第二話 『再会と日常の崩壊』
怪物のように右腕が変化したナースは俺を睨み付けると、俺に向かって飛びかかってきた!?
「まじかよ!」
俺は叫ぶと、逃げようとする。しかし、足が思うように動かず、俺はそのまま後ろ向きに尻餅をつくように倒れてしまった!
「まずい!」
視線を上げるとそこにはナースが迫ってきており、彼女は右腕を振り下ろそうと構えていた!
卓也と貴明の俺を呼ぶ声が聞こえる中、俺は思わず、腕を自分の体の前に突き出し、防御の姿勢を取ると同時に目を閉じた! その時! 甲高い金属音が、何かを弾くような音が響いた!
痛みがすぐ来ると思っていた俺は、状況がつかめずゆっくりと目を開ける、するとそこには、ナースの右腕を手に握る刃物で防いでいる、金髪の女性が……俺が何度もその目に焼き付けた、ゲームのキャラが、リサが立っていた。
「させない! この世界の人達には手出しは! 絶対に!」
彼女はそう言うと、右腕を勢いよく振り、ナースの右腕を弾くように切り裂いた!
「どーいうことなの?」
俺はつぶやくように言いながら立ち上がる、すると、俺の名前を叫びながら、貴明と卓也が走ってきた。
「あれって、オークエのリサ……だよな?」
貴明は俺の肩に手を置きながら、ナースと交戦しているリサと思われる女性を見ながらつぶやく。俺は貴明の言葉にゆっくりと頷いた。
「わけわからん、なんでゲームのキャラが、ゲームのモンスターみたいなのと戦ってんねん!」
卓也は声を荒げる、俺もわけがわからん。頭が回らない。
「はは、俺……夢でも見てんのかな……」
俺がつぶやいたその時!
「いでででで!」
「安心しろ」
「現実や」
貴明が左側。卓也が右側から俺の頬をつねってきた!
「痛いわっ! なにするんで!」
俺は二人の腕を払いのけると、軽く睨んだ。その時だ!
「そこの三人! 動けるなら早くここから離れて!」
リサと思われる女性がナースの攻撃を躱すと、こちらを向いて叫んだ!
「武久、とりあえず今は離れるぞ、状況がつかめんが、一つ分かることがある」
「ここにいたら、俺らも危ないってことや」
貴明と卓也の言葉に俺は頷くと、走り出した、二人の後を追うように俺も走り出した。すると、何かが激しくぶつかった音が響き、俺は後ろを振り返った。
そこにはリサが殴られたのか吹っ飛んでおり、置いてある椅子の塊の中に倒れていた。そして、止めを刺そうと、ナースが近寄り右腕を大きく振り上げていた!
「やめろぉぉぉっ!」
俺は声を荒げると、一気に走り出した! そして、ナースの顔面を勢いよく殴り飛ばした!
「リサ! 大丈夫か!?」
俺はリサとナースの間に立つと、リサの方を振り向いて、彼女に声をかけた。
「え! こ、この魔力……ター君!?」
リサは起き上がると、目を見開いて俺を見る。
「どうしてここに……もしかして、ここがター君が本来いた世界……?」
リサはそう呟くと、ゆっくりと立ち上がり俺に向かって歩こうとした。だが、突然、リサの膝が折れ、床にそのまま、座り込んだ。
「リサ!」
俺はリサに近寄ろうとしたその時!
「武久! 後ろだぁっ!」
貴明と卓也の声が同時に響き、俺は背後を振り返る。すると、俺に殴り飛ばされ、ドアに背中をぶつけ、倒れていたナースがゆっくりと立ち上がり、飛びかかろうとしていた。
「ちい」
正直格闘技なんかしたことはねーがやるしかない! 俺はナースを睨むと拳を握りしめた。その時!
「え!?」
コォォォーっという、隙間風のような奇妙な音がなり、俺はその方を見る。それはリサがぶら下げている道具袋から音が鳴り、同時に光の柱が伸びていた。
「! もしかして……」
リサは道具袋を開くと中から、光を放つ一枚の巻物を取り出した。
「ター君! これを!」
リサは叫ぶと。巻物を俺に放り投げた、すると、巻物は光を放ちながら、燃え上がる、すると一本の刀が現れた!
「収納魔法……そうか! この刀は!」
俺は刀を左手でつかむと、リサの方を見た。
「これは俺が消える時に君に渡した刀か! よしこれなら行ける!」
俺は迫ってくるナースを睨むと刀を左側に構える。そして、奴が俺に向かって右腕を振り下ろそうとした瞬間、刀を引き抜いた!
俺の斬撃はナースに命中すると。体を真っ二つに切り裂く、するとキィィーッと言う、ガラスを爪で引きずるような音が響くと、ナースの体が砂のように崩れた!
すると、その中から人間のオレに処置をしてくれたナースが俯せに倒れていた。
「どーいうことなの……」
俺は刀を鞘に納めながら呟くように言った。その時、リサがヨロヨロと歩きながら、ナースに近寄った。
「うん、大丈夫ね……」
リサは静かに呟くとゆっくりと立ち上がり、俺の方を振り返った。
「リサ……なのか……」
俺はゆっくりとリサの方に向かって歩き出した。
「さっきの技、やっぱり貴方、ター君なのね……会いたかった……」
リサはそう言うと俺の胸元に額を押し付けた。夢だと思っていた……まさかこんなことに……。
「俺も会いたかった、あの出来事を夢だと思っていたから……君に会えて、嬉しい……」
俺は内心ニヤつきながら、リサに向かって言う、そして彼女を抱きしめようとした。その時!
