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空母サラトガ

空母「サラトガ」と巡洋艦1隻、駆逐艦5隻がサンディエゴからあわただしく出港していく

真珠湾は数度による敵の攻撃により、大損害を受けた模様である

とにかく、真珠湾を防衛しなければならない

この時、米国側は、日本軍が真珠湾に上陸をするのではないかと考えていた


幸運なことに、サラトガは修理のためサンディエゴに入港していたので、奇襲の被害をまぬかれたのである


しかし、出港することを予想されているとは、誰も知りえなかったであろう

かくいう攻撃側のSX78の艦長木梨少佐もそんなことは考えもしなかった口であろう


出撃前、潜水艦隊総司令小松が各艦長を集めて訓示を行う

「諸君、開戦はおそらくX日で間違いない、諸君は、X日以降、米国西海岸とオアフとの航路に待ち伏せし、敵空母群を雷撃せよ、空母群を発見できない場合は、輸送船破壊を最優先とすること、魚雷がなくなれば、サイパンに寄港し補給を受けるように」

「司令!敵空母となぜわかるのですか?戦艦はないのでありますか」

この新型潜水艦SXの性能は今まで自分の考えていたものがおもちゃに見えるほどとがっている

まず、備砲が存在しない、つまり攻撃は魚雷によるしかないという、超贅沢な発想である

この時代の潜水艦は、すべてに備砲があり、浮上して砲撃する想定になっている

魚雷は非常に高価な兵器であり、輸送船などへの攻撃は、その備砲によることになっていた


「戦艦ではない、空母群である、すべては、高野閣下からの神託である」潜水隊司令官の小松中将は、高野中将の後輩にあたり、兵学校時代の下級生になる、つまり、バリバリの神道派ということになる

普通の感覚でいうと、「お前の頭はどうかしたのか?」というところであるが、潜水艦の艦長クラスはすべて兵学校の卒業生であるため、この感覚はわかる

とにかく、神格化された人物である、すべてにおいて優先すされるべき人間であるとされている

海軍内部では、「高野九十九常在戦場語録」が配布され、熟読することとされている

推薦人の署名には、名だたる人物の名が並ぶ 総理大臣永田鉄山陸軍大将、東条英機参謀総長、山本五十六軍令部総長、掘悌吉連合艦隊長官、乃木勝典、乃木保典陸軍中将、徳川慶久公爵・・・・・・

その次に表れるのは、今はなき明治天皇から元勲たち、退役大将たちの一覧表である


これらの人々に贈るとなっている


通常の人間であれば、これだけの名前を使えば、不敬罪で捕まりそうな人間の名前がこれでもかと出てくる


「わかっていると思うが、油断は禁物である、貴様たちのあとには、あと100隻の後輩たちが続くのである、先人としてしっかり任務を全うせよ!」

小松司令が敬礼をし、全員が敬礼で返す


・・・・・・

「艦長、敵空母群と思われます」聴音手が声を潜める

「本当に来るとはな!」木梨は唖然としていた

SX78は動かずじっと待っていただけである、夜に、空気の入れ替えの時だけ浮上する

あとは、シュノーケルによって換気をして動かないようにしていた

計画では、10km間隔で西海岸側と西海岸とオアフ間の航路予定海域に100隻が配置されている


海上を通過していく艦艇の数は7隻、一隻が空母である


「よし、音通信号1発信」

「了解、音通信号1号発信します」


SX78は、エンジンを始動し、距離をおきながら追跡を開始する


「通信来ました、包囲地点はC6、攻撃時0200です」

「間に合えばいいですな」副官が木梨に語り掛ける


彼らの放った音通1号から、敵の進行位置を推測して潜水艦群による魚雷飽和攻撃を行うのである

音通1号は敵発見の音波信号である、鯱の海中音声に似せて、作られた音波である

それを時間をかけて3回発信すると、おおよその進行速度方向を予測できる


周囲の潜水艦はそれを予測し、予定位置を設定し、夜に通信により集合地点を知らせ、一斉攻撃をかけようというのである


残念なことに、サラトガ群は焦りのため、オアフに対して直進していたので容易に進路を予測できた


木梨の艦では、追いつくことができないが、他の配備艦はオアフ島までの間に何隻もいる

集合できる艦だけで攻撃を行うことになる


小松司令官の座上するSX1はサラトガの進路上に丁度いた

「小松君、頼んだよ」出発前、高野中将が横須賀に駆けつけてくれた

「敵空母はサラトガだから、何とか足止めしてくれよ」

「は、中将閣下」

「おいおい、君も中将だろう」

「わかりました、先輩、全力で努力します」

本来、中将の自分は司令として、丘に上がって指揮を執ってもよいのだが、小松は高野のために、現場で指揮をとろうと考えたのである


「さて、うまくいくか」

小松はつぶやいた


しかし、奇跡か、神佑天助か!真正面から敵がやってくるという報告が来る

時間は、ぴったり0200である

「神よ、さすが高野閣下、神佑天助!である」小松は声を上げた

艦長が微妙な表情でこちらを見ているが構わない

卒業時期が下がると、高野閣下の超能力の実力をしらない者が多いので、我々直に見た世代の反応が理解できないのである(餌付けされていないので効果が薄いのである)


