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最終段階

ホワイトハウス大統領執務室には重苦しい雰囲気が漂っていた、日本側の攻撃は十分に予測されていたが、オアフ島攻撃の可能性はほぼゼロであると見積もられていたのである


日本側の宣戦布告とともに、直ちに、各軍への警戒を厳に行うよう指示を出してはいたが、それは主に、フィリピン方面への攻撃を想定していた

そもそも、黄色のサルにまともな兵器が作れるはずがない皆がそう思っていた

一部の人間は本心からそう思っていた


運がよかったのは、真珠湾に味方空母が存在せず、無事であったということであったが、相当な数の航空機の攻撃により、基地自体が壊滅的打撃を受けたのは、想像以上であった、その攻撃でキンメル太平洋艦隊司令が死亡しているのも大きな衝撃となった


さらに、戦争準備に備蓄していた、石油タンクも完全に破壊され、再建には最低でも半年はかかると見積もられたのである


だが、情報が集まるにつれ、局面はさらに悪化する、輸送任務のため真珠湾から出動していたエンタープライズがどうやら、鹵獲されたようである、さらに、ハルゼー中将が生死の境をさまようほどの重症を負ったようなのである


「作戦部長、直ちに、真珠湾を復旧せよ、これでは、太平洋で戦えんではないか」

ルーズベルトは怒っていた、あまりにも無防備すぎるであろう

「残った兵たちに、命令はだしています、サンディエゴから部隊を出します」

「当たり前だ!何か反撃できる方法はないのか、ニューギニア島は邪魔だ、すぐに落とすように」

「オーストラリア駐留軍に命令をお願いします」

「陸軍長官も、頼むぞ」

「はい、大統領」

「最悪の展開ではないか、特に海軍は、フィリピンは大丈夫なのだろうな?」

「はい、マッカーサーが守っているので大丈夫です」

「それが、心配なのだがな」


だが、フィリピンの主要な島には、すでに独立運動派が活動を開始しており、ゲリラ活動が、時を同じくして活発化しはじめるのであった


次の日同じメンツが集まっていたが、海軍長官の顔色は青かった、レキシントンが鹵獲されてしまったのである

「長官!どういうことだね、これは、責任問題だぞ」いつもは冷静なルーズベルトが激怒している


「死んでも、船を渡すべきではなかったのではないのかね」と大統領

人命を重んじるアメリカにしては、過激な発言であったかもしれない

「現場での判断もあるかと思います」

「これで、2隻も敵に空母を渡したんだぞ」

「まさか、こんなことになるとは」

だが、すべての戦闘機を落とされ、護衛の艦をやられて、囲まれれば、どうしようもないのは自分でも同じである

あとは、自沈するか、降伏するかしかない

今回は、数千名の乗り組み員が助かったのであるから、よしとするしかない


「情報部は何をしていたのか、敵の空母軍は、此方の想定よりもはるかに多いというではないか?」

「どうやら、ロシアで艦船を製造しているようです」と海軍長官

「どうやらではない!下手をすると帝国艦隊よりも多いというではないか」

数では、負けているのだが、搭載機数ははるかに多いかもしれない・・・


なお、鹵獲した2隻は帝国海軍所属となる予定である、まあ、整備と修理、改修などは、高野造船で行うことになるのだが、まだ、平賀教授は元気に暴れまわるのであろう

藤本氏にも頑張ってもらわねば、とりあえずウラジオストクに回航される


そして、この2艦の鹵獲はわが艦隊のダメージコントロール技術を大きく前進させる効果をもたらすことになる


・・・・・

12月9日(ハワイ時間)

真珠湾奇襲から2日が経過しようとしている

第21艦隊、第22艦隊の戦艦・巡洋艦部隊そして連合艦隊の「大和」「武蔵」は、オアフ島北東洋上で集結していた

戦艦4、重巡10、プラス「大和」「武蔵」の陣容である


ほかの艦は、本国へ鹵獲空母をえい航つつ帰還を開始する予定だが、ミッドウェー島・ウェーク島を攻撃するよう命令される予定(占いで知っていた)であるので、オアフから距離をとって、待機するよう命令している(南雲君がである)


「とりあえず、カネオヘの港湾施設を砲撃する」

夜であるためまったく、見えていないが、レーダーは陸地をとらえている


「撃ちーかた始め」改大和型戦艦の41cm3連装砲が闇を薙ぎ払う

改大和型戦艦は41センチ50口径3連装砲3基を装備している

46センチ砲では、重量がかさみ、空母随伴に支障が出ることを危惧したため、軽量で実績のある41センチ砲を採用したのである

艦速を上げるため艦形を少しスリムにするため、すでに、製造実績のある41cm50口径の三連装に変更し3基9門としている

これにより、製造期間の短縮も可能となった、そもそも艦隊決戦を想定していないため、艦砲にこだわりはないのであった、どこかの教授だけが、強いこだわりを見せていたが・・・


