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正夢

またしても、軍縮条約会議があるロンドン会議の予備会議である

ここで、艦隊派、条約派が発生し、海軍内で双方が対立することになる


統合作戦本部会議

「今後どうするのが良いか」昭和帝

「残念ながら、今後は条約中の巡洋艦の制限が盛られるでしょう」

「どうするのか」東郷

「好きにやらせるのが良いかと、どうせ、日本には対米6割しか認めないでしょう、それなら、よそで作ればいいのです」

「お前、ロシアで建造しているらしいではないか」

「お国のためであります、財布はすべて自分持ちなので、ですが、人員は供給していただきたい」

「それは、聞いている、しかし、6割ではあまりにも」艦隊派の重鎮となる加藤軍令部長である

「もちろん、会議に行く人間は精一杯頑張って反対してきてください」

ぎろりと加藤が俺をにらむ


こいつがなぜいるという目つきである、そう俺は艦政本部長付き、いる理由がない

しかし、いるのである、しかも、現軍令部長以前からいるのである


「個人的に艦船を作っているというのは、法律上問題があるのではないか」

「そのことは、ロシア大公国艦隊という処理になっていますので、なんら問題ありません」

「それでは、いざというときにわが国のために、動かぬのではないか」

「それでは、お国の経済状況で作り続けることは可能なのですか」

「よい、そのことは、朕と高野で決めたことである、高野も口を慎め」

「は」

「いずれにしても、現況の造船ドックの数では、欧米とは戦えません、ですからドックの建設に優先して投資が必要であると考えます」


「では、条約が破棄された場合は、艦を作るというのだな」

「もちろんです部長、そのためにドックを確保しているのです、ただし、米国の造船力は圧倒的です、そこで勝負したところで勝つことはできません」

「こちらが、1作る間に向こうは5作るでしょう」


「そのためには、こちらは作る種類の厳選と作り方の工夫がいるでしょう、これは航空機も同じであります」艦種を絞り、部品の共通化などを進め、大量生産を狙うということである


どちらにしろ、日本の経済状況も良いとは言えない

艦を作るには金が必要なのである

これまで、朝鮮半島へ投資しなかった分を、国家改造に十分に投じてきた、しかも経済対策としても震災対策としても資本の投下が行われてきた、それゆえ、財政状態が悪化しているのだ

儲かっているのは、財閥、政商といわれるようなものばかりである

え?俺のとこ?いや、儲けているけど、搾取とかはしていないけど

高性能をより安く、お値段以上、高野!ですよ


しかし、この時代そう考えない人間もちらほらと存在するのも確かである、大正デモクラシーの影響で、左派系の思想も広まっているのである


1930年(昭和5年)

ロンドン軍縮条約が成立した

この年、平賀造船中将が退官し、高野造船特別顧問に就任した

三菱にとられる前にとることにした


高野造船は仙台にあるので、そちらで、研究に没頭してもらう、対空駆逐艦の製造も監督してもらう、ついでに、ウラジオストクの潜水艦の監督もお願いする

秘書官、事務官、運転手、研究室、研究員、機材すべていうままに、予算をつけて対応した、最後の儲けで、予算的には、考えているすべてのものを買うぐらいなんら問題なかった

まことに結構なことである


「高野、もっと早く辞めておけばよかったぞ」これが平賀の感想であった

すでに、このころ高野学校経由帝国大学理系卒が大量に完成していたので、研究者はいくらでも、用意できた、しかも日本は不況である、優秀な学生が余っていたのである

優秀な学生は、有り余る資金ですべてというほど関連会社で吸収しているような実態である


海軍の艦隊派対条約派の対決は実質起きなかった、神道派(俺?)が艦隊派を説得したような状態であった

しかし、議会では、統帥権干犯問題が発生し、新聞にあおられた民衆も騒いでるようである、統合作戦本部では、治安維持局を使って、新聞の右翼、左翼記者を逮捕させる


東郷平八郎は、艦隊派の大物になるはずっだったが、神道派の大物になっていたので、艦隊派は大きな力を持つことができなかった


ついでに言うと、同期の南雲君は艦隊派の人間になる予定の人物であったが、もちろん最も忠実な神道派の一員である、こんなオカルト軍隊で大丈夫なのか?


