第十五話 『仲間からの贈り物を抱いて 目指せ! 次なる目的地』
リサが右腕を突き出すと彼女の身体から金色の光が放たれ、それは俺達に飛びかかってきているポテージャの分身体をすべて弾き飛ばした!
リサの腕から六象光輪斬がけたたましい音を上げながら放出され、六つの光はポテージャが作ったツルをなぎ倒し、分身体を巻き込み、土煙を上げながら真っすぐ突き進んだ!
そして六つの魔力の輝きは、ポテージャの本体を捉え、奴に防御することも回避することも、声を上げることも許さず奴の体を貫いた!!
「す、すごい……なんて威力だ……」
俺は正面を見ながらつぶやく、地面は抉れ、周囲にはポテージャの作ったツルや分身体の残骸すら残っていなかった、残っていたのは本物が立っていたと思われる位置に倒れる女性だった。
「っ!」
俺は刀を握り警戒する、しかし、リサは警戒することなくその女性に向かって駆け出した。
「おい、リサ!?」
俺は刀を握ったままリサを追いかけた。するとリサは、地面に膝をつき倒れる女性に触れていた。
「ポテージャと合体していた人か……ポテージャ倒せたから元に戻ったんか……」
俺は、軽く息を吐くと納刀する、するとリサの掌が光に包まれた。
「リターン!」
リサは魔法を唱える、すると女性の体を淡い緑色の光が包み、その光と共に女性は姿を消した。
「今のは?」
「今使ったのは、リターン。対象をマーキングした拠点や、安全な場所まで逃がす魔法だよ」
リサはそう言い、俺に微笑むとゆっくり立ち上がった。
「と、言っても。今この建物どころか、周辺は結界が張り巡らされているから安全地帯となるとかなり遠方になるけどね」
「ゲコゲドンと合体していた人にも使ったよ、だから安心して……ってキャッ!」
突然、リサの言葉を遮る様に周囲が揺れ始めた。
「地震か⁉」
俺はリサの体を支える様に腕を回すと、周囲を見渡した。すると周囲の壁がシールをはがすようにべりべりと剥がれて行った。
「大丈夫、ポテージャを倒したことにより、此処の空間が元に戻っているの……良かった浸食されてなくて……」
リサがそう言うと、周囲が光に包まれる、フラッシュのように。そして光が晴れると俺達はベッドに囲まれた室内にいた。
「じ、実習室か……」
俺は周囲を見渡しながら言う、教室の真ん中にあるコロのついたホワイトボード。ベッドの脇にある床頭台。まとめられた車いすやオムツ類。良かった元通りの実習室だ。
「ここでターくん勉強したんだ……」
リサは元に戻った、実習室を見渡しながら、つぶやく。
「ああ、結構めんどいこともあったけどな」
俺はそう笑顔で返す。卒業して一年しか経ってないのに懐かしい気分や……。
「っと、思い出にひたるのは後、さっさと、次のところ行こや」
俺の言葉に、リサも頷き、実習室から出ようとしたその時! 突然リサの膝が折れ、彼女はベッド柵を掴んだ。
「大丈夫か!?」
俺はリサに急いで近寄り、顔を見た。顔色は悪くないようだが……。
「ご、ごめんね。ビックリさせて」
リサはそう言うと、笑顔で姿勢を整えた。
「六象光輪斬。結構疲れるね、一回撃っただけなのに、もうバテたよ……あれをポンポン連発できるターくんすごいよ」
「まぁ、天才ですから。それにリサ、俺は斬撃。刀に纏わせただけ。君のは砲撃、手から直接はなった物、その違いかな」
俺は、軽く笑う。すると、リサも、納得したような顔をした。
「なるほど、じゃあ私のは六象光輪『波』ってことか、うん、六象光輪波。いい名前!」
リサは微笑むと、アハハと笑い始めた。俺も、それにつられて笑う。そして、二人でしばらく笑い続けた。
「ふぅ、一笑いしたら、疲れも取れたよ。さぁ! 行こう!」
リサは笑顔で、だが、力強い表情で言うと、俺もそれに答えるように強くうなずき、二人で実習室から飛び出した。
「外は……入る前とそこまで変わらんな……」
廊下に出た俺は周囲を見渡しながら言う。紫の空。様々な形の柱、床、そして息が詰まる圧迫感。一体倒した程度じゃ何も変わらんか……。
「リサ。次のやつはどこにいる?」
「近いよ、そこを左。左の一番端っこだよ」
リサは左を指さしながら言う。左の一番端っこ……俺等が一年だった時の教室か……
「よし、行こう。ここからだとそんなに距離はないが、油断せずに……な」
俺の言葉にリサは頷き、俺たちは左方向に進み。実習室を後にした。
早足で、二分もかからないくらいの距離にある、教室だ。それでも、この異様な空間がそうさせているのか緊張感が俺とリサを包んだ。
さっきまで、笑っていた雰囲気が嘘のようにだ。そして、特に魔物に遭遇することもなく、目的である教室の前に辿り着こうとした瞬間、リサが急に足を止めた!?
