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第四十三話 『双魚遺跡での戦い 倒せ三人の門番を』

「ター君……行くよ!」


 ター君は私の言葉に強く頷くと、カタナに魔力を込める。黄色と青い閃光が迸る。デモンの技だ。


「シンニュウシャハ……タチサレェェェェェ!」


 石像は声を荒げると私に向かって飛びかかってきて、魚のヒレのついた右腕を一気に振り下ろしてきた!


「ロック・エッジ!」


 私はムチを強く握りしめると縦にまっすぐ振り下ろし、石像の右腕を煙を上げながら切り裂いた! 


 そして、私の背後からター君が飛び出すとカタナを右上から左下に向かって一気に振り下ろした! 


 ター君の斬撃は石像の胸を切り裂く。石像は声を上げながら後ろに下がった。しかし、それらはすぐに再生した。


 面倒ね……再生を繰り返すゴーレム……どこかに核があるはず。それを破壊するしかない。


「行くよ、ター君! 核をぶっ壊して虚無のエネルギーの結晶を破壊するよ!」


 私の言葉にター君は強く頷く、そして彼はデモンの魔力をカタナに込めた。そして私たちは一斉に走り出した! 


 石像は口から無数の水の弾を吐き出す! 私はムチを振りそれらをすべて破壊すると、魔力感知で核を探そうとする。


 しかし、虚無のエネルギーに邪魔をされてよく見えなかった……こうなったら……。


「ター君! この石像をバラバラにして!」


 私は彼に叫ぶ、ター君は強く頷いた。場所が分からないなら粉々にして露出させるしかない! 


 そして私とター君は石像に接近すると私はムチをター君はサンダーブレードと無双を混ぜ合わせた技を放ち石像の体を粉々に砕いて行った!


 粉々に砕けた石像はゆっくりと地面に倒れながら再生を始める。二つの光が見えた。禍々しい光を放っている方。これが虚無のエネルギーだ! 


 私はムチを消すと、右手に魔力を集中させ、禍々しい緑色の光を放っているエネルギーを掴んだ! そしてそのまま握りつぶした!


「っし!」


 そして私は腕を引っ込めながら、手を広げる。砕けた虚無の欠片の結晶がさらさらと宙を舞う。


 そして石像の核を破壊しようとすると、石像は再生を止めていた。むしろ核だけが宙に浮いていたのだ。


「どういうこと?」


 私はその核に近寄った、するとものすごい光を放ちター君の握るカタナの刃に向かって飛んでいくとそれらは一体になった。


「なんで!?」


 私は声を上げ、ター君のカタナに触れる。いやな感覚はなく、むしろ清々しい綺麗な魔力が流れていた。


 すると、周囲が光り、何かの映像が見えた。それは、カイゼルを暴走させた魔導師と石像の戦闘が流れ、その後、虚無のエネルギーを埋められる石像の映像が流れると、光が消えた。


 そして、その瞬間、『アリガトウ……』と言う声が聞こえた。


「なんだったの……今の……」


 私は静かに呟く……もしかしてこのゴーレムはこの遺跡を守るための物だったのかもしれない。


 だから虚無のエネルギーの結晶を壊したことでター君に力をくれたのかな……っとそんな推察はいい。


 マーシャ達の方に行かないと。私とター君はお互いにうなずくと通路を走り先に進んだ。


 そして次のフロアに向かうと、そこには床に倒れている兵士と膝をついているアルフェがおり、正面には頭の先から足の先まで鎧で武装した大男と戦闘をしているソニアともう一人、女性の姿があった。


 そして、その女性を庇い、ソニアは身体を吹き飛ばされた。


「ソニア! くっそ! 貴様ぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 紫色の髪に、蠍の爪の様なものを両肩にあしらった金色の鎧を着た女性は叫ぶと片手剣を構えた。


 彼女がカルデ、ソニアの姉か……そして、カルデ達は勢いよく鎧の男に向かって走り出す。


 鎧の男はそれが鬱陶しいのか虫を払いのけるように腕や大剣をふる。


 カルデはそれを躱した。そして腕を大きく振り上げて隙ができた鎧の男に接近、片刃の剣を構え突きの姿勢になる、素早く剣を突きさし十四回切り裂いた! 


 素早い連撃が、鎧の男に命中し、後ろに下がる。そして


「これで……止めだぁっ!」


 彼女が叫ぶと、剣の刃先が赤くなり魔力が溜る。そして一気に突き出した! しかし、彼女の剣先が命中しそうになった瞬間、鎧の男は腕を振りまわした! 


 物凄い突風が吹き荒れ、カルデと兵士は吹き飛ばされた! そして床に勢いよくたたきつけられた。


「カルデ!」


「姉さん!」


 アルフェとソニアの声が響く。兵士たちは気を失ったがカルデは剣を握りしめゆっくりと立ち上がろうとするが、地面に膝をついた。


 そして鎧の男はゆっくりと彼女に近寄り手に持った大剣を振り上げた。まずい! 


