第四十五話 『リサ&ター君大勝利!!すべてを終わらす二人の閃光』
「馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
声を上げながら、六つの斬撃に切られ奈落へと落ちていく虚無のエネルギー。しばらくすると奴はまばゆい光を上げながら爆発した!!
「うおっと!」
その爆風は上空にいた俺達の態勢を崩させるほどの勢いのあるものだったが、大したことはない、これで終わったのだから。
「ふぅ……」
俺は深く息を吐くとムラマサを納刀すると、振り返った。
「これで……終わり……よな?」
貴明は周囲を見渡しながら言う。その言葉に俺と卓也はゆっくりと頷いた。その時だ!
「うおぉっ!」
「な、なんや、これ!?」
急に空間全体が揺れ始めた。
「虚無のエネルギーを倒したことで、この空間が消えようとしているのか……それとも」
「まだくたばっていないかのどちらかだよなぁ!!」
カイゼルと貴明は、周囲を見渡しながら言う。すると、リサが虚無のエネルギーが沈んでいった方を睨んだ。いやな予感が的中か!!
「みんな構えて、まだ終わってないみたいよ!!」
リサは叫びながら左手に魔導書、右手に鞭を召喚して構えた、俺もムラマサを引き抜き、卓也も両手に剣を握る、するとだ、真下から禍々しい虚無のエネルギーの輝きを放ちながらゆっくりと骨だけになった虚無のエネルギーが上がってきた。
「しぶとい、あんな状態になってもまだ生きるなんて……」
「リサ、ター君……カイゼル・ジン、デモン・タイロン……俺を裏切った愚か者ども……死ね死ね死ね死ね死ね……死ねぇぇぇぇぇっ!!」
「まずい!!」
リサが叫び俺達も防御を取るがそれよりも素早く、虚無のエネルギーの体が勢いよく発光! 虚無のエネルギーが放つ緑の光と共に、六属性の光が俺達を襲った!!
「うあっ!」
「キャアッ!」
「ゴアっ」
「づっあ」
体中に走る激痛、まともにその一撃を受け俺達は、空間に浮かぶ柱やタイル、岩石などに背中を大きく殴打した!
「く……どうやら……くたばり損ないは、魔王の方だったようね……」
リサはゆっくりと立ち上がりながらつぶやく、俺は頷きながらゆっくり立ち上がる。
「執念……いや怨念か……俺達に受けたダメージで弾かれたはずの奴の意思が戻ったってわけか……」
背中を柱に殴打し、宙に浮いていた貴晴も姿勢を整え口から流れる血を拭うと、カイゼルが語気を強めた
「それで、こんどは、アロタロス自身が虚無のエネルギーを取り込んで復活……相変わらず面倒な男だな」
岩盤に身体をぶつけた卓也は背中に背負う魔道具を噴出させて、飛び上がると、デモンが怒りを隠そうともしない声で言う。
まぁ、俺でも腹立ってるからなぁ……二人なんかもう噴火寸前だろう……。
「まぁ、死者はさっさと黄泉送りするしかないよな……」
俺は呟くとムラマサに魔力を流す、すると卓也と貴明が同時に笑い、互いに構えた。
「貴様らさえいなければ……俺は……だから貴様らを……今度こそ亡き者にする!!」
虚無の……いや、アロタロスか。アロタロスは声を荒げると、ボロボロになった翼を広げ宙に浮く、そして俺たち目がけて突撃してきた!!
「速いが見えないわけじゃない、くらえ、カイゼル・ビーム!!」
「喰らえい、ギャラクシーライトニング!!」
貴明と卓也は叫ぶと、互いの技を繰り出す。貴明は両目から熱線を出し、卓也は三日月状の稲妻の斬撃を剣から放った!
二人の放った斬撃は骨だけのアロタロスに命中した! だが
「な」
「にぃ?」
二人の攻撃は、奴が纏うバリアに阻まれ弾かれると速度を落とすことなく、突っ込んできた。
「二人は下がれ! 俺がやる! オロチ一閃!!」
俺はムラマサを構えると勢いよく振り下ろした! 無数の斬撃がアロタロスに向かって突き進んだその時!
「なぁにぃ?」
何かが折れる、甲高い金属音が響くと、俺の目の前にアロタロスが来ていた。不味い!!
「ター君避けてぇぇ!」
リサの声が響いた瞬間、俺の腹部に衝撃が走り俺は体を後ろに大きく吹き飛ばされ、漂う分厚い岩盤に背中を打ち付けた!!
