第六話 『目指す敵地へ』
「道が開けた! 行くぞぉ」
貴明が後ろを振り返りながら言う、俺達はそれにうなずき一歩前に出ようとした、その時だ!
「気を付けて! また新しい敵よ」
リサは上空を見ながら叫ぶ、するとそこには先程飛んでいたドローンとは違い、球体で触手のような物が伸びた機械上の何かが複数あり俺たちを取り囲んでいた。
「ドローンバージョンⅡってか、まぁ良い、まとめて倒す……」
卓也はそう言うと剣に魔力を込める、バチバチと音がし刃先がスパークした。
「つっても地面と空、どうやって倒す? 面倒やぞ……」
「相手は私達より弱い……一気に駆け抜けましょう」
リサの提案に俺たちは頷いた、そして俺は卓也と顔を見合わせると、俺は刀に稲妻の力を……デモンの魔力を集めた。その時
「よぉし、道を開くのは俺に任せろぉ! 試したい技がある!」
貴明が意気揚々と俺たちの前に出ながら言った。すると奴の体に魔力が込められると俺たちの返答を待たずに、足を肩幅に開いて体を大きく後ろに反らせ始めた。
「これでもくらぇ! カイゼル・ビーム!!」
そして技を叫びながら奴は上体を起こした! すると、なんと、奴の両目からその名の通りビームのように一直線上に突き進む炎が放たれた! 確かカイゼルも使っていたな……。
さらに貴明が顔面を大きく振ると、それに合わせて炎も動き、二つの炎は宙に浮いていたドローンをすべて焼き払った。
「どうだ!」
貴明はそう言ってガッツポーズを取りながら振り返る、それを見た卓也はツカツカと近寄り、頭を叩いた。
「何がビームや、目から出すな。目から!」
「ええやろ、カッコいいやん!!」
卓也に向かって声を荒げながら、答える貴明、その後も二人はしばらくギャースカ言っていた。しかし、そんな事をしている暇じゃない。
「焦がし饅頭、その辺でええやろ。貴明のお陰で道が空いたんや。今の内に突っ切るぞ!」
俺はそう言うとリサと共に一気に走り出した。
「だれが焦がし饅頭やねん! 新しいニックネーム増やすな!」
「お前のニックネーム、日焼け饅頭やもんな……」
卓也は俺に向かって叫びながら俺の後を追ってくる、すると貴明も卓也を追う様に走り出した。するとその様子を見てリサが急に噴き出した。
「ニックネームまでデモンと一緒なんだね、ちょっとおかしかった。今の焦がし饅頭とかも、なんか懐かしかったな……」
リサは走りながら俺に向かってささやいた、確かにそんな会話を見た気がする……俺はそう思うとリサの言葉にうなずいた。
「それよりリサ、この方向であってるか?」
俺はリサに尋ねる、するとリサは足を止めると目を瞑った。おそらく目的地の魔力を探っているんだろう。すると、目を閉じたままゆっくりと指を左斜め前を指した。
「北西……か……この方角なんやな」
俺の言葉にリサは目を開けるとゆっくり頷いた。すると貴明と卓也も足を止めリサの指差す方向を見た。
「この方向か、よし行くか!」
貴明はそう言って自身の両拳を打ち付けると、一歩前に出た、その時だ。急に視界がぐにゃりと歪む、すると何かに持ち上げられるような感覚が襲い、目の前がパッと白い光に包まれた!
「っ……なんやなにがあった……」
卓也は頭を振ると周囲を見渡しながら言う。どうやらサングラスをしている卓也にもお構いなしの光だったのか……。
「どうやら場所が移動したみたい……どこか分からないけれど……」
「まじか……結構、離されてたら、面倒だぞ……」
リサの言葉に俺は周囲を見渡しながら言う。俺たちの背後にドラッグ・ストアがあり、そこの駐車場であることが分かった。
「あれ。思ったより移動してないな。むしろ移動する手間を省いてくれたぞ」
貴明はそう言って、軽く笑った。その時だ、ドラッグ・ストアやこの敷地内にある、何かわからないがほかの店舗から、魔物化した人々が現れた。
「ちっ、ぞろぞろと……」
周囲を見ながら卓也は呟いた。
「だがあまり強くないな……体力を削るのが目的……か」
微量ながら魔物たちから放たれる魔力を感じ取りながら俺は呟くと刀を抜いた。
「一気にぶっ飛ばすしかないだろ、いくぞ!」
貴明の言葉に俺たちは頷くと動き出そうと構えるがそれよりも素早く魔物たちが飛びかかってきた!
「っ! 三人とも聞いて、ここにいるこいつらの中にいる親玉を倒さないと、次から次に湧いてくるわ!」
リサはそう言って、目の間にいた左半身がスライムになったサラリーマン風の男を土姫で切り飛ばした!
「そいつは自分が倒されたらここにいる魔物たちが消滅するのを知っているから逃げたり隠れたりして積極的に戦わないからすぐわかるわ!!」
リサはそう言うと右腕が機関銃になった金髪のヤンキー風の男の腹に土姫を突き刺すと両腕に魔力を集めた。
「喰らいなさい! アース・クエイク!」
リサは叫ぶと、両腕を左右に開き、地面を叩きつけた! すると石を湖に放り込んだ時に波紋が広がるかの如く、魔力も地面に広がっていき地震が発生、魔物たちの動きを止めた!
