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閑話 航空機たち

閑話 航空機


12試艦戦のちの零式艦上戦闘機いわゆる零戦の技師は苦悩していた

新たな航空本部次長が横やりを入れてきた

今までは、一グラムでも軽くして、海軍の要求を達成しようとデザインを考えてきたがまったくの別思想を持ってきた、簡単に作れるよう、骨材の型抜きはやめるように、防御に力を入れるようにそのためには、航続力も格闘戦能力が下がってもかまわない


「今まで言ってきたことと真反対だろうが!」そう言って、机を蹴飛ばしてしまった


エンジンは、三菱製ではなく、新興のディーゼルエンジニアリング製を使えと紹介される

海軍では、中島製の栄エンジン(小さくてコンパクトで非常に優れている)を使うことになっていたはずだが、防御能力向上のための重量増加の対策として、このエンジンを使うことにしたようである

しかし、このディーゼル社こそ、この航空本部次長が深く関与している企業であり、三菱社内では、我田引水ではないかと噂されているというか、完全に自分の懐に入れてるだろうが!と言われている


だが、皆がそう思っていても、決して口に出していう者はいなかった

なぜなら、そのようなことを言えば、直ちに特高警察がやってきて連れていかれるからである

軍人の場合は同様に、憲兵隊に連れていかれることになるそうだ

軍に詳しい人間曰く「高野は軍の闇そのもの、決して触れてはいけない」とのことだった


仙台市内の工場でエンジンテストを見たが、そうではないことははっきりとした

性能が、三菱金星とは全く違った

2列星型14気筒で30L、ターボ過給機搭載で1500馬力

エンジン直径は金星と変りもしないのに、すごい能力である

しかも、エンジン工場では、それを大量生産しているのであった

工員の中には、女性が多数みられる、なんでも、男が戦場に行った場合、どうしても女性の力が必要になるための措置であるらしい


何でも、そのための学校もあるらしい

三菱も見習うべきところがあるのかもしれない


因みに、このエンジンの技術が完熟したのちに、2列18気筒へと移行するとの事だった

いずれは、4列28気筒の超強力エンジンの開発を目指しているので、「君も、内にきたまえ」と説明してくれた技師に言われる始末だった



戦闘機は零戦が量産されることになる

三菱航空機、中島飛行機が生産を行う、中島製は隼と命名され、陸軍機とされた

構造は全く同じで、艦上機能だけが省かれている

骨材の肉抜き、沈頭標など手間がかかるものも省略される、あくまでも量産性が重視された結果である


そして、最も特徴的なことは、共食い整備がすべての戦闘機で行えるよう規格が完全に統一されたことである

職人の技術は否定するところではないが、勝手は許されないとのことだった



・・・・・

97式飛行艇という航空機が存在した

しかし、名称は皇紀1997年に正式採用されたという意味である

だが、この97式はロシア人科学者チームのおかげで、2式飛行艇と呼ばれた航空機を5年早く開発、量産化に成功したものであり、旧史の97艇とは別物である


エンジンはDE製1500馬力4発の大型飛行艇である

海軍では、正式採用されていない段階から、高野親衛軍から200機の注文を受けている

シコルスキー、ツポレフ、コロリョフ、ついでにウラジミール・ツヴォルキンのロシア人科学者チームが川西航空機に手を貸した成果である


量産は、川西では難しいため、仙台のシコルスキーACの工場で行われる

そして、川西では、「これが次の開発戦闘機、「紫電改」である」とシコルスキーが川西の技師に差し出したイラストがのちに「紫電」と命名された戦闘機であった


川西は、もちろん戦闘機を製造し、海軍に売り込みをかけたかったが、川西には、そのノウハウがまだなかった


「これをもとに、設計してくれ」仕様書も一緒に渡される

俺が、シコルスキー氏に希望を伝えて、技術的にまとめてもらったものである

「正式採用はのち、高野閣下からなされるとのことなので」

もちろん、その時俺は、何の権限もない人間だったがね!

