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【世界の英雄 賢者リサと青年ター君の冒険記】  作者: 罰t星人
第一部 ゴブリンの少年と一緒にセウンクロスの極悪借金魔王をひきつけを起こすまでフルボッコにしに行きます
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第二十一話 『戦いの終わり 私、身分を明かす』

「さぁ、此処が我々の拠点だ」


 アグニさんは笑いながら、目の前のドアを開けた。中に入るとそこは騎士団の本部と言うには簡素な作りになっていた。


 私達はあの後、アグニさんの案内で村の中央にある巨大な塔のような屋敷にやって来ていた


 中は外観通り円形状になっており、部屋の奥には上階へ続く階段があった。


「座ってくれ」


 アグニさんはそう言うと部屋の中央に置かれた机の傍にある椅子に座る。私たちも向かい側に用意された椅子に腰かけた。


「父からはリサと名乗る魔導師がミノタウロスを倒した……と言う所しか報告を受けていない、君が倒したのが先日だ。そのタイミングで四天王討伐に動き出すというのはいささか行動が早いように感じるが、どういう計画なんだ?」


 アグニさんは私たちに尋ねてくる。


「どういう動きも何も、私たちは磨羯騎士団が壊滅したと一人の兵士から連絡をもらったから私が情報を集めるためにここに来たんです。そうじゃないとシオンが暴走して危なかったから……」


 私の言葉を受けたアグニさんは額に手を当てて唸り声をあげる。何かまずい事でも言ったかしら。


「……なるほど、それならこちらのミスだな……不用意に父やシオン、ブルーノに迷惑をかけてしまった……」


 アグニさんはそう言うと、軽く息を吐いた。


「詳しく説明させてもらおう」


 アグニさんはぎこちない笑顔を私に向けると溜息を吐いた。


「まず、磨羯騎士団は壊滅していない。先兵隊が功を焦ったのかどうかは分からないが、暴走して四天王が根城にしている、此処から東に行った地点にある建物を攻撃してしまったんだ。その時その建物内にある魔法トラップが作動してしまい、先兵隊が撤退をせざる負えない状況になったんだ、もちろん、その先兵隊も壊滅なんかしていない、魔法トラップの影響で脳震盪や気分不良、一時的な視界不良等の状態異常は食らってしまったがな」


「え! でも、壊滅したって傷ついた兵士が金牛の町にやってきて報告したって聞きましたけど」


 私の言葉にアグニさんはまたもや、深いため息を吐く。


「やっぱりか……まず、その兵士は先兵隊の隊長だ。彼は四天王を……と言うより。魔王を非常に恨んでいるんだ。だから、仲間がやられた。軽傷でも許せん、徹底的に倒すと思って金牛の町に一人かってに向かったんだろうな」


 アグニさんはそう言って息を吐くとさらに言葉をつづけた


「、その道中、トラップの影響で受けた状態異常を回復しなかった為、四天王の影響で活性化している森の魔物に傷つけられたと言う事だろう。それに軽率行動のせいで四闘士配下含む魔物軍団に村が襲撃されてな。連絡が遅れてしまったんだ」


 アグニさんの言葉一つ一つから、苛立ちや呆れといった感情が漏れて伝わる。そりゃあ皆でどうにかしましょう、そのために情報を集めましょうねって言っている中、一人だけが興奮して突っ走って情報を間違えて伝えたんじゃ足並みそろわないわよね……。


「我々の今の状況を伝えたが、これから君はどうする? いや……本音を言うと、四天王を討伐してきて欲しい……手前勝手ではあるが……」


「……私はもともと四天王を倒すためにこの村に来ました。だから、その依頼お受けします」


 私はゆっくりと立ち上がると笑顔でアグニさんに言った。意地悪を言って、彼の反応を見ても良かったんだけど、そんなことをしている暇はないもの。


 ダビーが残りの四闘士とか言うのを引き連れてこの村を襲う可能性もあるからね。それまでにこちらから動き出したい。


「本当にいいのか? 我々の尻拭いを君にさせようとしているのに……君はあくまでも冒険者への依頼という触りのない契約で四天王を倒してくれるというのか?」


 アグニさんは、立ち上がると私に近寄り、声を震わせる。そんなに驚くことかな?


