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反撃の巨人(米国)

 反撃の米国

1943年5月

「なんとしても、黄色いサルどもを太平洋から駆逐せねばならん」

ルーズベルト大統領は差別的態度を隠すことなく厳命する。

ついに、東海岸で建造していた空母エセックス級が4隻そろうのである。

太平洋の空母ゼロの状態を何とか回避するため、建造を繰り上げて、4隻を就航させることにこぎつけたのである。


「この艦隊が太平洋にでたら、まず、ハワイの奪還作戦を行うのだ、海軍長官」

「は」さすがの海軍長官も今までの失敗が祟り頭が上がらない。


「海軍機の訓練はどうだ」ルーズベルト大統領は健康上の問題を抱えていたが、興奮していた。

「はい、すでにサンディエゴに向かわせておりますので、後は全体で訓練を行えば問題ないかと」

米国の空母艦載機の部隊は、五大湖で訓練されていた。

五大湖に輸送船を改造した空母を浮かべてそこで訓練しているのである。

そんなことを聞いたら、あの男ならまず間違いなく、琵琶湖に空母を浮かべるのだというに違いない。もちろんそのことに意味などない。


「よし、万一のことがあるとまずい、運河の先は徹底的に索敵するのだ」

「もちろんわかっております」海軍長官はだんだんいらいらしてきた。

言われなくてもわかっておるわ!


さすが米国である、圧倒的な工業力で、今でいうところの4個打撃群を作り上げてしまった。

米国内の呼称は第51任務群、その構成は第52任務部隊、第54任務部隊の2個任務部隊となる。

2個打撃群で1個任務部隊の編成である。


真珠湾の奇襲で大きく後退してしまったが、ようやっと反撃の準備が整ったのである。


残念ながら、ハワイ、フィリピン、オーストラリアは陥落してしまったが・・・


「いいか、ハワイを奪還すれば、今度はオーストラリアだ、そのころには、エセックス級もまた増えているだろうからな、絶対にサルどもをぶち殺せ!そうだハルゼーにやらせるのがいいだろう、そうだろう長官」


ルーズベルト大統領は、ひたすら興奮してまくしたてるのであった。


エセックス級空母4隻が予定を繰り上げて就役した。

『エセックス』・『ヨークタウン』・『レキシントン』・『バンカー・ヒル』

アイオワ級戦艦4隻もそれに随伴するように、やはり予定を繰り上げて就役した。

『アイオワ』・『ニュージャージー』・『ミズーリ』・『ウィスコンシン』である。

そして、それら女王と王に付き従う重巡・駆逐艦など多数が大西洋のコロンに展開している。(コロンはパナマ運河の入り口の街)

これだけの威容を目撃すれば、まさに無敵と感じても仕方がないと言えるだろう。

まさに、現代の無敵艦隊、アルマダである。


そして、ルーズベルト大統領は、それらを見たひとりであった。

もちろん、コロンという場所ではなかったが・・・


「対空には十分注意して、船を上げろ」

エセックス艦橋には、片目に眼帯をした、隻腕の老人が立っていた。

残った片方の眼には、復讐の炎が燃えていた。


エンタープライズで負傷し、戦線から長らく外れていた男、ハルゼー提督である。


ハルゼーは対空装備が非常に重要であることを直感的に感じていたが、米国太平洋艦隊は、大日本帝国と海戦をあまりできなかったため、対空装備があまり重視されることがなかった。

真珠湾攻撃では航空機の奇襲攻撃が効果を上げたが、人々には、その後に行われた、艦砲射撃の方がはるかに恐怖であったため、やはり戦艦の主砲が海の主役という印象を残したのである。

その結果として、アメリカ海軍は大艦巨砲主義から完全に抜け切れていないところがあり、対空装備が史実ほど強化されていないという現実があった。

エリコン機銃やボフォース機関砲もめいっぱい積まれてはいなかった。ちなみにブローニングは採用されていない。というか出荷されていない。


だが、そうは言いつつも、ハルゼーの眼は、太平洋に向いていた、パナマ運河に攻撃を仕掛けてくる可能性は低く、来たとしても、すぐに発見迎撃できるはずである。

運河の出口の太平洋側には、多数の艦艇、航空機が展開していた。


ハルゼーはどのようにして、太平洋で日本軍を叩きつぶすのかということに考えを馳せていた。


パナマ運河にあるラジオ放送局から音楽が流れている。

ラテンのリズムの曲が戦争中にもかかわらずこの地が戦地とは無縁であるかのようだ。


帝国海軍の潜水艦群は、パナマ沖に集まりつつあった。

敵の空母、戦艦がパナマ運河に集結しつつありという命令を受けたためである。


1943年の米国の反撃は予想された事態であったため、潜水艦の艦長はついに来たかという感想を持ち、予想される兵力は、空母4戦艦4とは!米国とは途方もない工業力であるな、多くの艦長はそんな感慨を持ったのである。



