第十七話『アリグムとの戦い 正義の拳をかいくぐれ』
「け、蹴りか……」
パンチはフェイントかよ……もろに受けちまった……。
「ほう、クリティカルヒットしたかと思ったが、よく耐えたな。まぁいい、その状態じゃ思う様に動けないだろ……」
アリグムはそう言って、リサの方を睨んだ。まずい、俺を戦闘不能にしてからリサを倒す作戦か……。
「ター君回復はちょっと待ってて、こいつ直ぐに蹴散らすから!」
リサは叫び俺に向かってウインクをする。何かを狙っている……?
「ほぅ、今の貴様で俺を蹴散らす……か、大した自身だな!!」
リサの言葉に眉をひそめたアリグムは叫ぶと、リサに向かって飛びかかった、そして右足が光り輝いた。
「喰らえ! 正義の轟脚!!」
アリグムは右足をそのままリサに向かって突き出した!
「くっ! ならこれでどう!」
リサは、ムチを真下から勢いよく振り上げた!!撓るムチが、アリグムに迫るが奴は足を引くと、後ろに下がりリサの鞭を右手で掴んだ!!
「ふん、俺を蹴散らすと息巻いたが……全く俺に当たってないじゃないか……」
アリグムはそう言うと姿勢を正しリサを睨んだ。いいや、アリグム、リサの作戦勝ちだぜ……。
「とんだ期待外れだな!!」
アリグムは叫ぶと、左腕に魔力を流しリサの鞭を破壊しようと構えた。 今だ! 俺は飲んでいた小瓶をその場に投げ捨て刀を構えると、魔力を流し龍光斬りでアリグム目掛けて突っ込んだ!!
「なにぃ! あのダメージをいつの間に!!」
俺の接近に気が付いたのか奴は声を荒げながら、右手を離すと俺の方を見る。今だ!
「喰らえ! 水龍蒼光断!!」
俺はさっき思いついた技を叫ぶと、刀を大きく振り上げた!
「ちぃ、正義の鉄拳!!」
俺の方を見たアグリムは輝く右腕を俺に向かって振り下ろそうと構えた、その時!
「なにぃ!?」
「相手だけはター君だけじゃないのよ? 忘れたのかしら!!」
リサはアリグムのマントを掴みながら、右腕に土の魔力が込めて行った。そして俺達は互いに頷いた!
「アースクエイク!!」
俺は水の魔力のこもった刀を真っすぐ振り下ろし、リサは勢いよく右手を突き出しアグリムの背中を殴りながら土の魔力を奴の体に流した!
その瞬間、アグリムの叫び声が聞こえ奴はその場に両ひざを突き、そのままゆっくりとうつ伏せに倒れた
「っよし!」
「やった!」
「助かったぜ、まさかあの一瞬で回復薬の瓶を鞭に括りつけて俺の方に投げるとは思わなかったよ」
「ター君なら、受け取ってくれると信じてたよ。あいつに掴まれた時はまずいって思ったけど……」
「ぬ……ぐぅ……」
俺とリサはハイタッチを行い喜び合うがそれを邪魔するかのようにアリグムの声が聞こえた。
「邪魔しやがって……」
俺はゆっくりと立ち上がるアリグムを睨むと刀を構えた。
「この体は特別性なのでな……最も今のはかなりヤバかったが、リサが本調子であり貴様がこの世界の人間でなければ死んでいただろう」
アリグムはそう言うと何かを食べているのか咀嚼音が聞こえた。不味い!
「いつの間に髪の毛を!?」
リサも同じことを思ったのかムチを構えていた。そして俺達はほぼ同時に飛び出した。
「まさか、この技と姿を不調のリサとこの世界の人間に晒すとは思わなかった……くらえ正義の一閃!!」
アリグムの言葉に呼応するように奴の体の中心に光が灯る。不味い!
「ター君! 防御を!!」
リサの言葉に俺は足を止め頷くと、土の魔力を刀に纏わせ構えた。リサも同様にムチを持ち替えると前方にシールドを展開し、防御の姿勢をとった。するとだ、アリグムの体を中心にまばゆい光が放たれた!!
「うあっ!」
「きゃあっ!」
マジか、光と共に衝撃波も放たれ、俺達は勢いよく後方に弾き飛ばされ、俺達は壁に背中を大きく打ち付けた。
「タ、ター君大丈夫……?」
リサは鞭を拾うとゆっくり立ち上がりながら俺を見る。俺も刀を拾うとゆっくりと頷きながら立ち上がった。
「大丈夫、衝撃波のダメージしか喰らってない……」
「ほぅ、光を防ぐとはなかなかやる。だが、ここからは簡単にはいかんぞ……」
「なにあれ、すごく強そうになってるんだけど……」
アリグムを見ながらリサは呟く、リサの言う通り奴の姿が変化していた。体中の筋肉は大きく膨れ上がり、明らかに体がデカくなり、体中が光り輝いていた。そして奴の右腕が光った。
「来る!」
「分かっている!!」
俺とリサは瞬時に反応、互いに武器を構えた。その時だ! 気が付いた瞬間にはすでにアリグムが目の前まで接近していた!
