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ロシア公国

1942年6月、満を持していたドイツ軍が、ソ連へと進行する

バルバロッサ作戦の発動である

日本側が一年間我慢するように、交渉してきた甲斐があったのであろうか

そもそも、バトルオブブリテンにおいて、英国空軍は苦戦していた

レーダー防衛構想が上手くできていなかったことによるものである

構想の主軸を担う人材が突然行方になったり、史実のように、八木アンテナの特許が解放されていなかったことによる影響が出ていた


日本は、枢軸同盟には入っていないが、ロシア大公国は、ドイツのソビエト攻撃には同意していた


その間、ドイツは、ダンケルクで英仏連合軍を殲滅している

さらには、空軍力をフランスに集めて、英空軍を監視するにとどめ、航空兵力の醸成に努めていた、さらには、空母を建造していたのである


この5月に太平洋での戦闘に一区切りがついたことにより、日本側は占領地域の要塞化を推し進めることにしていた、さらに、千島、アリューシャン方面での進出を画策していた

と同時に、ハワイ攻略をも画策し始めていたのである


すでに、樺太、千島諸島は領有していたが、各所に航空基地を建設、ひそかにペトロパブロフスクにも航空基地(ロシアに土地を賃借している)を新設していた


史実世界では、ミッドウェー海戦が勃発し、日本は坂道を転がり落ち始めるわけであったが、この世界では、ドウリトル空襲を完全に封じ込め、ミッドウェー島も占領していたので発生のしようがなかった

しかも、太平洋における米国の空母稼働数は、皆無という状況であった


さらには、オーストラリアが日本に対し休戦する事態に至っている

また、ニューギニア島が各所で要塞化を進行させている(開戦と同時に残り3分の2、オランダ領、イギリス領を占領)

占領地のいくつかには、潜水艦隊の補給基地が粛々と建設されていた


そこから、出撃する潜水艦部隊が、ハワイ、サモア方面で次々と輸送船団を撃沈している

かつての潜水艦は、高価な兵器「魚雷」を使わずに浮上して砲撃を行っていたのだが、この世界では、新型潜水艦には、砲が装備されていないのであるから、魚雷攻撃しか残されていない状況であり、技術革新により、魚雷自体の価格は大幅に下げられているし、生産数も格段に多いのである


そして、ロシア公国義勇軍の潜水艦はすでに200隻以上が就役し活動を行っている(当初計画通りである)

一方、資源輸送のための対潜駆逐が域内で相当に力を入れて行われていた

輸送には、護衛艦隊、また航空機による対潜哨戒、特に磁気探知装置を装備した、航空機による哨戒が絶え間なく行われいる

米海軍の潜水艦は太平洋からほぼ駆逐されてた状況を生み出している、また残っている艦もオアフに存在するが、整備・補給の問題で出撃できない状況となっていた


この時点で、米国側は、ハワイ諸島、本国西海岸、フィジー・サモア諸島以外は完全に勢力圏から駆逐された状況に追い込まれていた


ロシア大公国第一軍団は、ドイツのバルバロッサ作戦に呼応すべく、イルクーツクへと侵攻を開始した

ただし、あくまでも大公国とドイツは軍事同盟を結んではいない、いわゆる漁夫の利を得るためである


大公国の首魁ニコライ2世は全ロシアの復活を望んでおり、ドイツは、ソビエトへの侵略、スラブ人の絶滅を望んでいるのである

いずれ、両軍がまみえれば、血を流して戦うことになることは必定であった


だが、いまのところは、両者の利害は一致している、そしてそれは日本にとっても同じである

大日本帝国義勇軍航空隊(帝国陸軍航空隊及び海軍航空隊の形式上の名、日本はこの戦争には参戦していない)が、ロシア公国の援助のため、イルクーツク侵攻に際して空爆を敢行している


200機に上る海鵬が800kg爆弾を2発を搭載しイルクーツクの基地の爆撃を敢行した

(バイカル湖に基地を設営し、そこからの出撃)

護衛の戦闘機は零戦である

ソ連軍は旧式の戦闘機で応戦を試みるが、実戦経験を積んだ日本軍パイロットには全く歯が立たなかった、さらに、機体数もまったく足らなかったのである


イルクーツクはロシア公国の第1軍団にまったく抵抗できずに占領されてしまう

ドイツの電撃作戦により、兵力がそちらに回されていたこと、もともと、シベリヤ方面にはそれほど、戦力を配置していなかったこと、新兵器がすくなく、旧式装備が多かったことなどが敗因とされている


一方の公国の第1軍団の戦車部隊は、今までの常識を覆すような性能であった

簡単にいうとティーガー戦車並みの攻撃力とそれ以上の防御力と走破性を持っていた

しかも、対戦車砲用の増加装甲、スカートなどの装備すら持っていた

さらに、随伴する機械化自走砲、歩兵集団も強武装であった

ついでに言うと、縦深攻撃を行うために同様の部隊がもう一つ後ろに控えさせられていた

、第2軍団である

公国軍はその後、シベリア鉄道に沿って北上、クラスノヤルスクを目指す


スターリンは防衛のために、「ジューコフを呼べ」と側近に言ったといわれているが、その時、ジューコフ将軍は先のバイカル湖での戦いの責任を取らされ粛清されていたのであった