「ぐがっ!」
腹と背中、両方を衝撃が襲い俺は勢いよく何かを吐く。痛すぎてそれが物なのか液体なのか分からない……舐めやがって
「魔炎……斬」
俺はムラマサを構え、魔力を灯すと俺に拳を振り下ろそうとしているアロタロスを睨み、ムラマサを振り下ろした、だが。
「お、おれている!!?」
俺の振るった一撃は、アロタロスの分厚い拳の骨を焼くだけで斬り落とすことはできなかった、なぜなら、刃が中央から折れていたからだ。
くそ、さっきの金属音はこれが折れた音だったのか……っ! ぐが!
「ごぼっ!」
まただ、また腹に衝撃が来た。ぐっ、動けない……このやろう……俺を岩盤に押し付けた状態で俺の意識が飛ぶまで殴る気か……どうにかしないと……
「まずい! タコ殴りにされる。行くぞ!!」
ああ、実際に不味いな。リサ以外の誰かの声は聞こえているが、意識が薄れていてそれが四人のうちの誰なのか判別が出来ない……。
「ター君から離れなさい!!ストリーム・ストォォォォォォォンッ!!」
「俺のダチから離れろ、この骸骨野郎がぁぁぁぁぁッ……カイゼル・インパクト・ナッッコォォォォォォッ!!」
「喰らえ、ダブル・ライトニング・ブレェェェェェド!!」
仲間たちの怒号にも似た声が聞こえた瞬間、俺の腹を襲う痛みが消えた!
「ター君大丈夫!?」
リサの慌てる息遣いが聞こえ、俺の体中の痛みが薄れていく、助かった……リサが回復魔法を使ってくれたみたいだ……。
「ああ、悪い……助かった……」
俺は呟くように言うとリサに笑いかける。流石は最終リミッターを解放したリサだぜ。完全に回復できた……。
「ぐぅぅぅ……邪魔をしやがって……」
リサたちの攻撃を受け、真下に吹っ飛んだアロタロスはゆっくりと上がってきながら言う。
頭頂部と、左右の顎の骨が砕けている所から、三人は頭部に集中して攻撃したんだろう。それにしても不気味だぜ……。
「武久……戦えるのか?」
卓也は俺を……いや俺の右手を見ながら言った。
「いや、やべぇなムラマサがへし折られてろくに戦えない……刺したりはできるんだろうが、魔力を込めても斬る力は落ちている……」
俺はムラマサを見ながらつぶやく、さっきも思いっきり振ったのに、奴の拳の骨を焼くだけだったからな……。
「まって、ター君、魔力は込められるんだよね? だったら作戦がある。皆耳貸して……。」
リサの言葉に俺達は頷くと、彼女の近くに屈み、耳を傾ける。すると、彼女は静かに口を開いた。って……
「そんな恥ずかしいことできるか!!」
俺は体を起こしながら叫ぶ、ヤバい、あまりの事で声がひっくり返った。そして貴明と卓也のニヤニヤする表情が目にうつった。
「ええやんやったら。ほらラブラブ云たらみたいで、最終戦にはピッタリやん」
「てかそれくらいしか思いつかんやろ、俺達で時間稼ぐから溜めたらええ」
貴明と卓也はそう言って真剣な表情をするがニヤニヤしていた、こいつらぁ………。
「それに初めてじゃないでしょ? 向こうでもアロタロスにやったじゃん、しかもあの時は君から手をつないできたんでしょ?」
リサはそう言って、俺の右手を握る。ぐぅ……そのいじらしい表情も可愛いな……。
「なんや、お前からやったんか。ええやん、やりなさいやター君」
「おおう、イチャイチャしてくれてやって羨ましいな、ター君」
「おのれら! ター君、ター君やかましいわ!!」
俺はにやにやする、二人に向かって叫んだ。その時、俺達の間を抜ける様に閃光が走り、俺がさっきまで、打ち付けられていた岩盤が爆発した!
「どうやらタイムリミットみたいね、ター君。時間がないよ覚悟決めて!!」
リサはそう言うと、俺の右手を強く握る……あぁぁもう!
「分かったよ、やったらいいんだろ!!やったら!」
俺はリサに向かって言うと、魔力を右手に集めた。
「そう来なくっちゃ、最大パワーを溜めてやりますか!!」
「よし、じゃあ俺達で時間を稼ぐ、動けなくなるくらいの覚悟で行くぞ? 行けるな、卓也!!」
「もちろんだ……まずは……エクレール・ボルテッカー!!」
卓也が叫ぶと、奴の周りを稲妻が走り卓也の髪が大きく逆立った!