激しい哨戒がパナマ湾で行われている、これだけ激しく行われると、侵入できそうになかった。航空機も頻繁に上空を飛びかっていた。

偶に、駆逐艦から爆雷が投下されている。


パナマ湾は浅いため、潜水艦群はその出口や進路になる予定のサンディエゴへの航路などに布陣していた。

そして、安全な距離から酸素魚雷の攻撃を行うのであった。


たまたま、偶然に命中すると、駆逐艦が半分に折れて砕けて轟沈するというようなことが起こる。

夜の酸素魚雷は、航跡を発見することはほぼ不可能なので、偶にこういうことが起こっていた。


・・・・・


「敵の潜水艦がパナマ湾方面に集まっているようです。」

参謀がハルゼーに報告する。

「ジャップどもめ!まずは、対潜部隊を先に降ろして、奴らの潜水艦を駆逐するのだ!」

「もちろん、させていますが、なかなか、できていないのが現状です」

「ふん!訓練が足りんのではないか!」ぎろりと参謀をにらみつける提督


何隻かは撃沈できたのであるが、それらは帝国の潜水艦であった。主に機関の音などを発見されて攻撃されて撃沈される。

このことが、帝国潜水艦のSX化を押し進める結果となる。


「まあ良いわ!儂自ら、奴らを地獄に送ってやる」


すでに、パナマ運河のガトゥン湖には、2個打撃群が上がっていた。

運河は閘門という装置により、徐々に登っていき、最高値がこのガトゥン湖になる、大西洋から26mを登ることになる、このガトゥン湖は人造湖である、運河用にダムでせき止めているのである。


そして、三番目にエセックスが閘門を使用して上がっている途中である、後ろの閘室には、戦艦アイオワが入っている。

4番目の艦隊はまだ大西洋にいる状態で待っている。


・・・・・

もうすぐパナマも夜明けである。

此処に、数人の男たちがいた。

彼らは、偽装用のギリースーツに身を包み、偽装網を被って、米国艦隊の様子を伺っている、夜っぴて、運河は動いており、米国艦隊を上げているのである、反対側太平洋側では、駆逐艦などがパナマ湾へと降ろされていた。


PTボートと言えば米国の戦闘用のボートであるが、この世界では、日本でも同じようなものが作られている。目的は、日本の沿岸や島嶼を守る事である。夜に出撃し、敵艦隊に急速接近し、魚雷を発射して攻撃し逃げることを目的とされている。


ある男が無理に提案し、製造を承認されている。武器名は「PTボート」である

名称を聞かれた男は、何も考えておらず、「PTボートでいいのではないか」と答えたため、米国と同じ兵器名であった。


一部の海軍軍人は「強襲用ボート」と呼ぶことを提唱したが「どっちでもいいので、PTボートを頼むぞ」とある男は言ったという。


そして、このガトゥン湖に日本製PTボートが島の影に隠されていた。



・・・・・

「アバレーエフ、これはPTボートという釣り船だ」

湖に作られた、舟屋には、PTボートがおかれていた。

「総長、これは?」

「釣り船だ」

「総長!」

「しかし、注意はするのだ、爆発すると危険なのだ!」


この前、唐突に現れた総長はそういって、世界でも無類の金持ちになったアバレーエフに舟屋を作らせると、何処から取り出したのか、このPTボートを置いたのである。


「金持ちは釣りを趣味にするものである、アバレーエフにも釣りをしてほしいと思ってな、ボートを持参したのだ」

そんなものを持参する人間はいない。

しかも、アバレーエフはすでに釣り船を持っていたのである。



いつも読んでいただきありがとうございます。

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[一言] 更新お待ちしてました。 楽しみにしています
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