第二十一話 『友の暴走を止めろ! 狙え魔を放つ剣!!』
「ター君! 私が彼の動きを止めるから君はその隙に攻撃して!!」
「分かった!」
俺が頷いたことを確認したリサは、魔導書を開き魔力を込めて詠唱、すると卓也の周りに魔法陣が展開されそこからゴブリンを拘束したのと同じ、いやそれよりも太い鎖が現れた!
そして、それらは卓也の体にまきつくと、奴を拘束した。良し!
「ちょっとは我慢しろよ、龍光無双オロチ!!」
卓也に叫びながら俺は龍光斬りで一気に距離を詰めると、そのまま縦横無尽に刀を振り奴の右腕に握る鎌を切り裂いた!!だが
「ちょ、やっばい……」
リサがそう言ったとき、卓也が雄叫びを上げ、鎧をぶっ壊した。そして、俺の顔面に向かって左腕を伸ばした、そして
「ぐぼあっ!」
なんと、俺は卓也にぶん殴られ、後ろに吹っ飛んだ。いってぇな畜生……。
「てめぇ、何しやがる!!」
俺は卓也に叫ぶと、奴は後ろを見ながら右腕を勢いよく振り、無数の三日月状の稲妻を背後に放つと、また姿が重厚な鎧に戻り、俺の方を見た。
「お、お前ら斬らんようにしてるんや……多少ぶん殴られるのは覚悟してくれ……ぐぅ」
卓也はそう言い、再び苦しみだす。するとまた禍々しい姿へ変質した。
「リサ、なんか作戦あるか? 斬られんようにするのが手いっぱいみたいで、殴るのに加減できてないみたいで、今殴られたところがまだ痛い……」
「一つだけあるよ、私たち二人で卓也さんを昏睡するまでボコボコにするって言う手が!!」
リサは力強く、濁りのない目で言い放った……その言葉を聞いた瞬間、俺だけではなく卓也も動きを止めていた……。
「あ、いやウソだよ、冗談。そんなことして卓也さんの意識が飛んだらその方が危険だもの!!」
顔を真っ赤にしながら否定するリサ。忘れていた。彼女はほわほわお姉さんタイプの女性だが、本質は脳筋。魔導師なのに、魔法が効かないなら効くまで殴ればいいという迷台詞があるくらいだ。
「もぉ~、ちゃんと聞いてる? 卓也さんをボコボコにするのは冗談だけど、彼が持っている鎌をボコボコにすれば何とかなるって言ってるんだけど?」
リサの声にハッとし、俺は彼女を見る。すると頬を膨らませながら状況を説明する彼女がいた。やっべ。可愛い……じゃない!
「よし分かった、じゃあそれで行こう……」
「私も、魔導書のすべての魔法やスキルを活用してでも、止めるからね。ガンガン行くよ!!」
リサは魔導書を開きながら、俺の隣に立った。
「さ、作戦のめどはたったみたいやな……お前らいちゃつきやがって、俺でよかったな、貴明やったら……こ、殺されとるぞ……」
ああ、確かに。卓也に彼女が出来て今、そっち面で情緒不安定になっとるあいつがさっきの会話を見たらキレてるやろな……って
「別にいちゃついてへんわ!!」
「もう、じゃれ合わないの! 卓也さん。今から私たち武器を狙うから、なるべく武器に攻撃が集中するようにできる!?」
「ぐぅ……あ、ああ。何とかやってみせる……だができるだけ早くしてくれ、俺に痛みを与えて意識を奪うつもりなんか知らんが、急に右腕に激痛が走りだしやがった!!」
「まずいわね。ちょっとでも卓也さんの意識が飛んだら、アウトよ。ター君、行ける?」
「もちろんだ、じゃあまずは俺が一発、開戦の合図代わりにぶっ放す!!」
俺はリサに向かって言うと、刀に魔力を流す、卓也の……デモンの魔力だ……。
「行くぞ……ギャラクシー……ライトニング!!」
俺は叫ぶと、刀を真横に振り三日月状の稲妻の斬撃を放った! それを見た卓也は鎌を自分の体の前に持ってくるとその刃で、ギャラクシー・ライトニングを受け止めた!!
すると、一瞬だが刃先を纏う、虚無のエネルギーの光が消えるが、またすぐに元に戻った!!
「よし、じゃあ私も……アグニさん、あなたの力を貸して……火鳥よ、斬撃となりて眼前の闇を払え。ファイア・バード!!」
リサが叫ぶと魔導書が光り輝くと同時に、彼女の握る土姫に炎が灯る。そして彼女は真上方勢いよく土姫を振り下ろした!!
小さな無数の炎が刃先から飛び出すとそれらは鳥を象り、卓也が構える鎌へと命中した。
「よ、よし。ガンガン行ってくれ!!」
卓也の言葉に俺達は頷くと、一気にダッシュ。俺達はそのまま互いの武器を構えた。
「行くぞリサ!!」
「ええ!!」
俺とリサは互いの武器に同じ魔力を、土の魔力を流すとそのまま卓也が鎌を変化させた剣に向かって地昇斬を放った!!
