財閥?
藤 一慶は北の大地で甜菜糖や様々農作物、野生動物と格闘していたのである
「藤よ、農業は儲からん」その一言が効いた
「何とか儲けられないか」その答えが甜菜糖だった
この作物は砂糖ダイコンなどと呼ばれるが、昔、北海道で、栽培がおこなわれたのだが失敗している
作不作が激しいらしく、うまくいかなかったのだという
製糖の官営工場まで作られたが、つぶれてしまったのである
それと、台湾において砂糖会社がつくられ、価格競争的にも厳しい状態に置かれたのである
台湾の場合はサトウキビからの製糖である
しかし、この世界においては、台湾では、砂糖づくりより、ゴムの木の栽培が優先されており、砂糖はこの甜菜糖からのものが期待されているのである、というか高野九十九の手によってそう仕向けられたのである
台湾では、急速にガタパーチャというゴムの木と普通のゴム(パラゴム)の木が増産されている
ゴムは戦争時の重要物資の一つである、とにかく台湾ではゴムの栽培が急務とされたのである、沖縄や伊豆諸島でも栽培がおこなわれている
「ああ、藤、甜菜糖は直播じゃなくて、ハウスで苗をポット栽培してから植え替えるといいらしいぞ」
どこからそんな知識を持ってくるのか、総長はいつもそんな感じでいわれる
聞くと、占いから知ったなどと嘘をいうのである
しかし、その方法が突破口になった、始め失敗していたものが大豊作になったのである
急いで、副長あて、砂糖を絞る機械の購入をお願いする羽目になった
製糖が上手くいけば、儲かるかもしれない、藤は何だか自信をつかんだのである
その機械がいつの間にか、かつての官営製糖工場の払い下げになってやってきた
すでに、農業に取り組み始めてから、7年の月日が流れた
小麦、米もこの北の大地で栽培できている、ただし、自家消費に使う以外は、すべて蔵に運び込まれている、新潟の農場は部下任せである、米作はやはり新潟のほうがはるかに楽である
その部下たちも、100名を超える所帯になった、まったく儲けは出ていないが
大体が、百瀬組のチンピラ(農業経験あり)と部隊の戦闘力低めの人間ばかりであるが
総長曰く「兵站こそが戦争である」そうだ
とにかく、岩倉に食料を蓄える倉庫をお願いする
牧畜にも力を入れているが、これはどうしようもない、肉はできるが、消費地まで運ぶ手段がないのである、牛乳もしかりである
そんな時である、総長から手紙が来たのである
「藤よ、久しいな、ドイツから冷凍技術を運んできた、そちらに工場を作るので、肉を冷凍して、都会に運べそうだ」とのことである
「追伸、それより、メープルシロップはどうなっているのか」
すっかり忘れていた、冬の間に樹液を集めるはずだったが、すっかり指示するのを忘れていた、サトウカエデの木は、北海道でも植林している、植林事業なのかと思っていた
「総長、本当にあまいもの好きなのだな」早速、指示を出すことにした
小麦は、製粉するのにも機械がいるので、また岩倉あて製粉機械をお願いする羽目になる
早く独立して経営できるようになりたいものだ
そんな時、総長から、手紙がまた届く、「小麦粉に牛乳と卵を入れて、焼くのだ、するとホットケーキになる、それに、メープルシロップをかけるとうまいので、今度食べに行く」
電気が走った、これは、総長が自分が食べたいためだけに私を働かせていたのではないか?
ではなくて、商売になるのではと思ったのである!
早速、試作してみると、元チンピラたち(今は農夫)が驚くほどうまかった
これは、総長に作ってもらわねば!
総長の特技は料理である、総長が作れば、同じ材料でも十倍はうまい、これはすごいことになるぞ!
札幌で試作販売するとたちまち大ヒットとなった
そもそも、このころ甘いものはあまりないのであるから、当然といえば当然である
そんな時、リンデ日本支社長のリンデ博士と総長が冷凍倉庫の設計のためやってきたのである
「藤、久しぶりだな、冷凍技術のリンデ博士、リンデ日本の支社長でもある」
とリンデを紹介してくれる
ドイツ人らしい
「総長、ホットケーキすごく売れてますよ」
「えっ!俺が食べたいだけだったのに、売ってんの?」と総長
「えっ!」と俺は固まってしまった
やはり!そうだったのか!
