第七話 『誘いこまれた俺達 そして戦闘へ』
「う……ど、何処やここ……」
意識を取り戻した俺は、ゆっくりと立ち上がりながら周囲を見渡した。
「きょ、教室……?」
綺麗に並べられた机に椅子、目の前には黒板……一目でわかる、ここは学校の教室だった。しかもただの教室じゃない……。
「あれ? ここって俺らの……」
貴明も立ち上がり、周囲を見渡していった。やっぱり、窓から見える外の風景……間違いない、この教室は俺たちが三年生の時に使っていた教室だ。
「みんな大丈夫……ダメージ受けていない?」
リサは立ち上がりながら俺達に尋ねる、俺はリサに大丈夫の意味を込めて軽く笑った。
「あ、でも虚無のエネルギーの影響で皆、元に戻ってるね……」
リサの言葉に俺は自分の体を見る。すると鎧は消え刀もなく、普段着になっていた。それは貴明や卓也も同じだった。
「だがここに来た時の影響でって感じやな……魔力込めたら元に戻る……ん? 卓也どうした?」
俺は手を握ったり閉じたりしながらリサに向かって言う。すると、教室の中を歩きながら考えるしぐさをしている卓也が目に止まり俺は声を掛けた。
「いや、運動場とか中庭なら分かるが、なんで俺らが使いよった教室なんや……そこの理由が分からん……」
卓也の言葉に俺も、口元に手を当て考える。たしかに……気になるな……だが……。
「考えるよりもまずは動きだしましょう、此処が奴らの拠点ならどこから攻撃が飛んでくるか分からない、まずはあの建物を目指しましょうあの辺から奇妙な魔力を感じるわ」
リサは窓の外を、学校内にある礼拝堂を勢いよく指差した!
「礼拝堂か……よし、行くぞ!」
俺達の言葉にうなずいた三人は一気に教室を飛び出した。しかし、出た瞬間俺たちはブレーキをかけてしまった、なぜなら。目の前には異様な光景が広がっていたからだ。
「な、なんじゃこりゃ……」
貴明は周囲を見ながら言う、無理もない、教室は普通の学校のありふれたものだったが外に出たら一変していた。
俺が夢で見たような虚無のエネルギーで包まれた暗雲漂う空、テラスのようになっている廊下は緑や紫、黒といった奇怪な模様のタイルが敷き詰められたものになっていた。
そしてテラスから見える中庭も見たこともない奇妙な植物が生えており、校舎そのものも奇妙な外壁と変わっていた。まるで今いる所は……。
「ゲームのダンジョンみたいやな……」
卓也が俺の思いを代弁するように静かに言った。
「予想以上ね……急ぎましょう。このまま放置していたらどうなるか分からないわ……」
リサの言葉に俺たちは強く頷くと、礼拝堂の方に向かって一気に走り出した、その時だ!
「っ! 不味い! リサ!!」
俺は中庭からゆっくりと飛んできた機関銃をリサに向けたドローンを見つけるとリサの名前を叫びながら飛び、彼女の体を抱えた!
「くっ、オロチ……喰らえっ!」
俺はリサの体を左腕で抱き寄せ、右手に魔力を集める。すると鞘から抜けた状態の刀が俺の右手に現れた。そして俺は体を捻りながらドローンに向かって刀を突き出した!
オロチは刀を振ると追撃するように魔力の斬撃が飛び出す技だ。そして突き技に対しての追加攻撃は、魔力が無数の針のようになる技だ。
そして、リサを狙い撃とうとしていたドローンは俺の斬撃を受け、そのまま爆発、俺はリサを抱えたままなんとか着地した
「ご、ごめん……助かったよ。ター君有難う……」
「あ、あ~。なんや……お、俺も後ろから急に飛びかかって……そ、そのわ、悪かったな……」
ヤバい……なんでか、知らんが一瞬ドキッとしてしまった……。
「イチャイチャしとる場合か! 来るぞター君!!」
突然貴明の声が聞こえ俺はその方を振り返った、するとそこにはリサを攻撃しようとしていたドローンが無数に俺たちを取り囲んでいた。
「カイゼル・ボール!!」
貴明はそう言うと、なんと普通の状態で両手に炎を集め、そのまま無数のドローンに向けて火の玉を投げつけた!
貴明の放った火の玉は二機のドローンに命中、爆発した、するとその周囲にいたドローンも巻き添えに一気に数機破壊した!
「貴明の言う通りだ! 集中しろ、ター君!」
卓也も声を荒げると両手に魔力を集める、そして両腕をドローンの群れに突き出す、すると開いた掌すべての指から稲妻が放たれた。
そしてそれらは意思を持ったように動き出し、正確にドローン一機、一機に命中し、全てを破壊した! だが……。
「お前ら、人を弄る暇があるなら集中しろ! 足元がお留守ですよ!!」
俺は二人に向かって叫ぶと、刀を構え魔力を込める。土の魔力だ。
「喰らえ……地昇斬!!」
俺はそう叫ぶと、土の魔力を込めた刀を地面に突き刺した、土の魔力が廊下を伝わり、斬撃が貴晴と卓也の足首を掴もうとしていた地面から生える腕のような物を切り裂いた!
