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第七話 『腕試し 私の実力見せてあげる‼!あ、怪我だけはしないでね』

「はあっ!!」


 先に動いたのはルキウスだった、ブルーノさんの開始の合図と同時に私に向かって突撃してきた。


 私に近寄った彼は槍を突き出す。私はそれを後ろに飛んでかわしながら右腕を薙ぎ払うようにして左から振る。


 鞭がしなり、ルキウスの体にせまる、ルキウスは私と同様、後ろに飛んでかわした。


「っ!」


 おっしい、私の鞭の先端が彼の左手をかすめ、小手の下に巻いている布を切り裂いた。


「完全にかわしたつもりだったんだがな……ならこれでどうだ!!」


 ルキウスはそういうと私に接近。そして、槍を再び突き出す、さっきより早いけど避けられないわけじゃない! 


 私は上体を後ろにそらしながら突きをかわす、そして前に出ようとした瞬間、彼は両手で槍を握ると突き出した状態のまま、上に向かって槍を振った。


 私は体をそらしてかわす、危なかったもうちょっとで切られるところだった。


「それでかわしたつもりか? 甘い!!」


 私が彼を見るとすでに次の動作に移っていた、槍を右斜め下に構え勢いよく左方向に薙ぎ払うように槍を振るった。


 速い、でも甘いわ!! 私は勢いよくしゃがみこむ、そして槍を握る右腕に向かって鞭を振った。


 腕を大きく振ったことで彼の右腕が死角になり私の動きは見れない、案の定、私の振った鞭は彼の右腕をとらえる、今回は打撃が目的じゃない。私は彼の腕を巻き付けるように鞭を振った。


「っ、驚いた。初めてだよ。俺の連撃をかわせたのは……。だがな、この程度!」


 彼は力を籠める。力で引き離すつもり? 甘いわよ。私は立ち上がると、鞭を強く握り、自分の方向に強くさらに引っ張り、さらに腕を締め付けた。



「っ! な、なんだその力は……。振りほどけない……」


「魔導師だからと言って侮ったわね? 確かに単純な力なら戦士のあなたには劣る。でもね、武器に魔力を纏わせれば、力の増強位できるのよ? 魔法武器を使っているのにそんな事も知らなかったの? それとも、普通の武器には魔力を流せないと思っていたのかしら?」


 少し挑発をしてみる私、まぁ普通の人は知らないわよねぇ……彼が使っているのは武器のどこかに魔法を流すための小さな印字が彫られている。


 そこに魔法を使える人間が魔力を流し込めば、強力な武器になる。それはだいたいの人が知っている事。


 でも、実は強力な魔導師だと、普通の武器でも自分の魔力を流し込めるのだ。魔導師が武器を持つことなんかめったにないし、自分の魔力にあった杖とか魔導書使うから知らない人の方が多いと思うけどね。


「恐れ入ったよ……だがな! 俺を侮るなよ!!」


 彼はそう言って左手を柄に伸ばし、両手で槍を持った。やっぱり、単純な力では負けちゃうか……。


「このまま貴様を引っぺがす! ぬおぉぉぉっ」


 ちょっとこれはヤバい! このまま拘束していると槍を振った勢いで投げられる。最悪鞭を手から離してしまうかも!


「だありゃっ!」


 案の定、彼は槍を真っすぐ振り下ろした、私は鞭に伝わせていた魔力を解き、彼の腕から鞭を緩めた。彼の腕を振り下ろした勢いを利用しながら後ろに飛んだ。


「ちっ、そのまま投げてやろうと思ったが、自分から飛んだか。だが、その状態でこの技をどうかわす!」


 うそ! ルキウスの体から魔力が放たれる、何をする気か分からないけどヤバいかも!


「くらえ。タウラス・ホーン!!」


 ルキウスは叫びながら、私に槍を突き出した! 魔力を込めた突き技……じゃない! 突きが魔力と一緒に飛んできた、そう言う技っていう事!? 


 まずい、私は宙にいる、避けられない……それなら! 私は、魔力を鞭に流した。


「っ! なにぃっ!?俺の技を止めただと……」


 私は鞭に魔力を流し込み、鞭を硬化、先端を左手で握り、彼の突きを受け止めた。


「まっ…だ……まっだぁぁっ!!」


 私は声を上げると、勢いよく鞭を振るい、ルキウスの放った魔力の塊を跳ね返した!


