続真珠湾攻撃
続真珠湾攻撃
真珠湾奇襲が成功し、米国太平洋艦隊戦艦部隊は壊滅した、さらに、陸軍のオアフ島要塞も完全に破壊され、港湾施設も完全破壊、石油備蓄もほとんどが破壊され、沈没した艦船をさらに火葬することになった
しかも、入港路の途中に日本の旧型戦艦が3隻も沈められ、入り口付近には爆雷も散布される始末であった
奇襲時に湾から出ていた空母2隻が鹵獲されてしまう
さらに、真珠湾救出に向かったサラトガ艦隊が潜水艦隊からの攻撃により殲滅される
これで、米国太平洋艦隊の空母はゼロとなる
しかも悪いことに、ミッドウェー島、ウェーク島は占領されてしまうという体たらくであった
「どういうことなのかね!」当初は日本軍の攻撃を歓迎していたルーズベルト大統領が海軍長官をにらみつける
大統領の思惑では、日本への戦争を開始することにより、悪の枢軸(日本とドイツは軍事同盟を結んではいない)の好き勝手にさせてはならない、立ち上がれ国民と宣伝するつもりだったのだが・・・
初戦は全く、立ち上がる気力もでないほどに叩きつぶされてしまった
「太平洋艦隊を再建するのが、大事かと」
「当たり前だ、そんなことは、太平洋から黄色ザルを駆逐しろ、すぐにだ」
「ショート中将から、物資の輸送を依頼されています」と陸軍長官
オアフ島駐留の2個師団にもかなりの被害が出ている
公にはされていないが、真珠湾の軍関係者の死者は1万人近くに上る
陸軍宿舎等に爆弾が投下され、多くの死傷者が出たのである
太平洋艦隊の死者は、1万5千人にも上り、負傷者多数となっている
「海軍で何とかしろ」大統領の怒声が執務室に響き渡った
・・・・
太平洋艦隊司令に急遽任命されたニミッツがカネオヘに潜水艦経由で上陸し、陸路で真珠湾基地に到着した時に見た光景は、無残に焼け焦げた何かの残骸であった
生き残った海兵や基地関係者が掃除を行っていたが、クレーンや港湾施設などは、大型機械がないと復旧は不可能であった、しかも、湾内へのアクセス路には、日本の戦艦が沈んでおり艦橋が海上に突き出ている、しかも三隻もである
「くそジャップ!」日頃は感情を爆発させることはない、ニミッツであったが、つい吐き捨ててしまう
要塞砲の方も完全破壊され、本土から輸送しないと無理であった
そもそも、天蓋がなかったが、敵の艦砲により木っ端みじんの状態であった
飛行場の整備は進んでいたが、航空機を運んでくる空母が存在しない
戦闘機がないと、爆撃機だけ進駐させるわけにもいかない
とにかく、クレーン類などの大型機械が急遽必要、それとタンク施設、その次に燃料輸送ととにかく、必要な物資は莫大な量に上ることは用意に推測できた
「何とかせい」技師たちに発破をかけるが、彼らは疲れ切っていた
潜水士が潜り日本の戦艦にダイナマイトを仕掛けて爆破作業を行うがなかなか思うように破壊できていない
「掃海作業も早くせよ」湾外の機雷の駆除も難航している
これでは、基地の復旧は1年以上かかることになるであろう
そんな時、空襲警報が鳴り響く
「なんだ、敵か?」
「敵機です、ミッドウェー島方面から来たようです」
レーダーが航空機多数をとらえたようだ
対空砲が彼方の空で黒い煙を発生させているが、あまりにも少ない
爆弾の爆発音が遠くから届いてくる
雲間から敵の航空機がゴマ粒のように見えてくる
「退避壕へ、司令」副官がいうが、ニミッツは空をにらみつけている
日本の大型飛行艇「海鵬」(史実でいう二式大艇)がコンバットボックスで真珠湾上空に表れる
防空に、P40が10機程度が上がっていたが、装備の7.62mm機銃では、海鵬には致命傷を与えることはできないそれどころか、敵の12.7mm機銃は熾烈を極め、あっという間に仲間の3機がひらりひらりと黒煙を吹きながら墜落していく