「よし、1番から6番全弾発射準備」

「司令、正面すぎます」艦長

「問題ない、神風が吹くであろう」と小松

艦長はさすがに、こいついかれてるなという表情に変わる


「発射準備」艦長は、命令に従ったが、タイミングを図るつもりであった


0158、一隻のSX艦SX17から魚雷が発射される、丁度いい角度で敵艦がやってきたのである

時間は2分早いが、当たればよいのだから問題ないと艦長は考えた、このチャンスを逃す手はない


0200 SX1

「発射」本来司令が発射命令を出すのではないが、小松が口を出す

「発射」艦長が仕方なく発射させる

「次発装填急げ!」

本来正面から魚雷攻撃は行わない


0201

しかし、奇跡が起こるSX17の魚雷が駆逐艦の横腹にさく裂した

左舷側の駆逐艦が大爆発を起こしたため、サラトガ艦長直ちに面舵(右側)をとったのである

回頭がある程度始まった時、真正面からやってきた酸素魚雷が左舷で爆発した


「直撃です」

「なに!」艦長

「さすが高野閣下」小松司令

微妙な空気が艦内指揮所に漂うが、艦長は「ダウントリム一杯」ととりあえず回避行動を指示する


サラトガ艦長は、焦っていた

「完全に読まれているぞ、全速で逃げ切れ」

しかし、船腹の穴からは、海水が大量に流入している

相手の潜水艦は少なくとも2隻はいる

だが、いき足は鈍っても、潜水艦なら振り切れる、潜水艦は水中では数ノットが関の山、浮上すれば、速度そう変わるまいが何とかできるはずと当時の常識である


だがその時、周囲から次々と魚雷が発射されていたのである

敵がどこかはわからないが、爆雷を投下するために、疾走を開始した駆逐艦に魚雷が命中し大爆発を起こす


回頭360度を行い、最大船速20knで逃走に入る

だが、海中の潜水艦も最大船速は、20knであった


一方、離されながらも、仲間の艦に信号を送ったSX78では、遠くに爆発音を聞いていたのだが、「こちらに近づいてきます!」

さすがに25Kn以上で走られたら、ついていけないと考えていたのだが、仲間の攻撃が効いたのであろうか

遠ざかっていった敵がまたこちらに向かっているとの聴音手の報告である

木梨艦長は「全弾発射用意」

すでに、発射用意は完了していた

「テー」木梨が命令すると、6発の魚雷が発射される

「次弾装填急げ!」


義勇軍潜水艦艦隊では、一発必中などいうことは教えていなかった

とにかく、見つかる前に攻撃、逃げ切れ、当たれば、空母でも駆逐艦でも問題ない

でも、狙いは駆逐艦からね!となっていた

このころ、米艦隊は輪形陣をとっていなかったが、中に入り込んで、空母攻撃などを決してしてはいけないと教えられている


周りの、駆逐艦をできるだけ、安全なところから攻撃することと教本にのっている

そのために、酸素魚雷の航続距離が10kmもあるのであるとされていた

そして、史実と違うところは、高価な兵器の魚雷不足が解消されていたことである


サラトガ艦隊は必至の逃避行を続けていたが、悪魔にでも狙われているのか、攻撃は執拗だった駆逐艦4隻が魚雷の直撃で轟沈、サラトガも一発被雷、巡洋艦・駆逐艦各1隻は幸運にも無傷だった


「どうだ、振り切れたか!」

「大丈夫だと思いますが」と副長

潜水中の潜水艦は数knが関の山、潜水時間も短いのだ

すでに、2時間全速で航行していた

やっと、安心して速度を巡行速に落としたところである


だが、海中では、集まってきた義勇軍潜水艦隊は8隻にもなり、扇状に散開し飽和攻撃のタイミングを計っていた


サンフランシスコ・サンディエゴからハワイへの航路には、潜水艦が集中的にはいちされているのだから、予想進路にわらわらと集まってきていたのである


「よし、全艦飽和攻撃開始!」艦内電話で他艦へも命令が伝わる

海中でも距離が縮まれば通信が会話可能であった


48発の魚雷が無慈悲に疾走を開始した瞬間だった

いつもありがとうございます。

いただいた感想の中に、駆逐艦を見逃したのは、今まで言ってきたことと違うとのご指摘

これは、空母をいただくための約束ですのでそれを撃沈するほど非道ではないということですので

よろしくお願いいたします。



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― 新着の感想 ―
[一言] これは作中の登場人物の覚悟がうんぬんより、作者の覚悟の方が無かったという典型だな・・・・
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