サンフランシスコ沖海戦
サンフランシスコ沖海戦
次々と日本軍機動部隊が発見され、次々と陸軍の戦闘機、重爆撃機が攻撃へと向かう。
サンフランシスコ周辺には、1万機に登る航空機が集められているのである。
残念なことに、海軍機もエセックス級に搭載するためにサンフランシスコに来ていたが、事故により、搭載されずじまいであり、航続距離の問題で、発進することはかなわなかった。
海上航法を習得していない陸軍機を海軍機(カタリナなど足の長い機)が引き連れて、発見場所に向かうということを余儀なくされることになった。
海上では、日本軍の巨大戦艦が、50Kmも彼方から主砲で応戦を開始した、当初、全く当たるはずがないと考えられていた主砲弾が次々と味方機を炎に飲み込み、爆風が周囲の味方機をバラバラに打ち砕く、さらに、酸素不足によるエンジン停止で墜落する機が発生する。
墜落前にエンジンを再始動できれば、運がある(生き残る)ということになる。
見たこともない攻撃を受け相当な精神的打撃を受けながらも、それでも相当数の戦闘機と爆撃機が敵艦隊に向かう、敵戦闘機隊(日本軍)が急速に落下して攻撃を開始する。
開戦当初から実戦経験を積んだ歴戦のパイロットが多数存在する、日本軍機は未だ訓練しか積んでいない本土防衛部隊では、しかも、慣れない海上では全く敵にならない存在だった。
さらに、戦闘機は最新だが、それに慣れていなかったし、爆弾2発を積んでいた。
艦隊から10Km以上のところでの空戦では、次々と味方機が煙と炎を噴き上げて、舞い落ちていく。
「まずは空母を狙え!」すべての機にそういう命令が出ていた、空母を破壊すれば、敵機の帰るところが無くなる、そうすれば、敵艦を一方的に攻撃することができる。当然の帰結である。
日本軍機動部隊は空母輪形陣で一隻の空母を戦艦1隻と他の艦で守っていた。
日本軍の空母の航空機搭載量は約80である。
今回は、すべて戦闘機をのせていた。
圧倒的敵航空機の攻撃が予想されていたからである。
本来の戦闘機隊は20から30である、そういう意味では残り50は急造の部隊が乗ってきている。
それでも、アジアでの実戦を経験したきた優秀な部隊を抽出している。
その80機が獅子奮迅の活躍をみせて、米国航空機を次々と葬り去る。
しかし、雲霞の如く敵は押し寄せてくるので次々と迎撃戦闘機による防御陣を突破して艦隊へと向かっていく。
本土防空隊のミッチェルは、P47サンダーボルトを駆って敵空母をめざしていた。
敵の謎の砲撃に肝をつぶされた。
しかし、運よく生き延びることができた。集団の端のほうにいたのが功を奏した形だ。
海軍機が先導してくれたが、どうしても慣れない海上ゆえに、その先導機の近くに寄りたい意識が働いてしまう、その点ミッチェルは眼がよかったので、離れていても問題を感じなかったことと、操縦に自信がないため、周りを囲まれるのに抵抗感を感じていたのである。
そして、敵防空の戦闘機との戦闘も、海面ギリギリを飛んでいたことで回避できた。
敵の謎の砲撃で泡をくって、急降下したので、海面に近いところを飛んでいたのである。
だが、絶望的なその時が迫っていた。
巨大戦艦の5インチ砲が攻撃を開始し始める、同時に40mm機関砲が猛烈な砲撃を開始、さらに20mm機銃が砲撃を開始、輪形陣の補助艦艇が一斉に猛烈すぎる砲撃を打ち上げ始めたのである。
戦闘艦を設定する時にすでに対空(対艦ではなく)戦闘優先でできるだけ対空砲を設置し、レーダー統制射撃できる部分については、そのようにできるように推し進めてきていた、そういう男がいたのである。
その男は、艦政本部付きの時、「神の声」を乱発し無理やり推し進め、逆らう者がいたら、虎の威(天皇陛下や東郷元帥など)をかりて蹴散らし、足を引っ張れば、だんだんと抵抗がなくなっていくというものである。
史実の日本艦は対空関連が貧弱と言われた、大和などは最後は、機銃などを一杯増設したとされるが、この世界では、対艦よりも対空を押しすすめて来たのである。5インチ砲はすべて両用砲にした。そして、弱いとされた火力をボフォース40mm機関砲(レーダー統制)とブローニング20mm機関銃(レーダー統制)と12.6mm機銃(手動、M2重機)で穴を
なくして配備しているのである。しかも口径の大きな砲には、UO信管を使用している。
ボフォース機関砲などは開発と同時に採用を決めている。
瞬く間に爆発する味方戦闘機達、壮絶な眺めだった、こんなもの突破できるはずがない!
