヴィケーノは顔を抑えながら叫ぶ、見事に貴明のパンチが命中したのか、鼻血が流れ、眼鏡も真ん中から折れていた。
そして、奴は、自身の今の感情を一切隠そうともしない、荒々しくとげとげしい魔力を身に纏った。
「許さないのはこっちのセリフだ。 人の体を好き放題しやがって!」
「ああ、貴明の言う通りや俺も好き勝手されてムカついてるんや」
貴明と卓也は並び立つと、炎と稲妻を纏った。
「ふん、といって、今のあなた達と戦うほど私もバカじゃないさ!!」
ヴィケーノはそう言って笑うと椅子が突然あいつの、背に来ると奴はそれに腰かけた、すると椅子から、巨大な腕が出現し、魔力を纏うとそれは俺たち目がけて、魔力を放った!!
「これに乗じて逃げる気だな! させるか!!カイゼル・キィィック!!」
貴明は叫ぶと、飛び上がり迫る魔力の弾を躱すと、ヴィケーノに突撃、そのまま左足を突き出し蹴りを放った!
しかしその直前でヴィケーノの体は霞のように消え、貴明の放った蹴りは分厚い岩盤を砕いただけだった。
「ちぃ、逃がしたか……」
貴晴はそう言うと、悔しそうに地面をかるく蹴り、俺達の方を見るとこちら側に歩いてきた。
「体は何ともないんか?」
俺は納刀すると、貴明に尋ねた。
「ああ、あんなのに好きかってされるほど、俺もやわじゃない……」
貴明はそう言ってにっこりと笑う、ああ、大丈夫やな……俺はそう思いながらも、リサを横目で見る。すると彼女も俺の方を見て軽く笑った。
「卓也さんと同じで、虚無のエネルギーも何も感じない、むしろ聖なるエネルギーを感じるよ」
リサの言葉に俺は固まる、こいつらシレっとパワーアップしたって事かよ……羨ましいな……俺はそう思い、卓也と貴明を見た。
「もう、物語も中盤やからな。そろそろ二人目三人目の強化フォーム出てくるんも不思議やないやろ」
貴明はそう言って軽く笑う、こいつはまた自分の趣味の話に持って行こうとする。
「お前さ……いや、やっぱええわ」
卓也が俺の思っていることを代弁するように貴明に突っ込む、しかし途中でため息をついて呆れたように言った。
「なんや、言いたい事あるならハッキリ言った方が良いぞ」
貴明はそう言いながら、後ろから卓也の肩を抱く……いやヘッドロックした。
「う、鬱陶しい!!」
卓也はそう言って、ハエや蚊を払うように腕を振り回した、すると貴明も離れてニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「何をやってるんや、全く。まぁいい、リサ、次の敵はどこにおるか分かるか?」
俺は貴明と卓也のやり取りを見ながらため息をつくと、リサを見ながら訪ねた。
「ちょっと待ってね……えっと……そこ、その壁の向こうにあいつらのうちの誰かの反応がある」
リサは静かに指をさした、そこは先ほど貴明がヴィケーノを蹴り飛ばそうとしたときに砕いた壁だった。
「ここをぶっ壊せばいいんだな?」
卓也はそう言うと、剣を構えた。卓也のその様子にリサはゆっくりと頷く、すると、卓也は勢いよく剣を振り下ろした!!
卓也の剣が命中すると、壁は勢いよく吹き飛んだ、そして吹き飛んだ先は空間が広がっていた。
「うん、バッチリ。ここの奥から、あいつらのうちの誰かの魔力を感じるよ」
「よし、じゃあそこを進もう……」
俺達は頷くと、卓也がこじ開け広がった空間に向かって歩きだす、はじめは二人ずつであれば並んで歩けたが、徐々に狭くなって行きついには並んで歩けないほどの狭さになった。
「狭いな……」
「ここで襲撃されたら危ないぞ……」
俺達は口々に言いながら、小回りの利く貴明を先頭にリサ、俺、卓也の順で背後を警戒しながら、狭い一本道の通路を進む。しばらく歩いていると、ひらけた場所に出た。
「また場所が変わっとる……」
「そうね……」
俺達は広い空間に出ながらつぶやく、森の中から今度はレンガで包まれた部屋に来ていた。
「空間がぐちゃぐちゃになっているんだと思う……急がないと……」
「そうだな、と言いたいが、ちょっと待ってくれ。さっきまで屈んでたから……腰がな……」
貴明はそう言うと腰を叩くとゆっくりと後ろに反った、ジジイかこいつは……と言いたいが、こいつのしているバイトが腰を酷使しやすい物の為、こうなるのも無理はないか……。
「よしおっけい、あとは……そこを登るだけ……やな?」
貴明はそう言い、部屋の一番北側、俺達から見て正面に掛けられた梯子を睨んだ。
「そうだね、この上から嫌な波動を感じる……」
リサはそう言って、伸びる梯子を見上げた。正直、遠慮したい。上がほとんど見えない……。
「リサ、フライで飛んで行けないのか?」
「ごめん、今の私じゃ、私ともう一人にしかかけられないの……だから、此処を登るしかない……」
「だってさ。諦めろ、貴明、ここ登って行ったらええ運動になるで?」
リサの言葉を受け落ち込む貴明の肩に卓也は手を置きながら言った。
「しゃあない、切り替えよ! よし、じゃあ行くか……」
貴明の言葉に俺たちは頷くと、卓也は梯子に手を掛けた。
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