1931年(昭和6年)

満州事変が発生する、そもそも、すでに満州国は無理やり建国しているので、中国軍による国境侵犯事件の発生である、中国軍が長城を超えて、満州領内に侵入、関東軍と戦闘状態に陥る


関東軍が撃退、ロシア公国義勇兵航空戦隊が援護を行った戦闘は、中国軍を圧倒的に殺戮した戦いになったわけであるが、中国は国際連盟に、満州を認めないよう要請した、現在満州を国として認めているのは、日本、タイ、ロシア公国と非常に少ない

満州国内の中国軍閥はすでに、遠い昔に壊滅されているので、満州国内は国としての治安維持に成功している


リットン調査団が組織され、その戦場を調査し、国際連盟で報告が行われる

「満州での、特殊権益を日本に認めるが、満州は中国の領土である」との報告である

それに対し、日本は、人種差別撤廃条約を建議し対抗した

しかし、議決の結果は日本が惨敗

人種差別撤廃条約はまたしても、英仏の力で葬り去られた


しかし、日本は国際連盟から離脱はしなかった

「見解の相違である、満州は満州人の国であり、決して日本の傀儡政権ではない、関東軍は、満州国が独自に治安維持可能になった場合、速やかに撤退する準備がある、いましばし、時間の猶予が必用である、しばしお待ちください、そして、満州国の成立を承認していただきたい、それが、日本軍の撤退をはやめる近道です」と言い放って、居座ってしまったのである


中国、英仏が非難したが

日本の代表は、それよりも人種差別撤廃条約を議決するように言うばかりであった、其ればかりか、曰く、アジアの植民地は搾取されているので解放するように、ハワイの独立、合衆国の半分を、インディアン、黒人に明け渡すこと、オーストラリアの東半分はアボリジニに引き渡すこと、欧州各国はアフリカを開放すること、インドの独立を認めること、次々と発言しては黙らされるというようなことを繰り返すのである


このころ日本は、恐慌に苦しむ予定でいたが、造船関係では、ロシア海軍の艦の製造、ニューギニア島の開発、国内港湾施設、道路、鉄道整備などの公共投資を積極的に行い、不況ではあるが、何とかしのいでいける状態であった


欧米各国はブロック経済を行う中、日本は日満露の三国ブロックを形成し、中華民国にもこのブロック経済に参加するよう打診していた、かつてのように国民政府を対手とせずというようなことはしていない、常に共産勢力を駆逐するように協力を申し出ているくらいである、それ以外にも、モンゴルに対して軍事支援を行い、ソビエトの侵入を防いでいる

史実では、モンゴルは、ソビエトとともに赤化する予定だったのだが、ソビエトはまだモンゴル付近まで接近していなかった

「鉱山採掘権を担保に、武器と資金を提供します」俺の申し出をモンゴルのボクドハーンは驚いた風に聞いていた

「鉱山と申しても、草原と砂漠しかないが」

「鉱山はこちらで探しますので問題ありません、ハーンにはしっかり防共と国防をお願いすることと、チベットとの連携をしっかりとお願いしたい」

ボクドハーンはチベット仏教の化身ラマである、チベットとボクドハーンは宗教的に近いので、仲良くやりやすいはずである

モンゴルとチベットをしっかり防御すれば、戦後中国が肥大化することを阻止することができるはずとの目算があった


「そうしていただけると有難い、支援は受けられるのですね」

「もちろん、鉱山が発見されれば、そこまでは鉄道を引かせていただきたいので、併せてお願いします」

こうして、日本とモンゴルが手を握った

こうして、日満露に蒙が追加される

こののちすぐに、モンゴルで巨大な銅鉱山が発見されることになる

オユトルゴイ鉱山である

これにより、日本は銅不足の問題を回避することがで可能になった


ロシア大公国のウラジオストク周辺には、多数の日本系企業が進出し、工場を設置している、これは、統合作戦本部も知らない方針であるが、ウラジオストクを日本の兵器供給基地化計画を実施している


資本は高野財閥、安田財閥、皇室から拠出されており、その安心感から、ほかの財閥も静かに続いているような状況である、さらにいえば、白系ロシア人の技術も加味されて、日本の企業の技術力向上に一役も二役も買っている良い循環を生み出しつつある

日本に不足していた、科学の基礎、冶金技術などが補正される


そんな中、高野重工のウラジオストク工場内でひっそりと、新型戦車が製造され始める、主砲はスウェーデンで開発された88mm高射砲である、しかし、戦場には一切出さないように倉庫で保管される

