第十三話 『VSポテージャ 無数に潜む影』
ポテージャは土の魔力を右腕に流し、リサの振り下ろす土姫を防ごうと前で構える。しかし、リサの斬撃はポテージャの右腕を容易に切り裂いた!!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!! 私の腕がぁぁぁぁ」
奴の腕から薄墨色の液体……違う血だ。奴は薄墨色の血を流し、声を上げながら、右腕を抑え後ろに下がる。
だがそれがスキだ!!リサは奴が下がった隙を見逃すことなく、魔導書を開き、一歩踏み込み下がったポテージャを逃さまいと距離を詰めた!
「止め! エアロ・スラッシュ!!」
そして、魔導書に記されている技名を叫ぶと、風纏う土姫を真横に振り、ポテージャの首を斬り飛ばした! すると、奴の体は糸の切れた人形のようにその場に倒れた。
「これであと二人か……」
「ふぅ、お疲れ様。ター君大丈夫?」
リサは土姫を納刀し、魔導書を閉じると俺の方を振り返った。その時、リサの背後でもぞもぞと切られたはずのポテージャの半身が立ち上がった。
「まずい! リサ、奴はまだ生きてるぞ!」
俺は刀を構えると声を上げ走り出す。リサも気が付いたのか魔導書を開き始めていた。しかし、それよりも速くポテージャは自身の腕をツルのようにリサの左腕を払った!
「しまった!」
リサは弾かれた魔導書を目で追うと、地面に落ちる魔導書に手を伸ばした! その時!!
「ッ!!」
地面からツタが伸び、リサの魔導書をさらに弾き、上空に打ち上げた!打ち上げられた宙を舞い魔導書は俺の頭上を越えた。
「ちぃ、鬱陶しい事を!!」
俺は足を止めると、振り返り、魔導書目掛けて走る。あれがないとリサは戦うのが厳しいはず。俺は地面に落下するギリギリのところで飛び上がると、魔導書をキャッチし着地、リサに投げ渡そうと振り返った。その時!
「リサ!」
俺の目に、ポテージャがきられた半身を再生させながら今までとは違うジャガイモのツルのような物で彼女を拘束している姿が映った。
「リサから離れろ、このでこっぱちがぁぁぁぁぁっ!!」
俺は声を上げながら一気に走り、ポテージャに近寄ると刀を右手で強く握りしめる。リサを拘束している忌々しいツルを刀を振り下ろして切り裂く。
すかさず、目を見開き驚いている再生途中のポテージャに向かって、真下から右上に向かって刀を振り上げた!
俺の振るった風の魔力のこもった斬撃を受けたポテージャはふせぐことも出来ず、声も上げないままバラバラに斬れ、肉片は地面に力なく落ちた。
「リサ大丈夫か⁉」
俺は刀を地面に突き刺すと、地面に座り込み喉を抑えせき込んでいるリサの体を支えた。
「う、うん、ごめん助かった……」
リサは俺の手を取ると苦笑いしながらゆっくりと立ち上がった。
「土人形でかわしたうえ、リサの魔導書を狙うとはな……すまん、俺ももうちょい警戒するべきやったわ……それにしても体は大丈夫か?」
俺はリサに魔導書を渡しながら彼女の顔を見て、言葉を発した。
「ありがとう。体は大丈夫だよ。ター君が助けてくれたから大したダメージ受けてない、でも気を付けて、ポテージャはまだ生きている!」
リサは俺から魔導書を受け取ると、土姫を構えてキッと虚空を睨んだ。チューかマジかよ、まだ生きてるんかいな……。
俺はリサの言葉に心で悪態をつくと、刀を握り地面から引き抜くと両手で握り、構えた。
「ター君が今斬ったやつも、最初から戦っていたのも奴の分身。おそらく、ここに来た時から奴は分身作って潜んでいた……あえて踊って魔力を拡散させたのも今の私に感知されるのを防ぐためだったみたい……」
「マジかよ、あの見た目の癖に頭が結構キレる奴なんやな……」
人は見た目で判断するな、って事か……俺はそう思いながらリサの言葉に返事をし、周囲を見渡したその時!
「ター君!」
「分かっとる!」
リサの叫びに俺は答える。すると、地面から勢い良くポテージャが飛びだしてきた!だが甘い、俺とリサは振り返りながら、互いの武器を振り奴の体を切り裂いた。
だが……斬ったやつの体は泥のような姿になりその場に崩れた。ちぃ、これも偽物か⁉
「っ、偽物!!」
リサは後ろに飛び距離を置いたその時、リサの着地地点の土が盛り上がった。
「なめるな!」
俺は叫ぶと、リサが地面に着地する前に、体を屈めると背中で彼女の体を支えながら地面から這い出てきたポテージャ目掛けて刀を振った! だが
「切れ味がさっきと一緒……これも偽物か!」
「っ! ター君ごめん、背中かして!!」
俺が偽物だと認識した瞬間、リサの声が響く。すると彼女は俺の背中に両腕をつくとそのまま俺の背中を押し上空に飛びあがった。俺はすかさず、姿勢を直し上へ目線を向ける。
するとそこには、上空から俺達を攻撃しようと落下しているポテージャの姿があった。
「やぁぁぁぁぁっ!!」
リサは声を荒げながら土姫を真下から振り上げるとポテージャの体を切り裂いた、その時だ! 奴の体が薄墨色の泥のようになり八つの塊になり飛び散った!