そのあと、広大な農地や酪農の現場を視察し、その近くに冷凍倉庫、冷蔵倉庫を設計し彼らは、ホットケーキや牛肉を堪能し、帰り際に「藤よ、牛乳があるなら、やっぱりチーズを作らないとな、頑張れよ」と総長
ガクリ、藤は肩をおとした
すると、総長は振り返って「そうだ、藤よ、ヨーグルトは輸送は無理だからな」
バタリと藤は倒れてしまったのである
「ああ、バターならいけるかもしれん」
藤は、チリになって消えた
・・・・・
この年、温泉大名と化したブラウニング氏はブローニングM1911を完成させている
いわゆるコルトガバメントであるが、コルトではなくBFAM1911インペリアルと名付けられる、すぐさま、陸海で、正式採用され、官給品扱いで売りさばかせてもらうことになっている
BFAの工場の隅っこの施設で自転車の生産も引き続き行われていたものが、独立し、高野自転車に分社化した
いずれ、エンジンを積みオートバイになってほしいものだ
これからの日本は大量生産を考える必要があることから、工場関係者には、米国フォードの工場の見学など修学旅行に行かせている
有栖川自動車は、そのフォード車の輸入から事業を開始している
いずれは、ディーゼル・エンジニアリング(DE)でガソリンエンジンを製作してもらい、国産車を作成してほしいものである
日本の自動車化を推し進めるため、輸入したT型フォードを軍や役所、学校などへ寄付もしている
自動車の国産化は必須であるがが、まずは重機を軌道に乗せねばならない
ディーゼルさんは、同僚などを呼び寄せ、必要な最新の工作機械を輸入している、もうすぐ結果が出してくれるであろうことを期待する
船舶用エンジン部門(4サイクル、2サイクル)と重機用エンジン部門(4サイクル)に絞って、開発を進めることになっている
開発する分野については、高野の占いによって定められているのであった
因みに、ターボはスイスの知り合いに研究してもらうようだった
・・・・・・
東京都の中心部の過密対策は、政府主導で進められている(元老による意見)、時流にのって、百瀬組の地上げも相まって、百瀬組から大量の金が上納されてくるようになった、やはり官公需はおいしいのであるろう
あと、百瀬建設なる会社が設立される、地上げと建設をセットで行うとさらに効率がいいらしい、一般人に迷惑をかけないように注意が必要っと!
ついに、ザ・ニンジャ2が上映される、米国先行上映である
すると、またまた、大ヒットしている、前回のヒットを受けて、横浜正金銀行がスポンサーを引き受けてくれたので、撮影費用はすべてチャラになったとのこと、同時に、関連グッズも販売しているらしく、そちらも売れているらしい、ハイ・ニンジャ・COKEなる飲料らしい
あと、手裏剣、刀、忍者装束などを大量に輸出しているらしい
日本の国債をニンジャ債などといって、米国人あいてに、売り出しているらしい銀行もあるようである(この世界では、サムライ債ではなくニンジャ債と呼ばれるようになるらしい)
しかしである、なんといっても、今回は忍者の宿敵、侍大将(俺です)が大人気らしい、やはり私の剣術が評価されたのに違いない・・・いいえほとんど剣術のシーンはありません
儲けた金で、せっせと、工作機械をどんどん輸入させてくれる米国は案外いい国なんじゃねと思うようになった
プロデューサーの桜井君はすでに、世界の桜井、監督の名前は世界の〇〇みたいに呼ばれているらしい(監督の名前は中川というらしい)
山口先輩はブロマイドが発売されて人気が出ているらしい、もちろん俺(侍大将)のブロマイドも人気がある(面かぶってるけど)らしい
1912年(明治45年)
この年、明治天皇が崩御し、大正の御代に移り変わるはず・・・・だったのだが、明治帝はいまだ健在である
乃木大将の健康体操がよかったのか、歴史では、糖尿病の悪化による、尿毒症で死亡するはずだったのだが、いまだ矍鑠としている、生活習慣の見直しが良かったのであろう
まあ、知り合いが健康でいてくれるほうがこちらも都合がよいので結構である
ついに、念願の重機用エンジン、ディーゼルさんのディーゼルエンジンが一定の形を見る
一万CC 300馬力の大型の4サイクルエンジンを生み出したのである
ブルドーザーを試作するはずだったが・・・
排土板を油圧で動かすつもりだったのだが、もちろん誰もそんなことは考えていないのだった
そもそも、だれもブルドーザを知らないので当然である
「岩倉よ」
岩倉は、忙しいので、東北の地にはいなかった(新潟にいる)
そこで、近くにいる工員に油圧装置の研究を行うようにいってみたが、要領を得ない
仕方なく東京に戻ると、徳川様がやってきた
「君のところで、働かせてもらうことにしたよ」イケメンが言うと様になる
「そんなに映画に出たいんですか」
「まあ、それもあるけど、面白そうだからね」
「きっと面白いと思いますよ」
「僕は何をすれば、いいのかな」
「では、早速、油圧装置の会社を立ち上げてください」
「えっと、何かな」
「ああ、とりあえず、会社の立ち上げ方は、岩倉の方で引継ぎをお願いしますね」
「資金繰りとか金回りの話なら、任せてくれ、それで、ほかにも働きたいというやつがいるんだが」
「どうぞ、今うちは人でがまったく足りていませんから、金融系の人間はウェルカムですよ」
「よし、じゃあ、銀行から引っ張ってくるよ」徳川銀行!?