空母への随伴性と航空防御に重点を置いているのである


「大和」「武蔵」は史実通り46センチ砲を採用している、そして、12月8日間に合うよう、工期を繰り上げ完成し現在、オアフ沖にいるのである、後に問題となる舷側の15センチ副砲は設計段階から省略されている、これだけは、俺が口を出して、やめさせたのである

その代わり、5インチ両用砲を両舷8基搭載している


カネオヘの町では、港湾に巨大な水柱が立ち上る

そのあと、遠くから発砲音が届いた


住民はたたき起こされた、奇襲の日からまだ2日しかたっていない、悪夢が再び始まったのである


砲弾の爆発音は住民を恐怖のどん底へと叩き落とす

特に大和、武蔵の砲弾がさらに恐怖を加速させる

爆発の衝撃波が内臓を揺さぶり、恐怖で目の前が真っ白になる

窓ガラスがすべて粉々に飛び散っていた、住民は頭を抱えただただうずくまるしかできなかった




「着弾より修正プラス0.5度」

「発射準備よし」

「撃てー」


火柱が吹き上がる、しかし、それは町だった、今度は飛びすぎたのである

「修正、マイナス0.5度」

「発射準備よし」

「撃てー」三度目の発砲


港湾施設が吹き飛ばされる

それからは、斉射攻撃が10数分続いたが、それですべての施設ががれきに帰ってしまった


「次は真珠湾への攻撃を行う、最大全速、敵も要塞砲を撃ってくる可能性がある、気合を入れろよ」

真珠湾要塞には、16インチ砲が設置されていた、しかし、空爆で破損し、修理ができていなかった


その夜、連合艦隊の戦艦、巡洋艦の艦砲射撃が真珠湾を襲う、すでに空爆と重油火災で何も残っていなかったが、生き残りが細々と修理していた何かを完全に、がれきへと変換していった


重油がまだ燃えているので、狙いをつけやすかった

いわゆる三日三晩燃え続けている状況であった


「よし、あれはついたのか?」艦橋では、その男だけは満足げだった、俺だった

「はい、何とかやってきました」旧型戦艦様御一行3名様である

「高野、本当にやるのか?」と山梨司令が聞いてくる

「もちろんです、最後のご奉公です」

旧型戦艦は、すでに砲塔はがすべておろされ身軽になった戦艦富士、敷島、朝日であった

戦艦たちは、ゆっくりと真珠湾に侵入していく、すでに反撃してくるものはいない


三隻が縦列で真珠湾の航路の真ん中で止まると、機関員らがカッターで脱出する


艦底に仕掛けられた爆薬が穴をあけると、戦艦たちはゆっくりと真珠湾に沈んでいく

この男は徹底するのが大好きらしく、真珠湾への侵入路に、機雷を大量に敷設させるよう指示を出したのであった


機関員を救助した巡洋艦は危険を顧みず、真珠湾の水路に機雷を投下して、この男の命に答えたのである


・・・・・


日本軍というのは、本当に中途半端が好きなのかもしれない、真珠湾攻撃、乗るかそるかを成功させ、ようやくホットして帰ろうという艦隊に、史実ではミッドウェー攻撃を命じている

南雲長官は、帰路攻撃を企図するが、天候の問題で攻撃を中止し帰路につくのである

おそらく天候を理由に攻撃したくなかったのであろうと考えるが普通であろう


しかし、俺たちは、そのことをすでに織り込み作戦を練っているので問題ない

というか、ミッドウェー攻撃は大変重要なのだ


天候が回復し、大連合艦隊の空母部隊から、戦爆連合が、ミッドウェー攻撃に向かう

実は、ウェーク島攻撃もされることになるため半分の戦力であるが・・・


12月15日

戦爆連合300機(主に義勇軍)が島を覆いつくす

この時、島を防衛する米国海兵隊は800名弱であった

明らかに過剰な戦力である

何とか、対空機銃をぶちかまそうとするが、相手が悪かった

空からの機銃掃射、爆撃があっという間に海兵隊を肉塊へと変換していく

そして、悪いことに、強襲揚陸艇が猛然と砂浜に突進してくる

帝国海兵第1師団の精鋭を乗せた、今でいうところのホバークラフトであった

米国海兵隊は、必死に防戦したが、わずか3時間で制圧されてしまう

米兵の捕虜は100名程度であった

こうして、12月15日、ミッドウェー島は陥落、続いて12月23日にはウェーク島も陥落する

ミッドウェー島、ウェーク島にはすぐさま陸軍が進駐、第100工兵師団(百瀬建設)とともに、基地の再建と要塞化に着手することとなる


グアム島はそれ以前に占領を完了、陸軍1個師団が駐留、要塞化工事を開始していた




「さすがにこれぐらいしておけば、一年は時間を稼げたか?」艦橋のデッキで夜風に吹かれる男はつぶやいた


いつも読んでくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 工業力の差から時間が経過するほどじり貧は確定。 限定的な攻撃だけでなんとかなるものだろうかという疑問はあります。力のある敵にはしつこく嫌がらせをするというのは王道であはありますが。
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