第十二話 『ダンジョン化した教室の先 待ち受ける舞踏家 ポテージャ』
「あれが……次の敵か……」
俺は目の前で踊りを続けている魔物を睨みながらつぶやく、赤黒い体に、映画やゲームに登場する踊り子が着るような露出度が高い服を着ている魔物だった。
「おや、もう来たの……ちぃ、ゲコゲドンとウォーシールはしくじったみたいだねぇ」
魔物は俺達に気が付くと動きを止め、こちらを見た。そのことで、先ほどまで認識できていなかった、奴の顔が見ることができた。
さつま芋を真横にしたような顔に、頭の中心から一纏めにしたポニーテールのような髪が垂れていた。そして、吊り上がった瞳に、真っ赤な三日月のような分厚い唇を持った魔物だった。
「そう、貴方が相手なのね、ポテージャ」
リサは魔導書を開きながらポテージャを睨む。それを見たポテージャという魔物はニヤリとその分厚い唇を持ち上げリサを睨んだ。
「今のあんたに、私が倒せるか……ねっ!」
「っ! やらせない!! エアロ!!」
ポテージャはほくそ笑みながらリサに言う、すると奴の右手の人差し指がピクリと動いた、その時! 何かを悟ったのかリサはすぐに魔法を唱え、右腕から風の魔法を放った!
すると地面の中から木の根のように太いツルが俺達に向かって迫ってくるがそれはリサの放った風魔法で粉々に千切れ飛んだ。
「ちぃ、魔力コントロールができないとはいえ流石は六賢者だねぇ……こんなみえみえな不意打ちじゃ厳しいか……」
ポテージャはそう言うと両腕を水平に広げた。するとリサは再びエアロを唱え、ポテージャの動きを止めた。
「気を付けて、こいつは踊りを舞って自分の魔力を周辺に散布して、さっき見たいなツルで攻撃するの……だから踊らせないように……」
リサはそう言うと魔導書のページをめくり始めた。
「了解、手を休めずに攻撃すればいいんだ……なっ!」
俺はリサの言葉に頷くと、態勢を整え動き出そうとしていたポテージャに急接近するとリサのへの返事を返しながら刀を振り下ろした!
「ちぃ!」
ポテージャは右手を鉤爪のような物に変化させるとそれで俺の刀を防ぎながら後ろに下がった。遅い、どんどん行くぞ!!
俺は両足に力を込めると再びポテージャと距離を詰め、今度は刀を真下から振り上げた! そしてそのまま右に左と連続で刀を振り回した!
「こんなに猛攻されたら動けないねぇ……とでもいうと思ったのかぃ!?甘いよッ!!」
ポテージャが叫ぶと奴の背後から、木の根のような太いツルが俺に向かって迫ってきた。
「ちぃ、ツルならこれで!」
俺は迫ってくるツルを睨むと後ろに下がり炎の魔力を刃先に集めた。その時だ!
「ター君! それに炎はダメ、伏せて!!」
炎を纏った刀を振りかぶろうとしたときにリサの声が響き、俺は体を伏せる、すると、手裏剣や礫のような無数の光が俺の頭上を飛びそれらはツルに命中するとツルごとポテージャの体を切り裂いた!!
「ター君大丈夫? 当たってない? 避けられた?」
リサは姿勢を直す俺の傍に近寄ると、頬に手を触れながらやさしい声色で言う。や、柔らかい……じゃ、ない!
「お、おう大丈夫だ。今の技は? 綺麗な斬撃だったけど……」
「うん、今のはね、シオンの技だよ、ポテージャは土魔法使うの、だったら風の魔法が一番いいからね、使ったことなかったから彼の技を試したのよ」
シオン、確か白洋騎士団の金髪で切れ目のイケメンか……ほぉ~面白い技使うんやな……じゃあ俺も風魔法の方を使うか!
俺は刃先に旋風を、風の魔力を纏わせると同時に、リサに切られ大きく吹き飛んだポテージャが舞い上がる土煙の中から現れた。
「ちぃ、防御が間に合わなかったらやられていたてねぇ」
ポテージャはそう言って俺達を睨む、その表情には笑みがあり、言葉の割には余裕そうだ……。
「土の衣が粉々になるとは、さすがは六賢者様だ……」
奴がそう言うと、皮膚が剥がれる。違う、リサの攻撃が命中する瞬間に土で自分の体を覆わせたのだろう、それがボロボロとはがれて行った。
「あら? ほめてくれてありがとう。じゃあ私からも一つ、私達がゴブリンとやりやってる時にすでに、下準備していたわね……今、注意深く感知したらここ貴女の魔力まみれね、どこからでも攻撃できるのね……」
リサはそう言ってほほ笑む……目は笑ってないぞ……リサが言うことが正しいならあいつはどこからでもさっきのツルを俺達に向かって飛ばせる下地はバトルフィールドは完成しているってわけか……。
「よく気が付いたね……いや本調子じゃないとはいえそれくらい分かって貰わないと張り合いがない……ねっ!」
ポテージャがそう言うと、俺でもわかる位はっきりとした奴の魔力が部屋中に広がった。すると、地面から無数のツルが現れた!?