ミッチェルは血の気が引いた。ジャップはとんでもない艦隊つくった!
漫然と爆撃コースに入った戦闘機は簡単に爆発した。
高空から爆撃コースに入ろうとした戦闘機も爆発した。
もともと艦艇への爆撃など訓練されていないため、みんなバラバラである。
戦艦の主砲がおもむろに動くそして、大音量の射撃を行う。
その向かう先には、B17の編隊がいたが、その前方で火球が生じた。
何機かのB17 が破砕される。
あまりにも一方的な展開が、もともと血の気の多いミッチェルに火を付けた。
「くそ!やってやる!」
駆逐艦の機銃が水平に撃ってくる。しかし、水平にスルリと滑ってよける。
まさに水面すれすれを機銃をよけながら、突進する、その壁の向こうに空母が存在するのだ。
「やってやる!やってやる!」ミッチェルはいわゆるゾーンに入っていた。
機銃手が何か叫んでいるのすら見えていた。
そして進むべき進路が目の前に開けていた。
巨大なタンカーのような空母の喫水より低いところを左右に滑りながら滑空するミッチェルのP47そして空母の目の前で一気に上昇する、何か違和感があったが、甲板が見える。
一回転して投弾の姿勢に移行し、投下索を引く。
さすがにゾーンに入っていたミッチェルだったが、巡洋艦の20mmが打ち砕く。
ゾーンというものはいつまでも続くものではなかった。
しかし、爆弾2発は空母甲板上で炸裂する。
「やった!」この機動艦隊攻撃に来ていた航空機の全てのパイロットが歓喜した。
甲板に書かれた文字はカタカナの「ア」であった。もちろん読める者はすくなかったが、読めるものもいた、このマークは空母「赤城」を意味するのだ。
「全機、勇者に続け、敵空母を撃沈せよ!」
敵艦隊上空で被弾したダブリンは、下方に煙を吐いている空母を目視できた。
すでに、この損傷では、基地への帰投は無理である。
「待て!ダブリン曹長!辞めるんだ!」無線からそんな声が聞こえる気がする。
ダブリンの乗るP51マスタングはV12エンジンだが、トラブルが発生するとエンジンが焼けて停止しやすいのである、そして彼のP51もエンジン停止が近づいていた。
「隊長、後はよろしく」
ダブリン機は、空母に体当たりを敢行した。大爆発が発生する。
「ダブリ~~~~ン」隊長の鳴き声が続く。
この時多くの勇者が発生した。
ある者は空母に、ある者は戦艦に体当たり攻撃を仕掛ける。
祖国のために自らの命捧げて、殉ずるために・・・・
突如として訪れた場面が多くの米国パイロットに影響を与えた。
命をすてて攻撃してくる者ほど厄介なものはいない。
大和の艦橋と舷側にも体当たりが行われる。しかし爆弾が小さいためさしたる被害は無かった。
だが、空母は次々と体当たりを決められてもはやひん死の状態であった。
「敵空母は大破、撃沈はほぼ確実!」大和機動部隊を攻撃していた何機かはそのような通信を送った。
しかし、払われた犠牲はどれほどであったのか?
すでに数百は海の藻屑になり果て、数百がよろよろと帰投するありさまであった。
その被害機を次々と戦闘機隊が打ち落としているような状態であった。
スプルーアンス艦隊は同じような通信をいくつか受取り、進んでいる。
敵艦隊の一部にでも艦攻と艦爆でとどめを刺してやろうと前進していた。
上空には、味方機が傷つき飛んでいく。彼らは、基地にたどりつけるだろうか?
それが、彼らの考えた作戦なのか?戦場が陸から1000Kmとは実に嫌らしい距離である。
その時、高空8000mには、爆撃機が飛んでいたのだが、レーダーには敵味方の航空機が乱れ飛んでいる、此方に飛んでくる機は帰還機であると判断されていた。というか区別がつかない。