「シールド!」


 私は一気に走り出すと、両手に魔力を込める。そして、鎧の男とカルデの間に立つと障壁魔法を唱え、彼の一撃を防いだ。


 それと同時に彼の一撃に魔力が込められていたのか魔力が跳ね返り、鎧の男は後ろに吹き飛んだ。


 すると、私の背後からター君が飛び出す、そして彼がカタナを抜くと、刃先が燃え上がった。


 そしてター君はそのままカタナを抜く動きのままカタナを振り、鎧の男を切り裂いた! 鎧の男の断末魔が聞こえ彼は炎に包まれた。


 また一撃ですか……すごいわね……っとそれよりも、私は振り返るとソニアとカルデにヒールを掛けた。


「よし後は残りのメンバーね」


 私はそう言って歩き出そうとしたがカルデが私の動きを止めた。


「ここは私とアルフェに任せてください、ディーテたちがこの先のフロアで戦闘しています、急ぎソニアと向かってください」


 私はソニアと顔を見合わせる。そしてカルデの提案に強く頷くと、そのまま通路を走り次のフロアに向かった。


 次に進むとシオン達が戦闘をしていた。兵士たちは床に倒れてはいるが意識があったり、お互いがお互いを支え合い距離を取るなどし、無事なものも多かった。


 シオン、ルキウス、マーシャ、ディーテ、アグニさんの五人が先ほど倒した鎧の男と同じような形の鎧を着た女性と善戦していた。


「行くぞ! シオン!」


「ハイ! 父さん!」


 アグニさんがシオンに呼びかける、アグニさんはシオンの両手に握られた片手剣の刃に炎を灯す、そしてシオンはその上から風の魔力を纏わせると炎が増大、鎧の女に向かってその剣を振り下ろした。


 鎧の女の身体に命中すると、勢いよく切り裂く、そしてシオンはそのまま二本の片手剣を巧みに操り、鎧の女を切り進めていった


「っ! 面倒だねぇ!」


 鎧の女はそう言うと距離を取る、しかしだそれをさせまいとルキウスがサウザンド・ショットを彼女の足元に撃ち行く手を遮った。


 そしてマーシャとディーテが互いの武器を構え一気に接近、マーシャは大剣を振り下ろし、ディーテは先端の細いレイピアを突き出した!  


 魔力の込められたそれは鎧の女の体に命中、彼女をのけぞらせた。そして次の瞬間、シオンが一気にかけ片手剣を構えると鎧の女に向かって二本の剣を×字を描くように真下から救い上げるようにして振るった!


 シオンの斬撃を受けた彼女の鎧は砕け散り、彼女の体から鮮血。後ろに倒れた。


 す、すごい、彼女も鎧の男と同じくらいの強さをしていたそれを五人がかりとはいえ攻撃の隙を与えずに倒したのだ……というよりもシオンとアグニさんが特別強いんだ。


 そう思い五人に近づこうとしたその時! 鎧の女がゆっくりと起き上がった。


「雑魚にここまでやられるとは思わなかった……もういい、魔王様には怒られるかもしれないけどあんたたちをまとめて殺す!」


 鎧の女がそう言うと彼女の胸に炎が集まっていった。


「なめていたようだね、私は自分が受けたダメージを吸収してそれを攻撃魔法に変換できる……いい炎だよ……これであんたらを焼き尽くしてやる!」


 彼女がそう叫ぶと炎が一気に彼女の体を包み込んだ、まずいあれを放出する気だ。私は魔導書を取り出すと一気に走った。


 カナンさんが何者かは知らない、でも私の魔導書には第三リミッターを解放しないと撃てない魔法が記されていた。これを使うしかない。


「みんな下がって、そいつの魔法は危険!」


 私は五人に向かって叫ぶと右手に魔力を込めた。皆が振り返りながら私の名前を呼ぶ。それはいいから下がって、今から撃つ魔法はちょっと危険よ……。


「グラビティ・クエイク!」


 私は足を止めると、右手を鎧の女に向かって振り下ろすように突き出した! すると巨大な音が響くと同時に彼女が何かにたたきつけられたようにその場に伏せた。重力を操る魔法だ!


「ぐ……こんなもので私の炎は……」


「今よ、ター君!」


 私はター君に向かって叫ぶ、ター君はカタナを構えると鎧の女に接近、私は魔法を解く。


 そしてター君はカタナを左下から右上に向かってカタナを振るった、カタナの刃からは水があふれ出る。あれって入り口にいた石像の魔力だよね……そんな事もできるの?


 そう思っていると、彼の斬撃は鎧の女の体を切り裂いた! すると彼女の胸元にあった虚無のエネルギーの結晶が砕け散る。


 すると彼女の炎が一気に彼女自身を襲い彼女は火だるまになった。虚無のエネルギーでコントロールしていたようだ。そして彼女はそのまま灰になり倒れた。


第四十三話 『双魚遺跡での戦い 倒せ三人の門番を』を読んでくださりありがとうございます。

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