「止まって! そこ、右の部屋! そこからも魔力を感じる!」
リサは焦ったような声色で右の教室を……俺たちが在学中は生徒指導室だった教室を指さした。
「どっちだ、どっちが当たりだ?」
「多分左、右からは邪悪な気配は感じない。でも、左よりも強力だよ」
リサの言葉に俺は黙り、考える。邪悪な気配がないとすれば貴明達か? でもそれなら、リサが気付かないわけがない……。
だが強力かつ邪悪な気配がないと言う事はあいつらの落としたアイテムとかか……? ええい、考えても無駄だ。
俺は右の教室を、今は倉庫と書かれている教室のノブを握った。
「邪悪な気配はないんよな? だったら、まずはこっちに行こう。もしかしたら貴明達やあいつらが何かを残しているかもしれないからな」
俺はそう言うと、リサの反応を待たずにドアを勢いよく開き、倉庫の中に飛び込むとリサも俺の後を追った。すると、目の前が急に光り輝いた。
しまった罠だったか⁉俺は目を瞑りながら刀に手を伸ばす、すると光が徐々に晴れ倉庫となっている元生徒指導室の姿が徐々に見えてきた。
「なんだ、これ?」
俺は柄を握りながら目の前に輝く球体を見ながらつぶやく。するとだ俺より後に教室に入ったリサはその球体に近寄り、手を伸ばした。
「リサ離れろ!」
俺はリサに向かって叫ぶ、しかし彼女は俺の方を見ると大丈夫と言いたげな表情をし、球体に触れた。
リサが球体に触れると、球体は一瞬、蝋燭の火が消えるときに燃え上がる様に輝きを増し消失。リサの手に鞭のような物が握られていた。
「なんなんだそれ?」
俺は首を傾げながら、リサに近寄り彼女に声を掛けると肩に触れる。その時だ、突然、俺達の目の前に人のような何かが現れた
「誰だお前!?」
俺は刀を抜きながら叫ぶ、すると突如現れた影が徐々に姿を現していき、男の姿が現れた。
「これを君が見ていると言う事は間に合ったようだな……」
金髪と見間違えるほどの綺麗な白髪、長いひげを持った男でローブのような物に身を包んでいる男が口を開いた。あれ……こいつってまさか……。
「コウマ! なんでここに!?」
リサは男の名前を叫ぶ、やっぱりそうか、六賢者の一人で光の賢者のコウマだ
「でも、どうしてこ」
リサが話そうとした瞬間、コウマは手を前に出してリサの発言を止めた。
「言っておくが、会話はできない。記録だからな、容量も決められているから早急に、要点だけ伝える」
コウマの言葉にリサは口を止める。するとコウマはまた話し始めた。
「その鞭は理が違うそっちの世界で君が戦えるように俺の羽根を数本とって作った武器だ。確か七つの大罪だったか? そいつらを倒すくらいは余裕な力はある」
コウマの言葉にリサは鞭を手に取り、まじまじと見つめた。
「要件は以上だ。では健闘を祈る」
コウマはそう言うと右腕を上げて消えた。
「す、すごいな……嵐みたいだな光の賢者なのに……」
俺の言葉にリサはゆっくりと頷いた。
「鞭はどんな感じだ? 使いやすそうか?」
「え、あ、う、うん!」
唖然としていたリサは俺の言葉にハッとしムチを二、三度振る。鋭い風切り音がなる。見た感じは重くなさそうだが……。
「流石はコウマ……振りやすくていい武器だ」
リサは鞭の先端を手に持つと、笑顔で頷くそして、くるくるとコードをまとめるようにすると、ベルトの左側に引っ掛けた。
「よし、じゃあ。行くか」
俺の言葉にリサは頷く。俺たちはそのまま、倉庫を後にし、リサが邪悪な反応がすると言っていた教室へ、俺達が一年生の時に使っていた教室の前に来ていた。
「うん、間違いない。この部屋だ、次はここにいる!」
リサは教室を指しながら言う。俺は魔力感知なんて出来んが、教室から禍々しさを体中に感じる……。
「準備は良いか?」
俺はドアに手を掛けながらリサに言う。右手で刀を握り何があっても対応できるようにしながらだ。
リサは俺の言葉に頷くと魔導書を手に握った。彼女も準備万端だ。
「よし行くぞ!」
俺はそう叫び、教室のドアを勢いよく開き、中に侵入。一瞬、視界がパッと光輝いた。
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