同様に、88mm高射砲、40mm機関砲も不良在庫としてどんどん積みあがっていく

もちろん、普通の会社がこんなことをすればたちまち潰れてしまうところであるが、この財閥は人に言えないほどの金をためこんでいるのでまったく問題なかった


BFAでも同じように、自動小銃、迫撃砲、M2重機関銃、20mm機関砲がどんどん作られている、これらは、高野財閥がすべて買い上げたうえで、死蔵している

ブラウニング一族への配当のため、利益度外視はできないための手段である


シコルスキーACエアクラフトでは、各国の航空機を購入しその構造などを研究している、だが、この分野は進化が速いので、まだ量産型の製造は行えていない、今は、職員の技術向上と大量生産ラインの整備を進めており川西航空機も同様の状況である


購入航空機と同じような航空機をコピー生産し、それらは、リヒトホーフェン航空学校に送られ、生徒の教材となる、航空学校では、パイロットと整備員が養成され、初期の卒業生は、そのまま学校の指導教官となっていく


高野造船では、軍艦以外にも、戦時標準船の設計を行い、生産を開始し、大量生産手法の研究を行っている

もちろん、今は戦時ではないため、戦時標準船というのはおかしいのだが、いずれ、いやでも大量の輸送船が必要になるので、問題ない

出来上がった輸送船は、海外へと派遣され、戦争用資源の輸入を行っている


岩倉倉庫では、日本の各地に巨大な倉庫群を設置し、それらすべてを死蔵している


有栖川自動車では、ついに乗用車を生産する技術がついたので、戦時用にジープに似た軍用車両(名称ハイランダー)パクリ生産開始している

偵察用や人員輸送用でもある


かつて、BFAの工作機械で自転車をつくっていた岩倉自転車は今や巨大自転車会社になり、自転車と自動二輪車を生産していた、自動二輪は、DEの2サイクルガソリンエンジンを搭載し、各種のショックアブソーバーを装着したモトクロス用のバイクであり、これも偵察用として利用される、このバイクは民生品として買うことができる(当時自転車は大変高価な品物であったので、大きな利益を生んだ)


高野建機では、工事用重機と軍用トラックが生産されている、民需、軍需でなくてはならないものになっている、ただし、ロシア・満州以外は輸出禁止品目になっている


高野石油化学では、主に石油製品の製造とアスファルトを製造している、満州油田は、重質系であるため、自ずとアスファルトが大量発生する、残念ながらいまだ、ハイオク単価ガソリンの製造には至っていないが、高オクタンにできる添加物(とても有毒な鉛化合物)は製造できるめどがついた、サハ油田もひそかに石油を産出し、各地のタンクに備蓄されている


アスファルトのおかげで、満州では道路整備が急速に進んでいる

高野道路㈱が仕事を請け負っている、石油の輸送は主に列車だが、線路に沿って、道路の整備も行っているである、日本でも随時アスファルト道路の整備を行っていく予定になっている


九十九銀行系金融会社では、安田財閥系金融と相互補完を行いながら、日本・満州・ロシアの資金提供を不足なく実施できている

そのほかにも、ペーパーカンパニーを通じて、世界中に潜り込んで、実態を隠蔽し活動している、情報収集と負けた時のための生き残るための用心である


そして、一番の巨大組織(資金的)になったロシアマフィアは・・・・

カナダで一流のウォッカ製造会社(表向き)を残し、資源商社となって、パナマに本拠地を移す、なんでもパナマ運河を見張ってくれるそうである

南北アメリカ・アフリカ・豪州の資源を日本に転売する事業を展開してくれている

すでに、禁酒法時代は終焉した

また、アメリカで友人になった黒人のギャングやインディアンの反政府組織を支援しているらしい


ロシア公国は、朝鮮半島のほぼ全域を占領しているが、日本の利益圏を犯していない、その半島民を大量にコルイマなどの鉱山に送り出している

「義弟よ」

「なんですか、兄さん」

「ミールヌイでダイヤを掘り当てる夢を見た」

「ミールヌイですね」

「ああ、ミールヌイだ」

「わかりました、ありがとう、労働者を送りますね」

こうして、多くの半島の労働者がまた連れていかれることになってしまうのである

しかし、本当ですか?というような問は発しないのが兄弟間の会話であった


現在、ロシアとソビエトは休戦中であり、中央シベリヤは広大すぎて、しかも寒すぎて、勢力圏がはっきりしない、バイカル湖以東には超強力な防御陣地が存在するだけである


ソビエトの対ロシア主力はオムスクに駐屯している


いつも読んでくださりありがとうございます。

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