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鉱滓

1935年(昭和10年)

この年、モノポリーは発売されなかった

岩倉がすでに同じようなものを世界で販売していたためである

そして、最後の忍者映画「ザニンジャ・ファイナル」が放映される

あらすじはともかく、最後に、侍大将が欧米人に対して、「侍には決して手を出すな、首と胴が泣き別れることになる」と警告している

この映画では、忍者は白人の女を守るのだが、それを追う侍大将がまったく容赦なく白人の町もろともに殲滅していくという、なんとも恐ろしい最後を迎えるので、ヒットはしなかったのだが、とにかく、侍の恐ろしさだけは残ってしまった、というか、そういう目的の映画であった、これで世界の桜井は、黄色いサルの桜井になってしまった


そのころアバレーエフは、ベルギーにいた

コンゴの鉱山で仕事をするために、宗主国であるベルギーに赴いて、商談を行っていた

いま、彼は、パナマに住んでおり、毎日、運河を観察して、ラジオを聴く毎日を送っていたのだが、俺の依頼で、このベルギーに来ているのである


アバレーエフはベルギー高官と相談している

「ラジウム鉱山を再開させたい、というより、ラジウムで儲けることができると、カナダで教わったのだが」

「その、カナダのラジウムのせいで、我々の鉱山は閉山したのですが」と高官

「そうだったのか?俺は騙されたのか?」

「ええ、そうだと思いますよ」

「しかし、もっといい鉱脈を発見できれば、いいのだろう?詳しくはわからないが、しかも、暗黒大陸には、まだまだ、資源が眠っているらしいじゃないか」

「暗黒大陸などと、昔はそう呼ばれていたのですが」

「そうなのか、貴国はコンゴで相当ひどいことをしているらしいな」とアバレーエフ

「そんなことは、ありません」男は目をそらす


「そんなことよりも、掘れるのか掘れないのか?俺は、カナダでも有名な企業のオーナーでもあるのだが、金ならあるんだ、暇だから一つ遊んでみようかとやってきたのだが」

アバレーエフは、カナダ国籍(偽→本物)を持っており、ウォッカ製造会社(酒の密輸で大儲けした)のオーナーとなっている


「アバレーエフ様、ラジウムではいささか苦しいのではないですか」

「貴国の植民地政策がひどいのがばれるのが嫌なのだろう、心配はいらん、はっきり言って俺の金も、きれいなマネーであるということはないのだ、きれいにしたいと思っている、名目が必要なのだ、それに、貴国の隣の国も騒がしくなってきている、前払いで払おう、いくらだ」ドイツの動きがあわただしいのである


「そういうことであれば、では前金で一億ドル、鉱物販売額の5%をいただきたい」

「高すぎだろう、一億ドルだと!しかも販売額5%だと」

「資金洗浄の手数料だと思えば・・・」男の笑顔が黒い

「7千万ドル払おう、販売額の3%でどうだ」額はどうでもよかったのだ、一億が十億でも払えたろう、しかし、こういう手合いは、それでは相手を信用しないのだ

「明日おこしください」

俺は、館を後にした


次の日

「アバレーエフ様、8千万ドル、販売額の3%でお願いできませんでしょうか」黒い笑顔の男が低姿勢でネコナデ声である

「わかった、その代わり、少しは俺達のやっていることを見逃せよ、いわゆる免罪符だったか?王家の証明書をつけてくれ」

「わかりました、話はわたくしが付けますので」

「そうか、では、金は言う通りの口座に振り込むので、早速仕事にかからせるからな」

「ずいぶんとお急ぎなのですね」

「いや、貴国があるうちにと思っているだけだよ」

黒い笑顔の男の顔がどす黒く染まる

パナマに通信を送ると、早速、返事が来る

長岡、新潟部隊の精鋭が早速現地に向かってパナマを発つ、貨物船には、建機が大量に積んであった、その中には、重機という重機関銃やライフル、拳銃、手りゅう弾、迫撃砲なども分解され、積み込まれている

別の船には、百瀬建設作業員や高野鉱山の技師などの人員が大勢乗せられていた


このころコンゴはベルギー領コンゴであった


コンゴのカタンガ地方には、ラジウムを製錬した際に発生するカスが大量に放置されていた

早速、掃除とばかりに、百瀬建設がそれらを集約し、列車で輸送を開始する、西部の港では、常に、アバレーエフ傘下の輸送船が待っていて、満載になると出発していく

高野鉱山の技師たちは、掘れそうな場所を探していく、彼らは鉱山の収支については全く考えていないので、ありそうなところを次々と掘り始めるのである

そして、長岡、新潟の部隊は、その周辺の警戒と防御陣地の構築を行う、現地民やベルギー兵の侵攻を阻止するための陣地構築である


さらに、アジアで活動していた精鋭たちが、現地民を集めて、食料を与え、子供たちを洗脳し、福祉学校を設置し、教育を行うのである

学校に来ると、給食が出されるので、子供たちもちろん、場合によっては大人までやってくる

教育の中身は、これらの慈善事業を行っているのは、一にアバレーエフ、二に高野総長という日本人であり、日本というすごく善意のある国とともに戦うように洗脳していくである


子供たちは、洗脳教育ののち、戦闘についても教えられる

そこで、確実に白人を殺す術を学ばされるのである

黄色と黒色は友達という変な思想が組み込まれていく

しかし、悲しいかな、彼らが貧しいのは、白人による搾取であるためまったく嘘ということでもない、彼らの親の中には、白人たちによりひどい扱いを受けたものが数多くいるので、復讐心は旺盛であり、ただその方法がわからなかっただけである

それが、方法と手段を提供する人間が現れたのであるから大変な事態であった


こうして、ゲリラが育成されていく

いずれは、独立した国を持てるのかも知れないし、もてないのかもしれない

ただ、閉山していたラジウム鉱山は、圧倒的な素早さで掘削されていくのである

ただし、ラジウム鉱石のカスには、ウランが含まれていたのである、そうしてラジウム鉱石のカス、鉱滓はいずこかへと、運ばれていった


いつも読んでくださりありがとうございます。


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