「うおっ! き、気がつかんかった、すまん助かったター君……」
貴明はそう言うと俺の方を見ながら、歩いてきた。こいつ………。
「まさか、真下から攻撃してくる奴もおるなんてな。いやぁ助かったぞター君」
卓也もニヤつきながら歩いてくる。いい加減にしろよ……。
「お前らなぁっ! さっきからター君、ター君。言いやがっていい加減にしろ!!」
俺は地団駄を踏み、納刀した刀を振り回しながら、卓也と貴明に向かって声を荒げる。二人はそれを見ると、ニヤつき俺の振り回す刀をかわすと、誠意のこもっていない謝罪を繰り返す。ふざけるな!!
「え、もしかしてター君って呼ばれるの嫌だったの……?」
するとだ、リサが俺の右腕を掴み、自身の方に引き寄せながら俺に尋ねた。変な声が口から洩れる。
俺のほうが背が高いため必然的にリサが上目遣いになる、やっべめっちゃ可愛い……。
「い、嫌そんな事は……」
リサの言葉に、俺は視線を泳がせながら答える、なぜだ、顔がまともに見えない。リサの表情はゲームで見慣れているはず。
綺麗なグラフィックでだ……やはり画面を通すのと実際に見るのとでは破壊力が違うのか……。
「じゃあ、なんで俺らがター君って言うのはあかんねん」
「そうだそうだ、差別だぞー」
そんな俺の様子を知ってか知らずか、嫌、絶対知っているが…卓也と貴明がヤジを入れてくる。ええいしつこい。
「男に呼ばれるんは嫌なんよ!!特にお前らに!!」
俺は二人の方を見ると、勢いよく廊下を蹴り飛ばすように踏み、叫んだ。すると卓也が突然リサに向かってなぜかウィンクをし、何かの合図を送った。
「はい、じゃあリサどうぞ」
そして貴明がリサに向かって言う、するとだリサがさらに俺に距離を詰めてきた。ヤバい! 匂いが……いいにおいがする。
そう思ったとき、唐突に彼女が俺の右手を自身の両手で包むように握った。
「ター君」
そして艶っぽく、語尾にハートマークがついていそうな甘い声で俺の名前を呼んだ。
うっ! なんだ……この胸を体を突き刺すような異様な感覚は……ヤバい……頭を掻きむしりながらのたうち回りたい……悶絶してしまいそうだ……。
心の中で悶絶し、のたうち回っていると妙な視線を感じ俺はその方向を見る、するとそこには口角を上げニヤついている卓也と貴明の姿があった。こ、こいつら……
「だぁぁぁぁぁぁっ! お前らの仕業か!! お前らの弄り方には悪意っを感じるわっ!!」
俺は二人に向かって今までにないくらいの、バカでかい声量で勢い良く叫んだ!!その時だ! 突然上空から何かが俺目がけて降ってきた!
「ぬおッ!!」
俺は今までのやり取りで不意を突かれ、その降ってきたものの攻撃を食らってしまい、後ろに大きく吹っ飛び、倒れた。
「す、すまん。弄り過ぎた!!」
「大丈夫か武久」
卓也は俺の傍に来ると、俺を立たそうと手を差し伸べる。こういう所は、ええ奴なんやけど……それは貴明もだが……。
「ター君、大丈夫……けがは……ないね……」
リサもそう言うと立ち上がった俺に向かって優しく言った。
「大丈夫だ、何とかギリギリ刀で受け止めた……で、一体、あれはなんや……」
俺はそう言うと落下し、砂埃を立てる何かを睨む。すると、その何かはゆらりと立ち上がり、砂埃を自身で払い、俺達に姿を現した。
「ほらね、生きているって言ったでしょ?」
リサは目の前に現れた、巨大な影、ゲコゲドンを見ながら言った。
「それにしても、よく貴明さんのあの炎から避けれたわね? まぁ最も結構ダメージはあるみたいだけど……」
リサが呟くように言うと奴は、口角を上げた
「かっかっか。一瞬でテレポートができる魔法があるのでな、それで何とか逃げ切ったのよ」
ゲコゲドンはそう言って笑う、折れた腕は治っているが、皮膚の所々が爛れており貴明の炎の火傷によるダメージは回復しきってはいない様子だ。
「だが、それにしても危なかった、死ぬところだった。まぁ、このマントのお陰で何とか助かったが……」
ゲコゲドンは焼けてボロボロになったマントをはためかせながら言った。なるほど、あれは衣装だけでなく魔法から身を護る防具だったのか……。
「だったらもう一度、ぶん殴ってやる」
貴明はそう言って一歩前に出るとペンライトを抜き、それを起動させ炎の渦を身に包み、戦闘形態へと姿を変えた。卓也も同様にサングラスをかけた。
「よし行くぞ!」
俺はそう叫び、刀を引き抜くと、ゲコゲドンに向かって走り出した!
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