「貴明、自爆の時に使った魔力を溜められないか? もちろんあれを使えとは言わない、卓也とデモンがやった様な技を使いたい……」
「ああ、できるぞ。一気に魔力を込める……ファイヤァァァァァァッ!!」
貴明もカイゼルの言葉に頷くと、体中に炎を纏った!!
「よし、私達も行くよ!!」
ああ! 俺はリサの言葉に頷くと右手に握ったムラマサをアロタロスに向かって投げつける。そしてリサに右手を伸ばす、するとリサが軽く笑うと、恥ずかしいが指と指を絡ませるとお互いに手を強く握った。
「何をするか知らんが、俺様を舐めるなぁぁぁぁぁ!!」
アロタロスが叫ぶと、腹部に未だに怪しく輝く六属性の色をした球体に魔力がこもり、一気に魔力が放たれた!!
拡散したものではなく、一筋の巨大なビームでだ! 不味い!!
「ちぃ」
「くそ!」
俺達は、虫を散らしたように飛び散り奴の一撃を躱した、ちぃせっかく溜めた魔力が台無しだ……。そう思い、アロタロスを睨むと奴が再び魔力を集め始めていた。
「二人は魔力を溜めろ!!あの程度の魔力、俺が焼き払う!!」
動こうとする俺達に向かって貴明は叫ぶと、アロタロスとの距離を詰めた!
「ター君! やろう、今の内に!!」
「ああ!」
俺とリサは互いに頷くと、再び互いの右手を握り合い魔力を高めた。その時だ! アロタロスがまたもや魔力を放った!!
「やらせるかぁぁぁぁ!!」
貴明の力強い声が響くと左手の炎が金色に輝くと今までも見たことがないほどに荒々しく大きく燃え上がった!!
「カイゼル・インフェルノォォォォォォォォォォッ!!」
貴明とカイゼルは叫びながらその燃え上がる左腕を一気に前方に突き出す! 炎と形容するには足りない、太陽のような巨大な拳が飛び出した!!
そして、飛んできている虚無のエネルギーを宣言通り焼き払うとその背後にいた、アロタロスの肉体に命中、奴は勢いよく燃え上った!!
「ナイス一撃だ、ならば俺達も……双雷明王ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
卓也は両手に剣を纏うと剣を振り上げ、そのまま真っすぐ稲妻迸る巨大な剣を振り下ろし、なんとアロタロスの両腕を肩ごと斬り落とした!!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
貴晴に焼かれながら両肩を切り飛ばされた、アロタロスは大きく声を荒げた!!
「準備万端……よっ! 行くよター君!!」
「ああ! お前ら避けてろよぉ!!」
「六象!」
「光輪波ぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
俺とリサは叫ぶと右腕を同時に掲げた、そして、勢いよくアロタロスに向かって右腕を突き出した!!
俺達の右手からは、六つの輝く魔力が勢いよく飛び出し、燃え上がり、痛みに狼狽えるアロタロスに迫り、奴は躱すことも防ぐことも何もできないまま、六象の輝きに包まれた!!
「がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!お、俺は忘れんぞ……また蘇りお前たちに……復讐してやる……覚えていろよ、リサ……ター君!!!」
「ター君言うな!!」
身体が崩壊していくアロタロスは俺に向かって叫んだ時、俺の返事に呼応するように俺が放り投げたムラマサが奴の腹部の球体に命中、アロタロスは断末魔を上げ、奴の体が崩壊した。
「勝った! 第三部完!!」
「第二部やけどな」
「メタいねん」
俺の言葉に貴明が突っ込むと、それに対して卓也も突っ込んだ。すると、ガラスにひびが入る様に、空間に亀裂が走った!
「っ、皆こっちに来て、まずい、この空間が崩壊する!!」
リサが叫ぶと俺達はリサの傍に近寄る、すると彼女は魔導書を開き始めた。
「とりあえず、空間転移の魔法を使う、これでどこかに行く! 空間の崩壊に巻き込まれたら大ごとだから!!」
リサがそう言うと俺達の足元に、魔法陣が広がる。そしてリサは、呪文を唱えた!!
第四十五話 『リサ&ター君大勝利!!すべてを終わらす二人の閃光』を読んでくださりありがとうございます。
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