「ぎぁぁぁっ!」
「でたぁぁっ!」
突然、貴明と卓也の悲鳴が響いた。俺は、動きを止め、リサと一緒に声の方を睨む。そして、俺達は頷くと悲鳴の方に走り出した。
「なーんかあったんけ!」
俺は二人に向かって呼びかける、二人は床に尻餅をついて、顔だけ俺の方を向きながら体の方を指さしていた。
「下がって!」
リサはそう言うと、二人の前に立つ、もちろん俺もだ。すると、目の前には体が半透明になった、見知った顔がいた。
「デモン! カイゼル!」
リサは二人の男たちの名前を呼ぶ、そう俺の目の前には元四天王であるデモン・タイロンとカイゼル・ジンがいた。
「二人とも大丈夫だったの!?」
リサの問に二人は頷く、リサの声色からしてかなり心配している様子だ。何があったんや……?
「大丈夫……とは言いかねるな」
「実態を維持するのが今の状態じゃ難しい、戦闘どころの騒ぎじゃない……」
「そんな、奴らは虚無のエネルギーの力で強くなってるのに……今のわたしだけじゃ勝てない……」
リサは唇をかみしめて言う、おいおい、まじかよ、今戦ってる奴はどれだけ強いんだ……。
「それに、彼奴等はこっちの世界の人と魂の同調を行っているから実態も保てているし……」
「なんだと! 魂の同調!」
デモンの今までにない声が聞こえる、魂の同調。なんのことや?
「すまん、話が見えん。どういうことや?」
俺は会話を続けている、三人に向かって声をかけた。
「この世界の住人……いや、この気、まさか、ター君か!?」
カイゼルは最初、訝しげにオレを見るが、何かに気が付いたのか目を見開いて声を上げた。
「ここは君の世界だったのか……なるほど、だから奴らはこの世界にやってこれたのか……」
デモンは辺りを見渡して言う。ますます、話が見えなくなったぞぉ。
「あ。えっとね、うーんどこから話したらいいのかな……」
俺がポカンとした表情をしていたのかは分からないが、何かに気が付いたリサは俺の方を向いた。
そして、言葉を発しようとしたが、出てこないのか頭をくるくると書き始めた。やっべ、かわいい……。
「じゃあ、俺から質問、魂の同調ってなんや?」
「魂の同調っていうのは……えっとなんて言えば良いのかな。魂の波長があった人間と合体すること? かな。」
「あぁ、うん? 分かったような……わからないような……」
俺はそう言うと、腕を組み唸る……なんとなくは分かるんだが……そう思っていると、突然。カイゼルとデモンが床に膝をついた。
「ま、まずい……もう限界か……」
カイゼルの悔しそうな、声が聞こえると。体が更に透明になっていった。
「会話中すまん、その人どうしたんや?」
突然、背後から卓也が声を掛けてきた。
「体調悪いなら、寝かせたほうがええやろ、先生呼んでこようか?」
続いて貴明もそういう。すると、デモンとカイゼルがお互いに顔を見合わせた。
「デモン……もしかしたら……」
「ああ、行けるかも知れん、やるぞ!」
「おう!」
二人はそう言うと、立ち上がる。そして
「説明するよりも、こうしたほうが早い!」
「魂の同調とはこういうことを言うんだ!」
二人がそう言うと、カイゼルの体が赤。デモンの体が青になる。そして
「そこの二人、動くなよ!」
デモンは卓也と貴明に向かっていう。すると、カイゼルと共に体が光の球体になり、卓也と貴明に向かって迫った!
「ちょっ!」
「待って!」
卓也と貴明の停止の声を呼びかけるが、それは虚しく。球体となったカイゼルとデモンがぶつかると、なんと二人と合体した!?
「二人共、大丈夫か!?」
俺は卓也と貴明に近寄ると、2人の肩に触れる。どうやら、心配はないらしいが……。
「あぁ、大丈夫や。武久」
「状況は大体分かった……」
二人は俺に向かって、つぶやくように言う。納得したようなセリフとは裏腹に、二人は眉間にシワを寄せていた。
「な、なんや? その表情は……」
「いや、説明なしに突然変なことされて、無理やり記憶押し付けられるみたいになったから困ってるんや」
卓也はそう言うと、軽く息を吐いた。
「えっと、突然すみません、あなた達を巻き込んで……詳しい状況はわかりますか?」
リサは卓也と貴明の前に来ながら、ゆっくりと言う。卓也と貴明はゆっくり頷いた。
「え? 分かるの? なんで?」
俺は声を裏返しながら二人に尋ねた。
「魂の同調ってやつか? それをしたときに記憶が流れてきたんだ、だからなんとなくは状況がつかめているぞ」
貴明はそう言うと、軽く笑った。その時だ、突然、入り口の自動ドアや、各病室が勢いよく開いた!
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