「紫電改!なぜ改なのですか」

「もちろん、私は知らない、閣下は恰好いいからとしか言わなかったが」シコルスキー氏は技師に困ったような表情をしただけである


バックの中から1千万円になる札束を取り出して、「これが開発資金だ頑張るようにとの仰せだ、君が頑張るそうだ」

途方もない、金額の金に圧されたような顔をする技師だった


「それでは、我々は別の開発作業になるので、何かあったら仙台に問い合わせてくれ」

兵庫県から、ロシア人チームが仙台に戻る


シコルスキーACの会議室

「では、博士、我々は、97式飛行艇をもとに、陸上爆撃機を完成させましょう」

「そうですな、博士」どちらも博士と呼びあう

「博士、私は、ロケットの研究をしなければいけませんので、失礼します」

「おお、コロリョフ君頑張り給えよ」とツポレフ

「そうですな、博士、閣下のために頑張ってください」

なんと、彼も博士よびをするシコルスキー氏だった

「私も早く、回転翼機の研究に戻りたい」

「おお、私も、撮像管の研究に、大学に行かねば」今度は、ツボルキン博士だった

「そうですな、では、博士も閣下のための研究があるのですね」

「では、博士もごきげんよう」

「では、我々は「リベレーター開発計画」を進めましょう」

各博士が会議室からでていくのであった

※リベレーター開発計画とは、米国に習って、水上機を陸上機に作り直す計画

 B24リベレーターに由来する、ただし、今だB24は存在していないのだが


一方ロシア人チームを敵対視するチームがその横の土地にいた

ドイツ人チームである

シコルスキーACはDEのすぐ横に立地している


DEの技術陣、愛知航空機の技術者、そして、クルト・タンク氏

さらに、リヒトホーフェン兄弟とオステルカンプのパイロットたちである

「私が、来たからには、イワンにぎゃふんといわせねばなりません、みな様よろしくお願いします」タンク氏であった

「まずは、高野閣下からの依頼、次期艦上攻撃機兼爆撃機「流星」プロジェクトを推し進めていきます、これは、急降下爆撃と魚雷攻撃を行える攻撃機ということになります

99式は良い爆撃機ですが、固定足はいただけないですから、ぜひとも早く実現しましょう、幸いにも、発動機は専門家がいますし、テストパイロットも問題なさそうだ」


「まかせてください、内の腕のいいのを連れてきますよ」とオステルカンプ

「エンジンは、現在2列18気筒を順調に開発中なので、其れであれば、機を引っ張れるではないでしょうか」DEの技師はドイツ人が多い、今回は半々である

「18気筒化は難しいので、エンジン直径を大型化していたことが18気筒化で生きてくるのです、イワンたちは、大型爆撃機の開発すると聞いていますので」

零戦のエンジンは栄エンジンの直径よりも大きいので、やはり史実の零戦よりもF4Fよりに近づいているといえる


「それは、DEの方にも話が来ています」

「しかし、なぜ開発名が兵器名なのでしょう?それも、完成図まで書かれている」

「たしか、占いでこのような形がよいと出たとか?」

「夢占いではなかったですか、夢にでてきたみたいな」

「彼は、そういうのが得意ですよ」とリヒトホーフェン(兄)


「では、設計図を作って、模型を作って、風洞実験しましょう」さすがに完成予想図だけでは、どうしようもない


・・・・

「こちら(ドイツチーム)には、戦闘機はないのですか」と若いドイツ人パイロットが口を出す

航空学校の生徒であった


イワン達は、川西と共同で「紫電改」プロジェクトを行うときいている

彼は、リヒトホーフェン航空学校の評判を聞いて、わざわざ日本にやってきた若者である

「ああ、実は、機密指定だがあるよ」とタンク氏

「あるんですか」

「まだ、何も決まっていないけど「Ta190」

「なぜ190なの?」

「わからん、だが、どうもフォッケウルフにいたら190番だったようなことをいわれたからそうなのかも」

これも完成予想図と諸元だけが決まっているという珍妙なものであった


このような奇妙な事態が技術者を翻弄し、科学者の研究を進めさせているのだった


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