「なっ!」
「速い!?」
「受けろ!正義の鉄拳」
アリグムは叫ぶと右腕を大きく右側から真横に振る、所謂フックを俺達に向かって放った! 何とか見える!
「うっ!」
「くっ!」
俺は後ろに飛び、リサは屈んで奴の一撃を躱す、しかし、振るったときの風圧で俺達はバランスを崩した。
「冗談じゃない、あんなの喰らったら大ごとだぞ!」
「ター君、避けて!!前!」
体勢を整えながら悪態をつく俺にリサの声が響き、俺は正面を睨んだ。
するとアリグムが目の前に来ており、右足を大きく上に掲げていた。踵落としか⁉
「正義の鉄脚!!
「っと!」
俺は左足を軸に左に身体を大きく回し、奴の蹴りを躱した。だが……奴の下ろした蹴りの威力はすさまじく、勢いよく床のタイルを砕き、その破片が俺の方に飛んできた!
「ぐっ」
俺は刀を構え、風の魔力を流すと破片を弾いたその時だ、アリグムが俺の目の前に来ていた。
「正義の大行進!!」
「まずい!」
俺は土の魔力を刀に流す。なぜなら奴の両腕、両足が物凄い輝き方をしていたからだ。
「ウラララララッ!」
そしてアリグムは声を上げながら俺を連続で殴りつけてきた。俺は刀を振るい奴の拳を斬り払う、ラッシュの名にふさわしい連続攻撃……だ。
「はっはっは、なかなかやるじゃないか。だがこれならどうだ!」
「うっそだろ!?」
なんとこいつは、俺の顎を蹴り上げようと足を真上に伸ばしてきたのだ! 俺は後ろに飛び距離を置きながら刀を振り奴のすねを切り裂いた!
「まだまだ止まらんぞ正義の大行進!!」
不味い! 奴はラッシュに、蹴りも交ぜてきた! 俺は刀に風の魔力を流すと刀を振り、奴の腕や足を斬り払っていく。一発一発が重い、攻め切れない!?
「防戦一方とはまさにこのことだなぁ!!」
マジかよ。こっちも奴の腕や足を切っているのにダメージを受けていないのか、気にしていないのか、奴は笑いながらさらに連打を速めやがった!
「テレポート!!」
突然、リサの声が響くと、俺はその場から離れ、なんとリサの傍まで来ていた。
「ごめんね、何とか隙を伺ったんだけどこれしか思いつかなかった……」
リサの姿が見えないと思ったが、なるほど俺を引っ張るために少し距離を取っていたのか……。
「いや、助かった。両腕がしびれていて、結構ヤバい……」
俺はリサに笑顔で言う、すると、リサは俺の肩に手を触れ回復魔法をかけた。
「手のしびれだけじゃないよ、気が付いてなかったの? 君の身体もあいつもボロボロだよ?」
リサはそう言い、こちらを見つめるアリグムの方を指す。防ぐのに夢中になって気が付いていなかったが、奴は両腕、両足だけではなく体中から傷を流しており、俺達が戦っていた個所も、クレータが至る所にできていた。
「拳圧だけで私達のバランスを崩す勢いがあるんだもの、それと君の風の魔力がぶつかればお互いに無事じゃすまないわ……奴のラッシュの間を縫って一撃を叩き込まないと……」
リサは口をもしゃもしゃ動かしているアリグムを見ながら言う。ちぃ、向こうも回復しやがるのか……。
「よし、だったら俺が奴の隙を作る。だから君は必殺技の準備をしろ。君の六象光輪波ならいけるはずだ」
「分かった。無理しないでね……」
「ああ、といってもそんなに時間は作れないから早めに頼む」
俺はリサに向かって言うと刀を握り、アリグムに向かって走り出した。
「まさかあんな躱し方があるとはな、しかし二度と使わせんぞ!!」
「リサを狙う気か? やらせてたまるか、お前の相手は俺だよ!!」
俺はリサを睨むアリグムの前に立つと刀に魔力を流し、振り下ろした!
「ならば貴様から片付ける……くらえ正義の鉄拳!!」
アリグムは俺を見ると右腕に魔力を集め、一気に突き出すと俺の振り下ろそうと構えていた刀を弾いた。
「なめるな! 火炎斬!」
俺は叫ぶと刀を両手に握り魔力を流し込むと刀を真下から真上に勢いよく振り上げた! 刃先から炎の斬撃が飛び出し、奴の体を切り裂いた。
「ぐぅ……ならば受けて見ろ正義の大行進!!」
アリグムは両腕、両脚に魔力を纏わせると、俺に両腕を連続で突き出してきた!
「はっはっは! 先程みたいに躱せると思うなよ!」
「なめるな! ラッシュができるのはお前だけじゃねぇんだよ! 無双!!」
俺は叫ぶと体中に魔力を集めると無双を放ち、奴が連続で突き出してくる拳の雨を刀を左右にリズムよく振り斬り払った!
第十七話『アリグムとの戦い 正義の拳をかいくぐれ』を読んでくださりありがとうございます。
面白いと少しでも感じて頂けたなら、評価、感想、広告下の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!
よろしくお願いします!