そのことが、ドイツに対する防衛にも大きな影響を与えることになっていくのである

また、史実では、ソビエトはドイツ侵攻後に工場などをウラル山脈東部に疎開させることで工業力の維持を可能としたが、この世界では、そのウラル山脈の東部こそが、激戦区になることが予想されるため、簡単に疎開できない状態が出現した


スターリンは、目の前の側近を撃ち殺したい騒動に駆られていた


「祖国奪還の戦いは順調のようだな」ウラジオストクの宮殿で、先の皇帝ニコライ2世が、息子アレクセイ大公に言う

「父上、はい、これもミハイル将軍と高野伯爵のおかげかと思います」

「ふん!高野伯爵か、まあ、日本人に手を借りるのは、抵抗があるがな」

「父上、そのようなことをいうものではありません!」

「まあよい、アレクセイなんとしても祖国を取り戻すのだぞ」

実権はすでにないニコライ2世だったが野心は燃やしていた

「今回の戦いでは、オムスクまでが最終段階とのことで作戦が練られています」


もともと、人口が希薄な土地であるため、戦力を充実させるにも時間がかかるとして、オムスクまでとミハイル将軍が計画したものである


「しかし、わが王家の威信のためにも、なんとしてもウラル山脈を越えねば!」

父の言いたいことはわかるが、あまりにも、広い国土、時間がかかることは仕方がないし、山脈西部には、ドイツ、ソビエトがまだまだ存在する、こういった考えのなさがロシア王家を滅ぼしかかった原因であることを本人はやはり理解していないのであった

アレクセイは自分の体調があまり思わしくないことを承知している

いつでも、次の世代引き継げるようにしておく準備の必要性を感じた

そして、仮に山脈西部に打って出るとしても、それは、次代の大公がそれを行うべきだと考えていた

息子は生まれたばかりであった


このころ、シコルスキーACでは、ついに新型の4発爆撃機が完成し、量産に入っていた

海鵬の陸上型である

エンジンは今までのもの違いターボプロップエンジンを搭載していたのであった

1942年10月の頃であった

そして、ミッドウェー島の海鵬隊と順次入れ替えが行われていったのである


一方の米海軍であるが、ようやく真珠湾航路の整備が終わったばかりであった

復旧は遅々として進まず、ニミッツは、かなり精神的に参っていた

陸軍のショート中将は更迭されたが、代わりの司令官が赴任できない状況となり、やむなく任務を継続しているありさまである


オアフ基地には、B17が進出してきたことが、数回あったが、すぐに地上破壊されてしまった、防衛レーダーも破壊され、敵航空機を発見するのが遅れてしまったためである

戦闘機は足が短すぎてやってくるにはどうしても空母が必要な状況だが、その空母が太平洋には全くなかったのである


そんな時、絶望のような情報が届く、「日本軍は、ハワイ占領作戦を実施する可能性あり、十分な警戒を要す」


「ショート中将は、この情報を知っているのか?」

「確認しています」

もちろん、陸軍にも行っていることだろう、しかし、その陸軍もかなり疲弊している

死屍累々という言葉がぴったり来る陸軍、それが、ハワイ駐留陸軍であった


真珠湾攻撃からこちらすでに死者は1万人に上っている

生き残りの1万人も半数も負傷しているが、医薬品、食料が不足しており、悲惨な状況に陥っている


さらに、治安状態は最悪で、いつ暴動が多発してもおかしくない状況、すでにオアフ島は極限状況に近かったといわざるを得ない


日本軍は、中国戦争で多くの兵力を動員していたというのは、史実であるが、この世界では、満州・中国国境では、国境紛争こそあるものの、戦争は起こっていない

ゆえに、100万人もの兵士が動員され投入されるような事態には至っていない


そして、アジア戦線の各地では、すでに現地友好政権への政権移譲を行い、独立国として承認しているため、常駐兵力もかぎられている


ハワイ上陸作戦には、20万人の兵力が動員されているが、主に満州軍から抽出されている

戦前満州には80万人の日本軍が存在したが、豪州に10万を抽出、今回20万人である

幸いに、ロシア公国軍が、ソビエトを西部へと追い上げていくため、兵力に余裕ができつつある


輸送船舶は、戦前から優秀船の建造を進め、港湾の整備、造船所の維持を行っており、米国の商船破壊作戦も完全に阻止しているため、余力は十分にあったのである


大連合艦隊は、すでに、沖縄、台湾、サイパン、グアム等に集結しつつあり整備補給を受けている、ミッドウェー島、ウェーク島などを経由し、ハワイを攻撃、その後上陸部隊が上陸作戦を敢行する計画となっていた


米国には、それに反撃するべき手段は存在しなかった

太平洋艦隊の空母稼働数は0であった

そして頼みの戦艦も0であった


エセックス級空母が完成するのは、早くても、1943年を待たなくてはならない


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― 新着の感想 ―
[良い点] どこまで進むのか日本軍。 圧倒的な装備と限られた人的リソース。 どこが着地点なのか今からワクワクしてます。 毎日更新ありがとございます!
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