海鵬はコンバットボックスを解き、攻撃目標に向けて分散していく
翼下には80番爆弾が二個搭載されている
「特80番投下」「投下」
特80番爆弾が3000m上空から投下される
それは、陸軍の宿舎に向けて投下された
それは、炎の玉であった、炎の半球形が宿舎を飲み込む
それを見ていた要員は、新兵器の成功を視認していた
「特80番は成功の模様」
特80は燃料気化爆弾であった
対人殲滅用爆弾である
宿舎には、非番の兵士たち数十名がいたが全員即死した
そのような爆弾が兵員のいそうな場所に十数発が投下された
「敵機の数は50でした」
「被害は、陸軍で450名です」
次々に被害報告が来るが、司令部ではどうすることもできない
先の奇襲により、対空兵器が人員ともにあらかた破壊されていた
対空砲火を行うとそこに敵戦闘機が襲ってくる図式が繰り返されたためである
さらに、味方戦闘機もあらかた破壊され、追加配備の目途は全く立っていない
大西洋のホーネットとヨークタウンが回航されることになっているがまだ時間がかかる
「敵の新型爆弾が使用されたようです」
「とにかく、対空を強化せよ」
だが、それから毎日のように、海鵬がミッドウェー島から空爆にやってくるようになってしまう
さらに悪いことは続く、海鵬が投下した紙爆弾である
住民の決起を促す文書である、特に、日系人とハワイ原住民に対してである
それを見た、陸軍が、日系人を射殺する事件が発生する、これにより暴動事件が発生しさらに事態を悪化させるのだった
奇襲時から本土からの物資輸送はほぼなくなったことで、市民の生活にも制限がかかり、治安は悪化の一途をたどる
そんな時、現地時間の深夜に迫撃砲が陸軍基地内に数発打ち込まれる事件が発生し、島には戒厳令が敷かれることとなる
陸軍では、現地住民や日系人を逮捕しようと考えたが、本土へと輸送する手段がないため海軍に反対されたのである
しかも、事態はさらに深刻度を増していた
このころ、義勇軍潜水艦隊の訓練が終了した艦が次々とハワイ西海岸間とパナマ、ニューカレドニア間に投入されている
輸送船団には、護衛艦はついているが、アウトレンジからの酸素魚雷攻撃がしかも飽和攻撃で行われるため、莫大な被害を生じさせつつあった
敵はどのように、飽和攻撃を準備できるのかまだ、解明されていない状況であった
史実では、K作戦と呼ばれる、2式大艇による真珠湾空爆作戦
しかし、この世界では、すでに、シコルスキーACにより、量産されていた200機が完成していたのだが、その部隊が、ミッドウェー島陥落と同時に展開してきたのである
K作戦では、2機程度であったが、200機近い部隊が運用され、連日陸軍基地に爆撃を行っていた
ハワイ陸軍・海軍ともに反撃の方法がなかった
すでに、戦闘機はなく、対空砲もほとんどが破壊されていた
本土からの輸送も届かなかった
武器不足も問題であるが、食料不足が顕著になってくると、島民の間にも、悪感情が広がっていくことになる
そして、日本軍のスパイが島民を扇動しているようなのである
海軍の基地復旧も本土からの物資あってのことであるが、敵潜水艦部隊は、恐ろしいほどの攻撃力を持っており、輸送船団を魚雷飽和攻撃により次々と葬り去る
そのメカニズムは今もって解読されていない
しかも、ほとんど反撃できていないのも問題である
撃沈確実がいまだ出ていない
そんな折、パナマ運河から回航されサンディエゴに向かっていた、ホーネット、ヨークタウンの部隊が魚雷攻撃を受ける
米太平洋艦隊は全く反撃の手がかりすらつかめない状態に陥ってしまうのであった
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