「ええ、私はそのために旅をしているの、平和を守るためにね」


 私が笑顔で、アグニさんに言う、その時だ! この場に強い魔力の突風が吹き荒れた! 敵!?私は思わずツチヒメを握る。


「よくぞ言いました、賢者リサよ」


 ん? この声……もしかして……聞き馴染みのある声に、私は臨戦態勢を解く、光が晴れるとそこには青いきれいな長い髪を持ち、薄い布を体に巻き、水色の肌を持った女性が立っていた。


「久しぶりですね、リサ様」


 彼女は……六大精霊の一人である、ウンディーネは私に微笑みかけた。何でここにいるのよ、あんたが……。


「リサ。彼女を知っているのか? 魔力から見て精霊だとは思うが……」


 アグニさんは剣を収めると私に尋ねてくる。


「はじめまして、アグニ・ストール。私は六賢者の統治する水の賢者の使者にて、六大精霊のウンディーネと言います」


 ウンディーネはアグニさんに優しく微笑むと軽くお辞儀をした。


「ろ、六大精霊のウンディーネだとぉっ!?」


 アグニさんは声を震わせると、跪き、頭を下げた。


「リ、リサ! き、君はこんな凄い精霊と知り合いなのか? というより、どうして頭を下げん!?ろ、六大精霊と言えばこの世界で魔法の源となる精霊だぞ! 我々とは根本が違う!」



 アグニさんの声が震えている。まぁ、だってねぇ……私より立場下だしこの子……アグニさんの言う通り、魔法を使うには彼女ら六大精霊と契約をして力を借りる必要がある。


 しかし、私達六賢者は、その六大精霊よりも強い、超位精霊の力を借りている。


「良いのですよ、この者はいえ、この方は六賢者の一人で、土の賢者なのですから」


「えっ!?言っちゃうの!?」


 突然のことで私は驚く、声が裏返ったじゃない!


「な……に……彼女が六賢者だと……本当なのか!?」


 アグニさんの言葉に狼狽える私、しかし、ウンディーネが笑顔で頷いた。


「彼女が身分を隠している事を驚いているでしょう、無理もありません。ですが、理由があるのです、六賢者の力は強大です、それを他種族に利用されないためです。過去には六賢者の力が戦争に使われたこともあったのです、それを防ぐ為に基本的には身分を隠しているのです。六賢者が身分を証す時、それは人類の力では対抗できない敵が現れた時なのです」


 ウンディーネはアグニさんの表情を見て、想定される質問の答えを先に言う。ベラベラとよく喋るわね、この子。 ん? でも待って、この子が来ているということ言う事は……。


「今回のケースやばいの? だってそうじゃないとあなたがわざわざ来て、私の身分明かさないものね」


 私の言葉にウンディーネは頷いた。


「リサ・ビアンカ・ノエル。ポセイドン様より指令です。セインクロスの人々と協力し、魔王、アロタロスの討伐に尽力せよ!」


「分かったわよ、ポセイドンに伝えておいて、了解しましたって」


 私は笑顔で言った。


「ウンディーネ様、リサ様、我々はどのように動けばよろしいでしょうか?」


 私達の会話を聞いていたアグニさんは頭を上げながら、私達に尋ねてきた。


 リサ様って……めっちゃ、むず痒いわね……。ウンディーネを横目で見ると、彼女は私に軽く頭を下げる。あー、はいはい、私に指示を出せってことね。


「アグニ・ストール。あなたは、コレより残りの騎士団と合流し、魔王討伐に向けて動き出しなさい、雷帝含める四天王は私が引き受けます」


 私の言葉を受けたアグニさんは、深く頭を下げた。


「では、私達は雷帝の討伐に動き出します、確か東の方向…でしたよね?」


 私の言葉にアグニさんは強く頷くと、立ち上がった。


「はい、間違いありません。ここから東に向かった地点に大きな建造物があります。その周辺には鋼鉄で出来た複数の謎の塔がありますのですぐに分かると思います」


 アグニさんは。敬語で私に説明してくれる。めちゃくちゃ違和感があるんですけど!


「分かりました、情報提供感謝します。では今から私達は向かいます」


 私はそう言って、後ろを振り返ろうとした、しかし、アグニさんが呼び止める。


「リサ様、貴方は先程の戦闘でムチを破損したはず。ほんの少しお待ち下さい」


 アグニさんはそう言って、階段を駆け上がった。


「……外で待ってようか……」


 私はその光景を見ながら。呟いた。ちなみに、ター君はこの間腕を組んで眠っていた……。


第二十一話 『戦いの終わり 私、身分を明かす』を読んでくださりありがとうございます。

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