すると、なんとそれらは姿を変化させる。ちょうど人間の赤ん坊くらいの大きさに。そして、そのまま俺たち目がけて落下してきたのだ!
「リサ! 君は着地することだけを考えろ、そいつは俺がやる!!」
俺はリサに向かって叫ぶと刀に魔力を流す。そして体を勢いよく回転させながら刀を振り上げた!!
刀から風の魔力と共に竜巻のような風が飛び出す。そして、その旋風はポテージャの分身体共をすべて巻き込み、一気に切り裂いた。
「ごめん助かったよ……ま、終わりじゃないんだけどね……」
リサは着地すると俺に向かって言うが、視線は周囲を見渡すように動いていた。俺もゆっくりとリサの視線を追う、すると俺たちの周り、というよりこの部屋全体に明らかに分身体とわかるポテージャの群れが敷き詰められていた。
「はっはっはっは。これだけの分身、どれが本物か今のあんたに分かるかな!?」
うるさ! 分身体が一斉に喋り出し、何かがぶつかったかのような轟音が響いた。
「ぐ、この数は流石に時間がかかる……ごめん、私が本調子だったら、簡単に本物を見分けられるのに……」
「いや気にするな、一体一体片づけたらすむだけの話や」
俺はリサの肩を叩きながら笑顔で言うと、刀に風の魔力を流す。そこで俺はあることに気が付いた。
「いやそれだと時間がかかるな……リサ。その魔導書に広範囲魔法はないんか? それがあったら大分ましになるんやけど……」
「い、一応あるけど、そんなの焼け石に水だよ? 本体を叩かないとまた増えるだけだよ?」
「いや、広範囲魔法は一回だけで良い、後は俺が何とかする。君は一回打ったら後は集中して奴の本体を探してくれ」
俺はリサの肩に手を置くと一歩前に出た。するとだポテージャの群れの数体が俺達に向かって飛びかかってきた!
「作戦タイムはもう終わって貰おうかねぇ! 時間稼ぎも大事だがあんた達を倒さない事には意味がないからねぇ!」
「やっかましぃ!!」
無数にいるポテージャのうちのほんの数体ではあるが、同時に話されるとやかましいことこの上ない、俺は叫ぶと刀を振り、ポテージャ達を切り裂いた!
「じゃ、そう言う訳で……頼んだぞリサ、打つ前には合図よろしく!!」
俺はリサに笑顔で言うと、リサに一番近い、三体のポテージャに向かって刀を突き出した!
すると、刃先から風の魔力が飛び出し、三体の体を切り裂いた。
「わ、分かった……なるべく強い物を探す。だからター君、とりあえず! オーバーアタック・クイック・ディフェンス!」
リサは俺の言葉に頷くと、俺に肉体強化の魔法をかけてくれた。助かるね、しかも上限突破のあるオーバー付きか……。
「今の君なら大丈夫だと思うけど、オーバー使ってるからね。無理すると後でバテるよ?」
「分かっとる、サンキュー助かる……って危ない!!」
俺は刀を振り、リサの背後にいたポテージャの群れを切り裂いた! まだ増えるんかいな……。
「や、やっぱり私も協力したほうが……」
リサはそう言って開いていた魔導書を閉じると、左手に持ち、納刀していた土姫を引き抜く、しかし、俺は彼女の方を見ると魔導書を彼女の手から取り上げた。そして。
「だから言ってんじゃん! 俺は大丈夫だから、良い魔法探してくれよ」
そう言いながら、魔導書の適当なページを開きながら彼女に魔導書を渡すと、右手に握る土姫を取り上げた。
「あ、ちょっと……もうわかったわよ、だからツチヒメを返して」
リサはそう言ってため息をつくと軽く笑う。それを見た俺も、軽く笑いリサに土姫を渡すと彼女はそれを今度こそしっかり納刀し、右手で魔導書を受け取った。
そして両手で魔導書をリサが握った、するとだ、一瞬だが俺が開いたページを見たリサの目が見開いた……様な気がした
「ん? どうした?」
俺はリサに向かって尋ねると、魔導書を見る彼女に顔を近づけようと前に出た、その時だ!
「私のテリトリーでイチャイチャするなぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
またもや無数のポテージャが声を上げながら、一気にこちらに飛びかかってきた。
「本当にやっかましいな、イチャイチャして何が悪いんや!!」
俺も奴らに負けず、声を荒げると刀を一気に真横から振り、迫ってくるポテージャの群れを一気に切り裂いた!
「使う魔法はこれで行く、後はお願いね!」
リサは魔導書を開きながら言うと、俺も彼女の言葉に強く頷いた。そして、リサは魔法を放とうと魔力を込め始めた。
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