 私の撃ち返したルキウスの放った魔力、それはルキウス目がけて突っ込んだ。私の魔力をおまけして。


「っ! くっそ!」


 ルキウスはそれを左に飛んでかわす、魔力はそのまま地面に命中! 勢いよく爆発した。ルキウスは左によけていたが、爆発にのまれバランスを崩す。


 今だ!! 私はバランスを崩した彼の右手に向かって鞭を振るう、そして彼が握る槍を掴むと鞭を勢いよく引っ張り、槍を彼の手から引っぺがした!! 


 そしてその槍を手に取ると、そのまま地面に突き刺した。


「どうかしら? これでも続ける?」


 私は髪をかき上げながら笑って言う。その時だ! 突然私の握る鞭が弾けた。


「油断したな」


 私は声のした方を見る、そこには弓を構え、矢を私に向けているルキウスがいた。


「弓なんかどこに持っていたのよ」


 私は呟く、するとルキウスが私を鼻で笑う声が聞こえた。


「魔導師なのに収納魔法も知らんのか? まぁ知らないで当然か、鞭に道具袋をぶら下げ背には片手剣。貴様の動きを殺す装備をしているんだからなぁ」


 煽るような彼の口調に少しイラッとする。


「お前の武器は鞭と片手剣、どうやって俺の攻撃をかわす!?」


 ルキウスはそう言って、矢を放つ、私はツチヒメを逆手に握り、引き抜くと迫る矢を斬りはらった。


「っ! 斬り落とすだと……なら、これでどうだ!!」


 ルキウスは矢をつがえると一本だけ放ってきた。一本だけ? 何が狙いなの? 私は迫る矢を斬り落とそうと前に出た。


 その時! 矢が一瞬光った。魔力がこもった矢!? 私は後ろに下がった、その時だ、一本だけだったはずの矢が五つになり、こちらに迫ってきた。


「くっ!」


 私は下がりながら五つの矢を斬り払った。


「まさかこの技も斬り払うとはな……だがな! この技は防げんだろう!!」


 ルキウスが声を荒げる、すると彼の手が光り輝いた! 魔力を込めている。あれは魔力で作った矢!?


「喰らえ! サウザンド・ホーン!!」


 彼は魔力で作った矢をつがえると、叫びながら放った! サウザンド・ホーン。彼の叫んだ技名の通り、放たれた魔力の矢は一瞬で千本になり、私に迫った。


 私は両足を開き、右足を少し後ろに下げ、重心を低くし構えると、迫る矢をツチヒメで斬り払った!一本、十本、五十本と精密な道具のように私は斬り払っていく。


 っ! 重い。強力な魔力の塊、斬り払う度に右手に衝撃が来る、踏ん張ってなかったらバランス崩していたかも。


「これで……ラスト! 」


 最後の一本を斬り払おうと踏み込みながらツチヒメを振るう、その時だ、勢い余ってすっぽ抜けてしまった。


 勢いよく抜けたツチヒメは宙を舞い私とルキウスの間に突き刺さる。ルキウスは魔力矢を私に向けていた。


「まさか、すっぽ抜けて終わるとはな、どうする? 武器のない状態でまだやる気か?」


 ルキウスは笑っている、勝利を確信したものの顔だ。


「まだ戦う気か? ならもう一度くらえ! サウザンド・ホーン‼」


 ルキウスは矢を放つ! 今だ!私はベルトからぶら下げている道具袋から、ツチヒメよりも小さく、鋭利な棒状の『シュリケン』と言う、刃物を取り出すとそれを矢に向かって魔力を込め放り投げた!


 ルキウスのサウザンド・ホーンが発動、輝く千本の矢が現れる、それと同時に私のシュリケンも千本になった! サウザンド・ナイフと言う所かしら? 


 私の放ったシュリケンはルキウスの矢に命中しそれを切り裂きながらルキウスに突き進んだ! あや? 思ったより威力が強かった? 加減したつもりだったんだけど。


 シュリケンは針のようにルキウスの足元に命中し、砂埃を立てた。今がチャンス! 私は前に出るとツチヒメを拾う。


「どうする? もう終わりにする?」


 砂埃で私の姿が見えなくなって戸惑っているルキウスに急接近、ツチヒメを首元に近づけながら、ルキウスに微笑んだ。


「降参だ」


 ルキウスは弓をその場に捨てると手を上げた。それを見た私も武器を降ろす。


「サウザンド・ホーンをそこに転がっている刃物の欠片みたいな武器で破壊するとは……認めよう、お前は俺よりも強い。ミノタウロスの討伐に同行しよう……いや違うな、同行させてくれ」


 ルキウスは私の方を向くと手を伸ばす、私も手を伸ばし握手をしたのだ。

第七話 『腕試し 私の実力見せてあげる‼!あ、怪我だけはしないでね』を読んでくださりありがとうございます。

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