俺の握る刀と土姫から、無数の礫が飛び出し、それは一瞬だが卓也の体を浮かせた。
「ぐぅ」
「大丈夫か⁉」
「あ、ああ。一瞬衝撃が来ただけや。気にせず行け!!」
「ター君、このままガンガン行くよ。今から放つ私の技に合わせて無双オロチを使って!!」
リサの言葉に俺は頷くと、刀に魔力を流した、すると、リサの魔導書が輝き始めた。
「受けなさい、天空のサソリの一撃を……アンタレス・スラッシュ!!」
「無双オロチ!!」
リサが土姫を振り下ろした瞬間、俺もそれに合わせて、刀を縦横無尽に振り無双とオロチを同時に放つ。
リサの土姫は、卓也の剣に何度も強烈な十五発の突き技を放ち、俺の無数の斬撃と同時に、卓也の剣を切りつける。すると、ほんの少しだけだが刃がこぼれた。
「まずい、二人とも……う、後ろに……飛べぇぇぇぇっ!!!!」
卓也が叫んだ瞬間、剣が鎌に変化し、虚無のエネルギーが稲妻のように迸ると、卓也は左手で鎌を掴んだ、そして、俺達に振り下ろされそうになる鎌の軌道を強引に変え、上に向かって、鎌を振るった。
「くっ!」
俺とリサは卓也の言葉通り、後ろに飛んで距離を置いたのとほぼ同じタイミングで、鎌から漆黒の斬撃が飛び出し、それは天井に命中した。
「ター君、今の攻撃で何とか、傷を付けれたみたいだよ……」
リサの言葉に俺は頷き、卓也を見る。すると、剣の時に欠けたと思っていた刃が、鎌形態では、刃と柄をつなぐ、口金という部分にひびが入っていた。
「よし、このままどんどん行きましょう……」
「ああ……卓也もそれで……卓也? どうした?」
卓也の方を見ると、急に黙り込み俯いていた。特に動きを見せないが、小刻みに肩は震えている所から意識はあるようだ……。そう思っていると、急に奴は顔を上げた。
その瞬間、背筋を冷たいものが襲う、なぜなら卓也の瞳は真っ白になり、目の下からは涙のように血が流れているが、それが虚無のエネルギーの光により発光していたからだ。
そして奴の腕が小刻みに震えた瞬間。不味いと脳に警告が走った瞬間、目の前から姿を消した。
「リサ!!」
俺はリサに叫ぶ、しかし少し遅く、リサの目の前には鎌を両手で握る卓也の姿があった。
「ちぃ、間に合え……前衛!!」
俺は声を荒げると、ここに来て初めて前衛を、RPGで言う所の庇うを使った。すると俺の体が白く発光し、俺はリサの目の前に立っていた。
「やらせねぇよ!!サンダァァァブレェェェド!!」
そして俺は稲妻の迸る刀を握ると、そのまま卓也が振り下ろした鎌目掛けて、刀を振るった!!俺と卓也の武器が命中した瞬間、目を覆いたくなるほどの閃光が放たれ、卓也は後ろに下がった。
「う……ぐ…意識がとんでいた……すまない……」
後ろに下がり、左手で顔を覆っていた卓也はそう言うと俺達を見る。すると卓也の顔がも通りになっていた。
「リサ大丈夫か?」
「ええ、大丈夫、卓也さんは大丈夫なの?」
「な、何とか意識は取り戻した……」
卓也の言葉に俺は胸をホッとなでおろすが、リサは険しい表情をしていた。
「まずいわね。たぶん、卓也さんの意識が飛んだのって私達が、鎌を少し壊したからだと思うの、虚無のエネルギーが無機物に意識を与えても不思議じゃない、壊されることを回避したい武器が卓也さんの意識を一瞬奪ったんだと思う……」
「マジかよ、じゃあ、どうするんや? このまま作戦続行し続けたら、卓也の意識が完全に奪われかねんぞ……」
俺がそう言うと、リサは、顎の下に指を持ってきて唸り始めた。くそ、ええ感じやったのに……。
「俺の技だ!!」
二人で考え込んでいると卓也の声が響き、俺達は卓也の方を見た。いや違う、この声デモンの声だ。そう言えばさっきからデモンと卓也の声が二重に聞こえていたような……
「デモン! 無事なの?」
「は、話はあとだ、今、卓也と協力して中からこの武器の虚無のエネルギーを抑えている、あの女は知らないだろうが、虚無のエネルギーの本質は無だ。この武器のように魔力によって変化する、だから、中と外からの攻撃を合わせることでこの虚無のエネルギーの性質を変えて逆に取り込んでやる!!」
「そんなことできるの!?」
「実際、ター君が撃ったギャラクシー・ライトニングとサンダーブレードのお陰で一瞬だが自由に動かせたからな……だからありったけをぶち込むんだ!!」
デモンがそう言うと、右手に握る鎌が剣に変化して虚無のエネルギーの光である紫と緑の稲妻に交じり、青と白の稲妻も放たれていた。
「リサ、やってみるぞ。一か八かだ!!」
「ええ、やってみましょう!!」
リサはそう言い、魔導書を開くと、俺達は横並びに立った。
「よし、行くよター君……」
「ああ、行くぞ!!」
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