結局、油圧装置については、岩倉が、東北帝大にいって、研究してくれそうな人間を探してきてくれた、機械工学の先生らしい、生徒も一緒に研究するらしい
とにかく、お金10万円を渡しておく、早く必要なのでと念を押しておくのと、持ち逃げしない旨の契約書(血判入り)を作っておく
油圧装置ができるまでも、エンジンの改良は続く、小型化、補機、過給機の製造である
ディーゼルにはターボである、必要な金属の方は、本多博士のところにお願いしている
建機になる前にエンジンだけなので、トラックを作ろうと考えていると!
深刻な事態が発生する、トラックのシャーシがないことが判明する
これでは、トラックが作れない!
さらに、トラックを発展させるためダンプを作るにもシャーシもないことが判明する
これでは、ダンプが作れない!
エンジンだけあるのに!
船舶用のエンジンも開発しているが、乗せる船がないことに気付いたよ!
まあ、船は造船会社に作ってもらえばいいのだが・・・
さすがに、金もうけばかり考えていたから、抜けがひどいなと反省
優秀なエンジニアがエンジンだけを作る状態にしてしまった
「岩倉よ」
「はい総長」(今度はいた)
「残念な事態だ、予想以上に深刻である」
「何がですか」
「エンジンはあるが、乗せる台がないのだ」
「そうですか」
「どうすればよいか?」
「総長、私に聞かないでください」
「どうすればよいか?」
「では、こうしましょう、作ればよいのです」
「そうだな、お前ならそう言ってくれると思っていた」
「今年、大学を卒業する内のもの全員と同じくその友達込みで、できるだけ招集しましょう」
「そうだな、ではそれで行こう」
「で?」
「何がだ」
「会社の名前ですよ」
「建機だな」
「では、高野建機で決定ですね」
「岩倉建機でもよいのだが」
「それは、できません」
「なんか、財閥見たいになっていくような」
「総長、財閥を作るつもりではなかったのですか」
「もちろんないぞ、戦争に必要な物資を作る過程でできた産物にすぎん」
「じゃあ、高野建機で作っときますから、ただし学生が来るのは、4月以降ですね」
「場所は、仙台で、エンジンの隣で頼む」
「あのあたり一帯は、買収完了していますので、当面地面に困ることはないかと」
「すまんな」
「ああ、総長、徳川様には、銀行と保険業の会社を作ってもらうようにお願いしましたので」
「そうか、高野銀行とか、格好が悪いから、やめてくれよ」
「大丈夫ですよ、総長、九十九銀行にしときましたから」
「すでに、あるんじゃないのか?」国立銀行条例のおかげで、第一から第100位まで銀行が存在していたのである
「大丈夫です、名前が変わったので行けますよ」
「いや、いかんでいいのだが」
「もう、走っているので、では」岩倉が勝手に話を切り上げて去っていく
俺は、トボトボと軍令部に帰るのだった
俺の車はどうしたのかな?
そういえば、部長にもしばらく会っていないような・・・
そう思うおれだった・・・・
いつも読んでくださりありがとうございます。
日間の順位も上がってきました、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