「ター君、あいつはツルを動かしながらでも魔法を使えるよ……気を付けて」
「分かった……リサ行くぞ!!」
「ええ!!」
リサは力強く頷きながら言葉を俺に返すと、俺達二人は武器を構えたままポテージャ目掛けて走り出した!!
「正面から突っ込んでくるぅ? 舐められたもんだねぇっ!」
ポテージャは高笑いしながら言うと、両腕を振り上げる、すると地面から生え静止していた無数のツルが俺たち目がけて突撃してきた。
「甘い! エアロ・スケイル!!」
リサは声を上げると、風の魔力の込められた土姫を横薙ぎに振る、するとそこからスケイルの名の通り鱗のような風の魔力が無数に放たれ、迫るツルをすべて斬り落とした!
「ちぃ、でもね、まだツルは出せるんだよ!」
ポテージャはそう叫び、再び動き出そうと構える。だが遅い!!俺は奴の懐に潜り込んだ。
「なっ! 小僧いつの間に!?早い!!」
「お前が遅いだけだ!!」
ポテージャの狼狽える言葉を流すように返答すると刀を振り上げようと構えた。その時だ! 奴の目が赤く、怪しく光り輝いた!
「目がぁぁぁぁぁぁぁあぁぁっ!!」
その瞬間、俺の瞳に筆舌に尽くしがたい状況が浮かび、両目に激痛が走った、そして、俺は思わず刀を手放すと、映った光景や痛みから逃れる様に目を抑えたまま地面に倒れ、俺は地面をのたうち回った!!
「ター君!? くそ、エア・ショット!」
リサのまたもや聞いたことがない魔法詠唱の声が響くと、何かが破裂したような音が周囲に木霊し、ポテージャの悲鳴が聞こえた。
「ター君大丈夫!」
俺がゆっくりと目を開けるとリサが俺の傍に駆け寄ってきていた。ああ、女神とはこういうことを言うのか、目がいやされる……。
「ああ、大丈夫だ。あの野郎……とんでもない物を見せやがって……」
俺は刀を拾うと、先ほどのリサが放ったエア・ショットとか言う魔法で吹き飛んだと思われるポテージャを睨み付けた。
「とんでもない物だとぉ? 私のあの姿がとんでもないというのか貴様はぁっ!!」
「当たり前じゃ! てめぇらの種族じゃどうか知らんが、俺ら人間からすればてめぇの裸踊りなんざ、見たくもねぇ毒なんだよ!」
俺は立ち上がると鼻息荒く俺にキレてくるポテージャに向かって叫んだ。
「言えばよかったね、あいつの目を見たら幻覚見せられるからね、注意してよ」
俺の隣に立つ、リサはポテージャを見据えながら小声で言う、俺もポテージャを睨みながらリサの言葉にゆっくりと頷いた。
「私の姿が毒だとぉ……人間風情が……私を馬鹿にするなぁぁぁぁっ!!」
ポテージャは声を荒げると、奴の周囲から無数のツルが一気に飛びだし、それが巨大な拳を形成し俺達に向かって迫った!
「なめるなよ、そいつごと、てめぇをぶった切る!!」
「アタック、フルスピード!!」
俺が刀に風魔法を流し突撃しようとした所、リサの魔法詠唱の声が聞こえると同時に俺の体を赤と青の光が包んだ。
「強化魔法だよ、行って!!」
「よし! 任せろ!!龍光旋風斬!!」
リサの言葉に俺は強く頷くと体にデモンの魔力を流し、そのまま一気に龍光斬りを放ち、俺に向かってくるツルの群れに突撃すると、刀を水平に構え体を勢いよく回した!!
コマのように俺は自身の体を回し、そのままツルに突撃、俺は奴のツルを次々と破壊しながら突き進んだ、そして
「ツルはすべて破壊した、後はお前だけだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
叫びながら俺は、ポテージャの首目がけて刀を横薙ぎに振ろうとした、その時だ! 奴の瞳が怪しく光り輝いた!!
不味い、刀を振る体制になっている、防御できない、奴の手には魔力がある、目を瞑れない……ええいままよ!!このままぶった切る!!
「まずい、ソニア力を貸して!! リプレート!」
覚悟を決め刀を振り切ろうとした瞬間、リサの声が響く。すると突然、俺はポテージャの目の前から離れ、リサがポテージャの目の前に立っていた。
いや違う俺とリサの場所が入れ替わったのか!?なんて言う魔法だ……
「な!」
「あら? 驚いて目が元に戻っているわよ……まぁ気が付いても遅いけどね!!ロック・スラッシュ!!」
リサの言う通り、ポテージャの目から赤い光は失われていた。そして慌てているポテージャに向かってリサは土姫を真上から振り下ろした!!
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