「今だ……行くぞぉ! 卓也! 武久!」
貴明が俺達に向かっていう、俺は強くうなずき、卓也は何故か納得いかないような表情でうなずくと武器を構えた!
「カイゼル・パンチ! 連打!」
「サンダーブレード!!」
「無双乱舞!!」
そして、俺達は一気に走り抜けながら、それぞれの技を繰り出した。
貴明は炎のまとった拳で、魔物たちを次々と殴り倒し、卓也は稲妻の迸る剣を振り回しながら、魔物たちを斬りつけた。
俺も、土、水、稲妻、風、炎の順番に魔力を込めながら連続斬りの無双を放ち、魔物たちを次々と斬りつけていった。
すると、次々と倒れていく魔物達を見ながら、一つの影が俺達を背にして逃げるように走っている、小さな影を見つけた。
「あれが親玉か!?」
「任せて! あいつは私が!」
俺の声にリサは土姫を構え返事をすると、跳び上がった! そして
「やあぁぁっ!」
声を上げながら、右腕を振り、小さな影を切りつけ、首をきれいに跳ね飛ばした!
すると、その影の体が粒子のように小さくなると消えていき、その場にはぬいぐるみが転がっていた。
「は⁉こ…これは!!に……人形!!どういうことだ!?」
貴明はぬいぐるみを手に取ると、驚いたような唖然とした表情で言った……こいつは……いちいちネタを……。
「やかましいわ!」
そう思っていると卓也が貴明の頭を小突いた。
「いったぁ、なにすんねん! そのままの事を言うただけやろ!」
「言い方が問題なんよ! ちった―緊張しろや!」
卓也に小突かれた頭をなでながら抗議するように怒鳴る貴明、それに対して同じように反論する卓也しかしどちらも本気では怒っておらずどこか嬉しそうだった。
「なんか仲いいわね……」
「ああ、ありゃ貴明のおふざけに卓也が乗っただけやからな、高校からのノリよ……」
リサの言葉に返事をしながら軽く笑うと飽きんな……と軽くつぶやいた。ま、高校から続くこいつらのノリを呆れることもなく見てる俺も俺だが。そんな事を思っていると、またもや視界がぐらついた。
「うそだろ!」
俺は周囲を見渡しながら言う、すると先ほどと同じように目の前が光、俺達はまた移動させられていた。
「っ……ここどこ……?」
リサは周囲を見渡しながらつぶやいた。俺たちもそれにつ荒れて周囲を見渡す。そこは俺達が見知った場所だった
「ここって高校の近くやん」
卓也も周囲を見渡しながら答える。俺はその言葉にうなずきながら後ろを振り返る、俺達の背後には川が流れ、そのそばに橋がありその橋の向こう側に俺らの母校がある。
「っ! どうやらアロタロスのいる場所の目の前まで連れてこられたみたい……狙いが分からないけどね……」
リサは静かに呟くと目の前を指さした。そう俺たちの母校を……。
「は? あそこが……アジトなのか……?」
卓也は目を丸くして言う、もちろん俺も貴明もだ。
「? ええ、そうだけど皆、あそこを知っているの?」
「ああ、俺達の卒業した学校だ……」
俺はリサの質問に、眉間にしわを寄せ、顔中に汗をかきながら言う。おいおいどういうことだよ、なんで俺たちの母校に……。
「とにかく、あそこに敵がおるんやろ? それならさっさと突入して叩き潰したほうがええやろ……それに……」
貴明は学校を睨みながら言うと拳を強く握りしめた。そしてこちらを振り返ると
「団体客のお越しやで……」
と、言いながら指差した。すると、四方の道路や、道路とも思えない小道、そして空や川からも魔物たちがわんさかよし寄せていた。
「っ、このタイミングでこの数かよ!!」
卓也は剣を構えながら叫ぶ、俺とリサも武器を構えた。
「この魔物の数、私達を潰す気よ……皆! 一気にアロタロスの所に走ろう!」
「ああ、リサの言う通りだ。魔物なんか無視して校門ぶっ壊してでもいいから学校に侵入するぞ!」
俺はリサの言葉に頷くと学校目がけて走り出した、貴明と拓真も俺の言葉にうなずくと一気に走り出す。その時、魔物たちが俺達に向かって一斉に飛びかかってきた!
しかし、俺達はそれにかまう事なく進行を妨害する魔物のみ、攻撃し蹴散らしながら学校に向かって走る。そして、学校へと続く橋に足を踏み入れたその時!
「ぐっ!」
「う、動けない……」
急に俺たちの体を禍々しい魔力の塊が……この感覚、虚無のエネルギーだ。俺たちは虚無のエネルギーを体に受け動きを止められてしまった。
「罠だったの……」
リサも動けないのか肩で息をし始めた……まずい……意識が……と……ぶ……。俺は身動きが取れないまま、意識を喪失した………。
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